EX02.彼のER攻略ノート(1)

・補注1:これは彼が部屋に遺したERの攻略ノートの1頁より抜粋した記述である。

・補注2:このノートは彼が行方不明であることが分かったのち、警察によって回収・調査されたが、事件性が認められないため親族に返却されている。


■キャラクターの強さ

 ERにおいてキャラクターの強さを示すパラメータはマスクデータである。

 筋力・精神力と言ったお馴染みのステータスは言うに及ばず、LvやHP/MPと言ったRPGでは代表的なステータスもマスクデータになっている。特にHPがマスクデータとなっているところが難易度向上に一役買っていて、「どこまでダメージを食らえば死ぬか」を死んで覚えさせるゲームになっている。


 代わりにそのキャラクターがどれくらい強いか、あるいは使い込まれているかを表すのが称号Lvである。


■称号Lv

 称号は特定の行動をすることで手に入れることができ、また反復することでそのLvが上昇していく。

 これはどれだけERにのめり込んだのかの指標であると同時に、システム的な補助がどれだけ受けられるのかの指標でもある。


 例えば【剣術】の称号を例に取って見てみよう。

 【剣術】Lv1の取得条件は剣状のものを振ることで、つまり持っていなくても剣を振ることはできる。

 しかし称号Lvが上がれば上がるほど、プレイヤーが振る剣は確かに鋭くなっていくのだ。

 これは他ゲームであるようなシステムアシストによって作られた軌跡をなぞるものではなく、称号Lvに応じて剣を振る動作そのものをより良い動きに導くらしい。


 実際、剣道有段者のような実力者は高い【剣術】Lvのアカウントを使っても効果を実感できず、初心者が高い【剣術】Lvのアカウントを利用すればその剣は冴えわたるという。

(注:攻略wiki参照。自身で試すことができず、検証結果が満足いくものではないため仮説の域を出ない)

 実際にゲーム中で剣を振り続けることで体が馴染むことは間違いがない。


 また、実際に使用する武器以外の称号を手に入れることで僅かながら与ダメージにボーナスがあることが確認されている。

 検証記録:使用武器剣、【剣術】Lv3かつ【殴打】/【弓術】有無で検証

      攻撃対象はロックゴーレム。各100回ずつのSSをもとに平均値を計算

  ○【殴打】Lv0/【弓術】Lv0 Ave.12.44%

  ○【殴打】Lv2/【弓術】Lv0 Ave.13.06%

  ○【殴打】Lv2/【弓術】Lv1 Ave.13.22%

  ○【殴打】Lv2/【弓術】Lv2 Ave.13.60%


 別の検証結果より、討伐称号によるダメージ増幅効果はより小さいことがわかっているため、任意の武器使用称号によってダメージが増幅する。

 すなわち、称号は取れるだけ取るのが最適解。Lv1でも取得しておけば僅かながらボーナスを得られる。


■武器使用称号:戦闘技術

 【剣術】【槍術】【弓術】等の武器の使用回数等を基にした称号。

 素振りでLvを上げようとした場合、Lvを上げるのに今までの100倍ほどの回数を要求される。

 Lv3までなら素振りで何とかなるが、Lv4以降は強敵との実戦闘によるボーナスを受けない限り到達は困難。現状でもLv6到達報告はない。


 極めて優秀なシステムアシストとダメージボーナスが得られるため、序盤に伸ばす称号の最有力候補。


■防具使用称号:戦闘技術

 【皮鎧】【金鎧】【盾術】【礼装】等の防具による着用時間・被弾回数等を基にした称号。

 システムアシストによる動作の快適性と僅かながら被ダメージの減少効果があるらしい。ダメージについては検証困難で、体感的なダメージが減っているような気がする。

 相互効果等も検証が困難かつ、割に合わないため序盤での取得を目指す理由は薄い。


■戦闘補助称号:戦闘技術

 【回避】【索敵】【隠密】等の戦闘の補助行動で獲得できる称号。

 武器や防具といった称号に比べて格段に上がりやすく、システムアシストの効果も大きい。

 取得までの期間が大きく異なるため、「どれだけ真剣にその行動を行ったか」が重要視されているのではないかという説がある。

 性質上、従者との稽古でよく伸びる。


■移動用称号:戦闘技術

 【徒歩】【疾走】【騎乗】等の移動距離で取得できる称号。

 入手までにはかなりの訓練を必要とし、レベリングも難易度が高い。

 移動速度にボーナスがあり、高Lvではかなりの差が出るが、その頃には新たな移動手段を手に入れて移動速度がけた違いになることが多いため、意図的に育てる必要は薄い。


■基本魔法称号:戦闘技術

 【火魔法】【水魔法】【風魔法】【土魔法】の4種。魔法使用回数依存。

 武器称号同様Lvが上がるごとに飛躍的に難易度が上がる。ダメージや規模にボーナスがついているようだ。

 余談だが、別のゲームのように魔法の過剰使用による疲労感を感じることがない。いわゆるMPが設定されていないか、無限として処理されているのだろうか。


■応用魔法称号:戦闘技術

 【氷魔法】【雷魔法】等全10種が確認されている。魔法使用回数依存。

 いずれも古代迷宮のダンジョン踏破報酬として設定されているため、取得するためには古代迷宮に潜る必要がある。

 また、Lv上昇速度が基本魔法以上に遅く、応用Lv3は未確認の状態。

 基本・応用いずれも武器同様に相互にダメージ上昇効果が確認されているため、可能な限り多くの属性を集める必要がある。


■耐性称号:戦闘技術

 【耐熱】【耐斬】等攻撃を生身で受けることで取得できる称号。

 武器・防具以上に上がりにくく、取得・成長難易度は最高峰。大抵辛い。

 ぎりぎり上がりやすいのは【鍛造】と共に上がる【耐熱】や雪山登頂での【耐寒】、木剣を使っての【耐打】など。


■主要討伐数称号

 【駆狼ウルフ】【機構ゴーレム】等の討伐数に関する称号。100体でLv4、以降100体ごとにLvが上昇する。

 ここでのウルフやゴーレムは種類を問わず、森林ウルフや山岳ウルフが累計して計上される。湧き狩りをすることで簡単にレベリングできる。

 ダメージ上昇率は武器や魔法関連の称号Lvに遠く及ばず、討伐1000Lvほどでようやく1Lvと釣り合うかどうかで割に合わない。代わりに、討伐称号のLvに応じて武器や魔法のレベリングにわずかながらボーナスがあるのではと囁かれている。

 最も上げやすい称号であるため、上げられるうちに上げておきたい。


■生産技術称号

 【解体】 【複写】【精錬】等各種生産行為に依存する称号。

 レベリングは武器よりは簡単だが戦闘補助ほど簡単ではない。システムアシストの効果が極めて高く発揮される。種類が多いため、普通に生活しているだけでもLv1状態で多数の称号を取得できる。


 ○重要な生産技術

  【解体】ドロップアイテムの品質・数量に影響

  【複写】魔導書の品質に影響。魔法の火力等が変わるためレベリングは優先したい

  【精錬】魔石加工に必須。優れた武器を作るために、必修称号

  【鍛造】【縫製】【細工】【錬金】装備の質に影響。従者に極めさせるのが無難


■その他称号

 【死亡】【従者】【主人】が該当。


  【死亡】死亡回数。特殊な効果があるかどうかは解明されていない。

  【従者】従者専用。【従者】以外の称号Lv合計が100ごとに上昇し、従者が放浪の民の、放浪の民が従者の称号効果を受けられる。効果はわずかだが、従者の数を揃えると強力。レベリングによりわずかに効果が上昇する模様。

  【主人】放浪の民専用。従者が5人以上で取得可能。【主人】Lvは【従者】Lvの合計値になる。レベリングすることで【従者】の効果をより強く受けられる。

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