Day.12 ふわふわ

ふわふわ【道路脇のふわふわ】

 朝、自宅から最寄り駅へ向かう途中で、道路脇に生えているそれを見つけた。

 ふわふわで思わずさわりたくなってしまうのはススキである。尾花、とも呼ばれる秋の七草のひとつ。秋から冬へ移りゆくこの季節に、ススキの花穂は白っぽくなっていた。

 あぁ、さわりたい。しかし、人通りがちらほらあって、子供のようにススキの穂を撫でるのは躊躇ためらわれた。

 そうだ。今日はわざと帰りを遅らせて、人が少ない時間帯を狙ってあのススキを少し持って帰ろう。最寄り駅のホームで、いつもの電車を待ちながら心を弾ませていた。

 十五夜はもうとっくに過ぎてしまったけれど。今夜はススキを飾って月を眺めるんだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る