第6話 オーク殲滅
ラキの武器はランスである。
オークが5匹ほど集まっている所へ、H-4を突っ込ませる。
ダッシュはラキに遅れまいとH-3の推進力目いっぱいまで上げて後ろに付く。
ダッシュも長刀を持っている。もちろんステインに憧れてのことだ。
その2機の少し後ろをカナのH-3が走っている。カナはボウガンでの遠距離射撃に徹している。
オークはバイクの一団を見つけると、本能的にか、身を低くして構えた。
先頭にいた1匹をラキのランスが貫く。
ランスが深く入りすぎ、ラキがややバランスを崩す。
そこに、ダッシュがフォローに入り、1匹のオークの左腕を切り落とす。
オークの集団は反撃の余地がない。
そのうちに、ラキはランスを抜いて、戦闘態勢を取った。
1匹が倒れ、さらに1匹は左腕から大量に出血している。
残りの3匹は群れに合流しようと、敗走を始める。
そこを、ラキが後ろから1匹仕留める。
ダッシュも今度は首を刎ねて、一匹仕留める。
カナは左腕を斬られてうずくまっていた1匹にボウガンで止めを刺した。
残りの1匹は逃げてしまったようだ。
3人は村の広場へ移動した、おそらくオークが一番集まっている場所である。
そこで見た物は、数十匹はいたであろうオークの死骸である。
全て首を刎ねられている。
「ボス、か」ラキが少々ため息交じりにダッシュとカナに話しかける。
「すごい、ね、」カナはそれでも用心深く周囲を見渡している。
遠くの方で、PN-1の駆動音がしたか、おそらく広場へ戻ってくるだろう。
3人は、バイクを広場に止め、周囲を見渡す。完全に制圧されているようだ。
しばらくすると、ステインが戻ってきた。
「ボス、お疲れ様です」そう言ってカナがバイクの荷台にくくり付けてあった水を渡す。
「ありがとう」そう言って水を飲み干す。
ステインチームの活躍を見て、それまで家の中で息をひそめていた町民たちは広場へ駆け出してきた。
「勇者だ!」
「いや、鬼じゃないのか?神か??」
「すごい・・・オークが、まるで虫けらのようだった」
「ただの冒険者じゃない」
「ありがとう」
「ありがとう」
どこに隠れていたのかと思うくらいの人たちが出てきて、広場はお祭りのようになっていた。
「冒険者様、ありがとうございます」
おそらくは、町長だろう、60代と思われる老人が代表してステイン達にお礼を言った。
「いえ、俺たちは仕事でやっていますから」
歓迎の輪の少し外側に、少女が父親と一緒に立っていた。
ステインを見る目が潤んでいる。
アリサだ。
服を着替えたアリサはステインにもらったジャケットを返したいが、町民の熱気に近寄れないでいた。
それに気づいたステインがアリサに近づく。
「あの・・これ」ジャケットをステインに差し出す。
「あ、ああ、これか」そう言いながら受け取る。
「あ・・あの、あ、あり、ありがとう、ございます」
「俺は仕事だからな」
「あ、あの、私も冒険者になりたいです!」
「そうか、でも、だめだ」
「あ・・・はい」
「幸せになってくれよな」
「はい、あの、冒険者様、どうぞ、ご無事で」
町の解放祝賀会にはラキが参加するとして、他のメンバーは惜しまれながら王都へと戻った。
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