第27話 男の後ろ姿
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ユウトが、大広間の扉を開くと
鎧を纏った男が、後ろ姿で立っていた。
ーーーーーーー来ちまったか……。
そして、男は振り返ると、
剣を肩に乗せながら、ユウトに、呼びかける。
ーーーーよぉ〜坊主、遅かったじゃね〜か。
鎧を纏った、男を見て、
ユウトは、動揺してしまう。
ーーーど、どうして……貴方が、此処に……。
「あれ、言ってなかったか〜?
俺は、貴族なんだよ、悪いな……」
ユウトは、握っていた剣を、握る力が弱まる。
「さぁ〜坊主、しっかり剣を構えな、
じゃね〜と、死んじまうぞ……」
男は、ユウトに飛びかかり、剣を振り下ろす。
ユウトは、振り下ろされた剣を、
受け止め、剣と剣がぶつかる。
ユウト「待って!!レノさん!!
僕は、貴方とは戦えない!」
レノ「坊主…お前は、そんな覚悟で、
ここに来たのか?
そんなんじゃ、誰一人とさえ、救えね〜ぞ、
ましてや、この国の王女を、
救うって言う奴が、剣を止めてどうする?」
レノは、ユウトに、蹴りを入れ、
ユウトは吹き飛び膝を着く。
レノ「さぁ〜坊主、覚悟を決めなぁ、
お前が、ここで、逃げるって言うんなら
俺は、何もしね〜よ」
ーーーーーーーークッ。
ユウト「僕は、ここで止まれない!!!
守らないといけない物が、
あるんだぁぁぁ!!」
レノ「じゃあ、守る物が、ある者同士
止まるわけには行かねーわなぁぁ!!
しっかり構えろぉぉぉ!!
行くぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!
ユウトに飛び掛かり、剣が振り下ろされる。
振り下ろされた、剣を受け止める。
ーーーーークッ………お…重い。
剣を弾く、だが、何度も、何度も、
レノは、絶え間なく、斬りかかる
その度に、ユウトは、剣をぶつけ弾く。
レノ「坊主、そろそろ、本気を出さねーと、
しんじまうぞぉ、
お前の得意の魔法は、どうした?」
そして、ユウトは、剣を弾き
後ろに飛び、距離をとる。
ユウト「分かりました、僕は、剣技で、
貴方を倒し、貴方を超えます!!」
レノ「おもしれぇ〜、やって見せろ、
この俺を、超えられねぇ様じゃ、
この国を、救えるわけね〜からな」
ユウトは、炎のゲートを開くと、
剣に、魔力を流し込み、剣が赤く光を放つ。
ーーーーレノさん……本気で、行きます!!!
「おっ、とっておきを出すか!
じゃあ、俺も、それに答えなきゃな〜!」
レノも炎のゲートを開き、
剣に、魔力を流し込むと、
剣の柄についた水晶に紋章が浮かび
剣が赤く光りを放つ。
ーーーーー行くよ…レノ先生…。
ーーーーーあぁ、いくぞぉぉぉ!!坊主!!
そして、何度も、何度も、
2人の、剣がぶつかり合い、
その度に、火花が飛び散る。
(坊主……強くなったじゃね〜か)
(本当に強い、一撃一撃が、こんなにも、
重いなんて、でも、負ける訳にはいかないんだ)
2人の、瞳が光りを、増していき、
激しく光を放ち、
何度も、何度も剣がぶつかる。
「やるじゃねーか、
この速さについてこれるとはな……」
そして、ユウトの、剣が、
深紅色に輝き、剣がぶつかった瞬間、
レノの剣は折れ、
ユウトの一撃が、レノの、胸を切り裂き、
血が飛び散り、レノは、床に、倒れ込む。
「馬鹿野郎……男が、
泣いてんじゃねーよ……」
ユウトは、レノを抱え、涙を流していた。
ーーーーー先生……僕は…僕は………。
レノは、ユウトの、頬を触り、涙を拭う。
「坊主、強くなったな……
お前の、誰かを守る力、しっかりと、
見させてもらった……」
「レノさん…、レノさんのおかげで僕は、
ここまで強くなれたんだ、
本当に、本当に、
ありがとうございます……」
「あぁ、坊主……いやもう、坊主
じゃ…ねぇ…な、ユウト…手を出せ」
レノは、差し出された手を握る。
「ユウト、今から……俺のゲートを、
お前に……流し込む、しっかりと、受け取れよ」
ーーーーーハイ……。
手を伝い、ゲートがユウトへと、流れ込む。
その時、奥の扉が開き、騎士達が現れ、
ユウト達を、囲うよう並ぶと、
剣を、ユウトへと向ける。
そして、奥から、1人の男が現れる。
王「ほう、そやつを倒すとは、
中々やるではないか、どうだ坊主、
私の配下として、働く気はないか?」
「ユウト…そんな奴の話を、
聞くこたぁねぇぞ……お前の信じた道を行け、
お前なら、それが出来る……」
ーーーーーはい、レノさん………。
ユウトは、握っていた、手を強く握り、
ぽたぽたと、涙を流す。
ーーーーーーーその時。
大広間の前に、たどり着いた、
ベルを、抱き抱えるレオ、サーシャが、
扉を少し開け、中の様子を伺う。
王「ほう、そやつにそこまで言わせるとは、
欲しい、どうだ、坊主、お前は、
マイヤが欲しくて来たのだろう?
ならば、マイヤを、
お前の女にしてやろうではないか?
どうだ、悪い話じゃぁないだろうぅ?」
「貴方は……サーシャを、
なんだと思っているんだ、
サーシャは、物じゃない、
貴方が、決める権利なんて無いんだ!!」
王「坊主、何を勘違いしている、
マイヤは、私が生み出した物なぁんだよ、
マイヤをどうしようが、
この私の自由なのだよ!」
ーーーーーーアッハハハハハハ、ハハハハァッ。
「ユウト……行ってこい、嬢ちゃんを、
この国を、救いに行ってこい…」
ーーーーーはい!!
レノは、ゲートを渡し終え、目を閉じる。
ユウトは、レノを抱え、立ち上がる。
王「交渉決裂か……惜しいが、仕方あるまい、
その男ごと、そやつを、刺し殺せ」
騎士達は、王の言葉を聞き、
剣を、突き刺そうとした瞬間だった、
ユウトの瞳が、深紅色に輝き、
辺りが、深紅の炎に包まれ、
壁へと歩き出し、立ちはだかる騎士に言う。
ーーーーーーそこをどいてくれ……。
だが、
周りを囲う騎士達は、ユウトへと斬りかかるが、
騎士達は、深紅の炎に焼かれる。
ユウトは、壁の側に、レノを横たわらせる。
ーーーーーーレノさん、行ってきます。
そう言うと、ユウトは、
リューネ王の、方へと振り向く。
ーーーーーーーーーーーーーー
広間の方では、
レオが、サーシャの顔を見て、
うっとりしている事に気が付き、
冗談を言っていた。
レオ「サーシャ、目がハートになってるよ」
ーーーーーーへっ?
サーシャは、顔を赤らめ、頬を押さえ動揺する。
「な、な、な、な、何よ、
目がハートって、そ、そ、そんな形に、
なるわけないでしょ!!」
ーーーーあははは、なってたけどね〜。
「う、う、うるさいわね!こんな時に、
そんな冗談を、言ってる場合じゃないでしょ!!」
ーーーーーアハハハハ。
「サーシャのさっきの顔を見てたら、
ついつい、いじりたくなっちゃってさ」
「もう!!良いから中の様子を、
伺うんでしょ!!」
「そうだね、まぁ、ユウトなら、
大丈夫だと思うけど、いざって時の為に、
僕も、準備しておかないとね」
そう言うと、2人はまた中の様子を伺う。
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