出会いについてのレポート(1)

 荒地の穴ぐら、つまりここでは古びた木造家屋なのだが。そこから身を乗り出し、町に出たのはPM11過ぎた頃だった。乾いた砂を含んだ風が、ゆるりと吹いていた。冷えてきたが、寒くはない。パーカーのフードを目深に被り、腕を組んで足早に道を進んだ。


 信号もなく、インフラが整ってるとは言えない場所だった。コンクリートすら敷かれていないため、雨が降ると泥濘みに足を取られて大変なことになる。簡単に言えば、貧しい土地だということだった。路上には決まって数人が腰を下ろし、今夜のターゲットを誰にしようか狙いを定める姿がよく目に入る。


 拓は彼らの目を簡単にすり抜けて、低い建物だらけの町を進んだ。頼りない街灯を目印に錆びた看板が見えて来たら、そこが店だ。割れた瓶の破片が散乱していた。踏みたくなかったので、足でそれらを隅に追いやった。拓は入口前の階段に座っている酔っぱらいを無視して店に入る。

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