第26話 息子の勇士




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


襲い来る騎士を、ジオ、ダット、メートは、

切り捨て、シィーロは、ハンマーで薙ぎ倒し

後ろへと下がり、背中合わせになる。


ダット「ジオ、メート、シィーロ、

      気を抜くな!まだまだ来るぞ!!」


ジオは、向かってくる騎士を切る。


ーーーーー分かってるわよ!


ジオ「もうッ、全く、キリがないわね」


メート「全くよ……どんどん湧いてくるし」


シィーロ「あ〜もう、いっぱいいるよ〜」



騎士団長「オセェェェェェェ!!

     逆賊どもなぞに遅れを、

     とりおってェェェェ!!

     この国の、恥さらしどもがぁぁぁ!!」


騎士「うォォォぉぉぉぉぉぉ!!!」


更に追い討ちをかけるように、騎士たちが、

一団に、襲いかかる。


ジオ「マズイわね、向こうの勢いが増してきたわ」


ーーーーーー任せて!!クラックブレイク。


シィーロが、地面に手を着き、唱えると、

地面から長方形の石が、

騎士達に向かって飛んでいき、

騎士達を吹き飛ばし、壁へと叩きつける。


ーーーーギャャャャャャ!!

 


ーーーーーハァハァ…………。


ジオ「シィーロ!大丈夫!?」


シィーロ「うん、でも、魔力が、

       今のが限界みたい………」


 シィーロの瞳の輝きが、戻っていく。


更に追い詰める為に、

魔法騎士団が、並び、ゲートを開き構える。


ーーーーーーー構えェェぇぇぇ!!!


騎士達は、手を前に出し、団長の号令を待つ。


ーーーーーーー放てぇぇぇぇぇ!!!


団長の、号令と同時に、

無数の、地、水、火、風、雷の魔法が放たれる。


ジオ、ダット、メートが、シィーロを、

守る為、前に立ち、ゲートを開き、瞳が輝く。


ダット「2人とも、振り絞れぇぇぇ!」


ジオ「分かってるわよ!!行くわよメート!!」


ーーーーーええ!!


ーーーーーウォーターウォール。


水の壁が現れるが、いくつかの魔法に、

打ち破られる。


ーーーーーーヴェフォール。


炎の塊が爆発し、魔法を打ち消す。


ーーーーーーディヴァインフォトン。


光の衝撃波が、魔法騎士団を吹き飛ばす。


ーーーーーはぁはぁ。


騎士団長「続けぇぇぇ!!!

     敵は、疲労している!!

     一気に、攻め立てろぉぉぉぉ!!!」



騎士達が、剣を構え、走り出す。


ジオ「クッ、そろそろマズイわね、

   ダット、メート!!

   シィーロを連れて、下がって!!

   私は、ユウト様の元へ向かうわ!!」


ダット「ジオ!一緒に、引くんだ!!

      ユウト様の言葉を忘れるな!!」


ジオ「私は、良いの!!早く行って!!」


ダットは、暴れるジオを抱き抱えると、走り出す。


ダット「メート!!!シィーロを!!


ーーーーー分かったわ!!


ダット「ビルスさん!!退避を!!」


ビルス「そろそろ限界か……」


(レオ様、ユウト様、後は頼みましたよ!)


ビルス「引けぇぇぇ!!

    怪我している者には、

    手を差し伸べろ!全員退却!!!!」



ーーーーーウオオォォォォォォ!!


騎士団長「逃すなぁぁぁーー!!

       逆賊を、討ち取れぇぇぇ!!」



迫り来る、騎士達の前に、

ビルスが、立ちはだかる。


ーーーービルスさん!!


ビルス「行けェェ!!ここは、必ず食い止める!」


ジオが、暴れ、ダットの手から降りる。


ーーーーーーんんんん!!!


ジオ「ビルスさん!私も、加勢するわッ!」


ビルス「ありがたい!!お前達は、早く行け!!」


ダットは、歩みを止め叫ぶ。


ダット「メート!!

    皆んなを先導して、逃げろ!!」


ーーーーーーダット!貴方どうする気!?


ダット「俺は、ユウト様の願いを、守りに行く」


笑顔を見せ、ジオ達の元へと走る。


ーーーー全くもう、……気を付けるのよ!!」


ダット「ああ!!行ってくる!!」


ダットは、振り返り手を振る。


メート「皆んな!!急いで!!

      絶対に、生きて帰るのよ!!」


ーーーーーーハイ!!!


城門を超えるため、一同は走り出す。


ーーーーーーーーーーーーー


ダットは、引き返すと、

ジオ、ビルスの横へと並ぶ。


ダット「ビルスさん、私もここに残り、

    ユウト様の、願いを守る為、

    2人を、守らせて頂きます!!」


3人は、切りかかって来た、騎士達を切り捨てる。


ビルス「やれやれ、そんな事を言われちゃ〜、

    断れないな、頼むぞ!!

    ジオ!!ダット!!」


 

ーーーーーーーはい!!!



ーーーーーーーーーーーーーーーーー


後方では、橋に渡る途中、2人の青年が、

ゲートを開き、手を構え、

メート達の前へ立ちはだかる。


ーーーーさぁ〜、皆さん、戻って貰いましょうか。


メート「貴方達が、どうして!?」


その青年は、ユウトが、奴隷商から助けた、

男の子だったのだ。


ーーーーーーアハァハァハハァ。


「僕達はね、ユウトに、助けられた事は、

 感謝はしてるよ、でもねぇ、

 あの日、僕の野心が、

 生まれちゃたんだぁぁ〜〜、

 家族でさえ、僕達を売るのに、人なんて、

 信用できるはずがないだろぉぉ〜、

 だぁから、僕は、この国のスパイに、

 なる事にしたんだよ〜」



ーーーーーーアハァハァァハハハ〜。


そして、一同は、城門の中へと戻される。


ーーーーーおい、城門を閉じるぞ。


ーーーーーーハイッ!!



2人の青年は、城門の留め具を外し、

城門を閉じる。


ーーーーじゃあね〜〜。


そして、城門の扉を開く為のレバーも、

破壊されていた、

メートは、怒りを地面にぶつけ、叫ぶ。



ーーーーークッ、クソォォォぉぉぉぉぉぉ。




その時だった。壁の向こうから、

何かが、ぶつかる音が鳴る。


ーーーーーードォーン、ドォーン。


ーーーーえッ、な、なに?


メートは、壁の向こうからの、音に驚き、

不安な顔をする。



その後、更に壁が振動し、音が響く。


ーーーーードゴォーン、ドゴォーン。


そして、徐々に、壁が崩れていき、

壁の耐久が限界を達して、崩れ、1人の男が、

壁の向こうから吹き飛んでくる。



ーーーーーーバゴォーン。



ーーーーあっ、あうぅぅぅぅ。


その男は、野心を抱いた男だった、

ピクピクと、痙攣し、白目をむいていた。


そして、壁の向こうから、2人の男女が、現れる。


「全く、急に襲いかかるなんて、

 困った子だよ………」


「や、やり過ぎじゃねーか、

 痙攣してるぞ…………」


「し、仕方ないじゃないか!

 こんなか弱い、乙女に、

 刃を向けたんだよ!!」


「か弱いなぁ〜〜、まぁ、そんな事より

 早く行くぞ」


肩にかかった、石を払いながら、歩き、

シィーロの、顔を見ると駆け寄る。


ーーーーーシィーロ!!大丈夫かい!?


メート「し、知り合いですか!?」


ーーーー私の、子供だよ


シィーロは、ジルの声に気が付き、

目を開き、答える。


シィーロ「ジルさん、ビルさん、向こうで、

     ジオが、助けてあげて……」


シィーロは、城の方を指差し、助けを求める、

ジルは、シィーロの、手を握る。


ジル「シィーロ、頑張ったね!!

   しっかりと休みな、あんた!!行くよ!!」


ビル「あぁ、お前達は、シィーロを頼むぞ」


ーーーーーハイ!!お願い致します!!


ジル「任せときな、うちの子の、

   勇士を、見届けに、

   行かないといけないからね」


ビル「あぁ、俺達の、自慢の息子だ、

   息子の勇士を、しっかりと、

   目に焼き付けないとな」


雨が降りしきる中、ジルとビルは、城門を超え、

ジオ、ダット、ビルスの元へと向かう。


ーーーーーーーハァハァ。


ジオ「ダット!!まだまだいけるわよね!!?」


ーーーーーー当たり前だ!!


ダットは、向かってくる、騎士を切り捨てる。



ゲートを開き、ビルスが、唱える。


ーーーーーーヴェフォール。


放たれた、炎が爆発し、騎士を吹き飛ばす。


ビルス「2人とも!踏ん張れぇぇぇ!!

    この国を、救おうと、

    立ち上がった者の言葉を、

    忘れるなぁぁぁ!!」


ーーーーーーええ!!!


ーーーーーーハイ!!



その時、ジオの肩を押さえ、

ジルと、ビルが前に出る。


ーーーーーージルさん、ビルさん!!


ジオは、2人の顔を見ると安心して、涙を流す。



ジル「ジオ、手紙ありがとうね、

   雨で、手紙が、濡れちゃってて

   乾かすのに時間が、かかって、

   遅れちゃったよ、ごめんね」


ーーーーい、いえ、ありがとうございます……。


ビル「お前達は、少し休んでろ」


ビルス「ありがたい、御二方、宜しく頼みます!」


ジオ、ダット、ビルスは、

後ろへと下がり、座り込む。



ビル「よぉ〜し、ジル、

     久しぶりに、本気を出すぞ」


ーーーーはいよ!!行くよ!あんたァァ!!


ジルの瞳が輝くと同時に、

物凄い速さで、騎士達を、殴り倒していく。



ビルは、ゲートを開き、巨大な岩を、

騎士団長に向けて、放ち、一掃する。



ーーーーなぁんだァァ!?アイツらは!!?


そして瞬く間に、騎士達が一掃されていき、

残った者達は、悲鳴をあげて、逃げ去って行く。


ーーーギャャャャャャ!!!


ジル「ふぅ〜〜、こんなもんかね?」


ビル「今の、若い者は、全然鍛え方が

     なっちゃいねーなぁ」


ーーーーーさぁ、あんた、行こうか?


ーーーーーーあぁ、そうだなぁ〜。


ジオ「ジルさん!ビルさん!私も行きます!!」




ジオは、ジルとビルの後を追い、

城の中へと向かう。


ビル「ここは、任せたぞぉ〜」


ビルスは、驚き、空いた口が塞がらなかった。


ーーーーーーはっ、ハイ!!


 


  


そして、ジオ達は、

ユウトの元へと向かうのだった。

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