第8話 決起集会


さて、ログイン。

ログアウト場所は泊まって行け~、と言ってくれた武器屋さん。なので、今日はベッドの上で目覚めました。

噴水前でログアウトすると、ゲーム中から体が消えるのに、宿屋やベッドで睡眠の形でログアウトすると体が残る仕様って不思議だな。


さてさて、武器屋のおばさんとリオンちゃんと朝食を頂く。朝ごはんはパンとチーズ。それに果物とシンプル。果物が甘くてびっくりです。

食後、武器屋のおじさんと一緒に"集会"に赴くことに。


(うう、緊張する! 武者震いだ)


赴いた先は町役場。ジョージアン建築の、赤茶の煉瓦にふちが白い3階建ての大きな建物だ。両隣に冒険者ギルドと、商業ギルドがあると教えてもらった。

冒険者ギルドはこのクエストのあとにでもいかなくちゃな。


役場に入るとき、冒険者ギルドから出てきた人になんかジロジロ見られた。

あんまり、プレーヤーは役場に行かないのかな…?


「もう皆集まっているな」


武器屋のおじさんはそんなプレーヤーを無視して、建物に急ぐ。私も。

1階フロア中央にある階段を昇り、2階会議室へおじさんと伴に入ると結構な広さの室内に、30人ほどが前方に向かって椅子に座っていた。会議室奥では白い髭のお爺さんと若い女性がいた。女性は秘書かな?お爺さんに椅子を勧めている。


「おっと、もう始まるな。すまんすまん」


そう言っておじさんは私の手を引いて前へ前へと歩いていく。

周囲の人は私たちの視線を向ける。

キャー、なんか、目立っているんですが!

だが落ち着いてみると前方の椅子には私以外にもプレーヤーがいた。


(4人…。皆 初期装備だ…)


そして、その中にマーヤさんの弟、猫人のクロ君がいた。



「あれ、フェザントさん?」

「あ…、うん。クロ君どうしてここに?」

「ギルド依頼だよ。他の3人も同様。むしろ、フェザントさんがどういう手順でここに来たか知りたい」

「えっと」

「おや、知り合いか。おっと、町長の話が始まる。静かにな」


2人の会話に周囲がシー、と沈黙を促す。

すると、フレンドチャットが入った。




クロ:フェザントさんはギルド依頼じゃないの?

フェザント:呼び捨てでいいよ。うん。武器屋のアルバイトこなしたらクエスト出たみたい

クロ:呼び捨て>俺も

フェザント:了解




「皆集まったようじゃな」


髭のお爺さんが立ち上がる。貫禄充分というお爺様だ。


「今現在、ファンシーの町は危機に瀕しておる。

ライトの森で取れる薬草、生活に必要な浄化石、魔石の供給が止まっておるからだ。

頼りはプルミエの町だが、今プルミエには神が召還した『旅人フォリナー』が多くいて、彼らが立ち上げた一部クランがこれらを独占しており価格が上がっていると聞く。

その上数が足りず、このファンシーまで入ってこない。冒険者ギルドでライトの森の採取依頼をかけているが、そもそもの冒険者の人数が少なく、しかもそんな時に人斬りだ。

これに我らは我慢の限界が来た。

幸い、人斬りの目的は『旅人フォリナー』らしい。住人の冒険者で被害があったという話はきかない。

だが、いつ襲われても不思議はない。

それで、この計画を実行することにした。

我ら住人による、人斬り捕獲作戦じゃ。

では、囮役として、協力してくれる5人の『旅人フォリナー』を紹介しようぞ」




クロ:すっごくいたたまれない…。プルミエから先進めていないから飽和状態なんだ…。

フェザント:うん…。原因私たちだよね…。




はい、立って、立ってと促され、私たち初期装備陣5名は立ち上がり、頭を下げた。つい、45度も。

そしたら、なんか笑われた。

緊張していたのは私たちだけでなく、町長さんや集まった住人の人達も同様で、口々になごんだ、とお礼を言われた。

けど、もうこれは私たち お役に立たなきゃ!


計画の実行は本日、夕方、逢魔ヶ時。

ライトの森で、罠を張る--。



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