第28話 黒い炎
ユウト「リューネ王、貴方を倒し、
サーシャを、この国を救いだす!!」
深紅の剣を、リューネに、向け言い放つ。
王「ほう、面白い、この私に、そんな事を、
言う小僧は、お前が初めてだぞ」
ーーーーーーーアハハハハァァァァ。
リューネは、高笑いをして、
剣を抜き、水のゲートを開き、
紺碧色の瞳が、輝き、剣へと魔力を流し込むと、
剣が、紺碧色に輝く。
王「面白い、小僧、出来るものならやって見せろ、
奴隷風情が、王に敵わぬことを、
徹底的に、その体に教え込んでやろう」
ーー奴隷の力、見くびらない方が良いですよ。
そうして、ユウトが、飛びかかり、
水と、炎の剣がぶつかり合う。
ーーーーーーーーージュゥゥゥゥ。
何度も何度も、剣がぶつかり合う度に、
水が炎を消そうと、炎が水を燃やそうとして、
音を立て、蒸気が辺りに立ち込める。
ーーーほう、私の魔力の剣に、劣らぬか。
何度か剣がぶつかり合う、中で、ユウトは
ある事に気が付き、剣を振ると、後ろへと飛ぶ。
ーーーーどうして貴方がこの剣技を!!?
リューネ「当たり前だろう、
あやつに、剣技を教えたのは、
この私、なのだからなぁ」
リューネは、そう言うと、手を前に出し、唱える。
ーーーーーヴァンレイン。
水の塊が、大量の、刃へと変わり、
ユウトを襲う、剣で防ぐが、
いくつかの刃が、ユウトを切る。
ーーーーークッ、なら、ベリウスッ!!
瞳の色が深紅色、もう片方が、黒色に変わると、
激しく輝きを放つ。
ーーーーヴァァォァァァァァ。
深紅に燃え盛る炎が、辺りの蒸気と、
水の刃を、瞬く間に、燃やし尽くす。
「ほう、貴様には、
王族の血が、流れているのか?」
ーーーーーど、どう言う事だ!?
王「それは、精霊だろう?王の血族のみ、
ゲートの中に、魂を封じ、その魂を、
精霊として、使役する事ができる、
まぁ、知らなくて当然だろう、
王族のみ知ること、使う事ができる、
物なのだからなぁ〜」
ーーーーーそうか、君達は、あの時の……。
ユウトの、心の中に声が響く。
『ようやく、気付いてくれたようだな』
「うん!ベリウス!この世界を救う為に、
力を貸してくれ!!」
ーーーーーヴァァァァァァァァ。
ーーーーーふん、行け、レイン。
リューネの、瞳が輝き、悲しげな、
人型の水が現れる。
ーーーーーその精霊は、まさか!?
リューネは、ユウトの、驚いた顔に
高笑いをする。
ーーーーーーアハハハハァァァァ。
ーーーーーーそうだ、我が妃、レインだ。
「リューネェェ!僕は、貴方を許さない!!」
そして、ユウトは、飛びかかり、斬りかかる
リューネは、それを防ぎ、
剣と剣がぶつかり合い、
精霊と、精霊が、ぶつかり合う。
「貴方は、どこまで!人を何だと思っているんだ」
「人?何を言っている、
私以外なぞ、全て道具に決まっているだろう」
ユウトは、その言葉を聞き、激怒する。
ーーーーーうぅぁぁぁァァァァー!!
ユウトの体に、黒い炎が渦巻く。
ーーーーー何だその炎は?
リューネは、ユウトに問うが、
ユウトは、何も話さず、リューネに斬りかかる。
「怒りで言葉を失ったか、ならば、そのまま逝け」
ーーーーーヴァァァァァァァァ。
炎の精霊と、ユウトが、吠え、
リューネに、更に速度を上げた剣戟が襲い、
炎の精霊は、精霊レインへと、黒炎を吐き、
精霊レインは、水を放ち、食い止める。
ーーーーーな、何だこの速さは!!
リューネは、必死に、剣を防ぐが、
追いつけず、一太刀が、リューネを切り裂く。
ーーーーーーーーーーーーーーグハッ。
「く、クソォガァァ!!来るなぁぁ
レイン!奴を殺せェェ!!」
リューネは、怯え、後退りするが、
ユウトは、一歩また、一歩と、
リューネを追い詰めて行く。
ーーーーーーースッ。
精霊レインは、水の槍でユウトを、
刺し殺そうとするが、
精霊ベリウスに、止められ、
黒炎で、燃され、リューネのゲートに戻っていく。
ーーーーーースタンッ、スタンッ。
そして、また一歩と、ユウトが歩いて行く。
その時、扉が開かれ、レオと、ビルが飛び出すと、
レオが、ユウトに、炎の魔法を放つ。
ーーーーーヴォルバースト!!
ユウトは、振り返り放たれた炎を、
真っ二つに切ると、その炎の後ろから
レオが現れ、ユウトの手を鞘で殴り、
ユウトは、剣を落とす。
ーーーーーーグァァォァァォァアァア。
レオ「ビルさん!!」
ーーーーーーおう!
そう言うとビルは、床に手を着くと、唱える。
ーーーーーーヴォルヴストーン。
すると、壁の石が飛び出て、
ユウトの手足へと絡まり、動けないようにする。
ーーーーーーガァォォォァォオァァ。
ユウトは、叫び、暴れる。
「サーシャー!君が、ユウトを正気に戻すんだ!」
ーーーーーーええ!!
サーシャは、走り、ユウトの胸へと飛び込む。
ーーーーーお願いユウト、目を覚まして!!
ーーーーマ、マイヤ、貴様ァァ!!
ーーーーーーーースパァァン。
リューネが、何かを言いかけた時、
レオが、リューネの頭を鞘で殴り、気絶させる。
ーーーーーグフゥゥ。
「大事な所なんだ、邪魔は、しないで貰おうか♪」
「ユウトのバカッ、どうしていつも、
そんなに優しいの、初めて会った時、
だってそう、自分だってもっと、
辛くて、苦しい、日々を送って来たのに、
私達の話に、涙を流したりして」
そう言うと、涙を流し、ユウトの胸を叩く。
「誰かが、助けを求めてると、
誰もが見て見ぬ振りをするのに、
貴方は、絶対に助けようとする、
私なんて、どうなっても良かったの」
更に涙が溢れ、落ちる。
「ベルだけを、守ってくれれば
それだけで、それだけで、良かったのに……
それなのに……こんな、こんな……
私の為に、こんな風になってまでぇ……
バカッ、バカッ、バカァァァァ」
サーシャは、そう言うと、
何度も何度も、ユウトの胸を叩くのだった。
「でもね、ユウト、そんな貴方が、
世界で一番、大好きよ」
そして、サーシャは、ユウトの頬にキスをする。
『サ……ァシャ……』
ユウトの、瞳の輝きが治まっていき
瞳を閉じて、意識を失う。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして、ユウトは、眠りにつく。
ーーーーーーーここは……?
暗闇の中で、歌声が響き渡る。
しばらく、歌声を聴いていると、
ふと、女性の、顔が浮かぶのだった。
「やっぱり、どうして、こんなにも、
こんなにも近くに居たのに、
気が付かなかったんだろう、この声は……」
ユウトは、眠りながら涙を流し、
目を覚ますと同時に、名前を叫ぶ。
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