第5話 アリサ
50匹のオークは人口1,000人のコンラッドの町を我が物顔で歩いていた。
町民は扉を固く締め、外に出る者もいない。
時折、民家が破壊される。
どのような基準でオークは選別しているのだろうか。
年頃の娘がいる家ばかりが狙われる。
その家もそうだった。
まだ10代の少女、青い髪に大きな瞳、細い手足が印象的だ。
玄関がオークの持つ、こん棒で壊されていく。
「お前は裏から逃げなさい」
「お父さん、狙われているのは私よ、私が残るわ」
「バカを言うな、オークに捕まった女たちがどうなったか、分かっているだろう」
「でも、どこに逃げるの?逃げる場所なんてないでしょ?」
「教会に逃げたらいい、あそこに逃げ込んだ人たちもいる」
「でも」
「いいから、アリサ、愛している、早く」そう言って父親は娘を裏口のほうへ突き飛ばした。
「お父さん・・・」
アリサはふらふらとした足取りで裏口から外へ出る。
その瞬間にオークが玄関を破壊し、中に入ってきた。
父親は手に持った斧で、勇敢に立ち向かう。
入ってきたオークは3匹。
父親のことは目に入っていないようで、後ろに跳ね飛ばす。
父親は思いっきり棚に背中を打ち付けて失神してしまった。
オークは豚のように鼻を鳴らしながらアリサの居所を探す。
家の中を少し探すが、すぐにいないと分かると、まるで猟犬のようにアリサのあとを追って裏口から出る。
アリサは町の外れにある教会へ走っていた。今までこんなに走ったことはないくらいの全速力だ。
逃げていると分かる、後ろから追跡されていることを。
オークたちは足が速い。逃げ切れるだろうか。
教会までは2キロル。
胃液が逆流するかというくらい走った。
そして、教会が目の前に見えてきた時、とうとう追いつかれてしまった。
3匹のオーク。
大きい。
アリサは、逃げるのを諦めた。今教会に入ってしまえば、オーク達も一緒に連れ込んでしまう。
3匹のうちの1匹がアリサの目の前に立つ。
獣の匂いがする。
ハアハアというような吐息まで聞こえる。
アリサは目を閉じて下を向いている。
オークは手加減なしに、アリサの衣服を破り脱がした。
アリサの
なおも、オークが顔を近づけて来た時、ホバーバイクの轟音が鳴り響いた。
PN-1独特の駆動音。
そして、ステイン・グレイの持つ長さ2メートルはあるかという長刀。
オーク達は警戒態勢を取った。
しかし、オークの動きを一切気にも留めないような、PN-1の動き。
3匹のオークの首が刎ねられるまでの時間は10秒ほどだったろうか。
最初、アリサの近くにいたオークに斬りかかり、その首を刎ね、ターンしながら2匹目の首を刎ねる。
そして、姿勢制御しつつ、3匹目のオークの首も刎ねた。
「あ、あの・・・」
ステインは着ていたジャケットをアリサに投げると、そのまま、立ち去った。
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