雪待ち月の物語 (Novelber 2020)

霜降り(2)【農業高校で迎える初冬の朝】

　朝のホームルームが始まるよりも、ずっと早い時間に登校する。早朝のバスと電車で片道一時間半の道のりを、眠気をこらえて通学した。

　更衣室で学生服から実習服に着替えて、今日の朝当番になっているクラスメイトと一緒に、担当動物たちの世話に勤しむ。私の今朝の担当は、モルモット。ケージの中を掃除して、エサ箱や給水ボトルを洗い、新しいエサと水を用意する。

　作業をあらかた終えると、ゴミを捨てに行く。小動物棟の建物を出て、畑の脇を通り、校内の端っこまで歩く。

　畑の野菜たちには霜が降りていた。今育てているのは、霜に強い野菜が多いから大丈夫だとは思うけれど。昼休みにでも様子を確認しておこう。

「あー、寒いなぁ」

　暖房の効いた教室で、友達と馬鹿話でもしながら暖まりたい。