第32話 ベリス=クエール

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レオ「これが昨日起きた出来事だよ……」



ーーーそ、そんな事が………。



レオ「それと、明日戴冠式が行われ、

   サーシャがこの国の女王になる、

   そこでユウト、僕達から、

   君にお願いがあるんだ」


ーーーお願い?


レオ「うん、ユウト君にこの国を、

   引っ張って行く存在になってもらいたい、

   そこで君には、サーシャ側近の騎士に

   なってくれないかな?」


   


ーーユウト、私からも、お願いするわ。


ユウトは、唐突な申し出に驚くが、

覚悟を決めて頷く。


ユウト「うん、必ず君を守るから」


そして、次の日

戴冠式が行われた。


サーシャは、煌びやかな服を着て

玉座に座り、ユウトは、

サーシャの隣に立つ。


ーーーーミヤギユウト、こちらに。


ユウトは、サーシャの前に立ち、

膝をつき頭を下げる。


「ミヤギユウト、これより貴方は、

 この国の騎士、私の為に使えてもらいます、

 どんな事があろうと、私の側に」


「はっ!どんな事があろうとも、

 貴方を守り抜く事を誓います」


サーシャは、玉座から立ち上がり、

王族の剣を手に取ると、ユウトに手渡すと、

小声で呟く。


ーーありがとう、ユウト。



サーシャは、ユウトの頬に

口づけをすると、少し顔を赤らめる。


玉座の近くに立っていた、レオと、

ベルがヒソヒソと話す。


レオ「これが挙式だったら、

   良かったんだけどね〜」


ベル「フフフ、そうですね」


サーシャは、眉をピクピクさせながら、

玉座に座り、拳を握りレオを睨みつける。



「覚えてなさいレオ〜〜」


そして、戴冠式が終わり、

王女を待つ民衆の元へと向かう。


広場に着くと、

サーシャは、頭を下げ民衆に挨拶をする。


「先程王女に就任しました、

 マイヤ=ヴァーチェルです」


挨拶をすると、声を高らかにして告げる。


「此処に宣言します、これより、

 テオドラ国内での、身分格差を廃止致します、

 貴族の地位剥奪、そして奴隷の解放、

 これを破る者は、騎士ユウトが処罰します」


ユウトは、前に出て、

剣を掲げゲートを開き、精霊を呼ぶ。


(ベリウスお願い……)


(仕方ねーな……)


ーーーーヴァァァァァァァォォォぁぁ!!


精霊は、高らかに叫ぶ。


それと同時に、民衆の中に居た、

奴隷達の歓声が上がる。


ーーーうぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉォォォ!!


(全く、精霊使いが荒いご主人だぜ)


(ご、ごめん、ベリウスこの宣言を貴族達に、

 通すには君の力が必要なんだ)


(まぁ、ユウトには、返しきれない恩が

 あるから仕方ねーな)


(ありがとうベリウス)


(本当にあの時ユウトが通ってくれたおかげで、

 こうして2人で居られるからな!)



ノア(べ、ベリス!!恥ずかしいわ!

   ごめんなさいユウト)


(大丈夫だよ、2人とも幸せになって貰えたなら、   

 僕も嬉しいから)


(まぁ、最近まで

 全然気づいてくれなかったけどなぁぁ〜)


(ご、ごめん……僕も精霊なんて話、

 全く知らなくて……)


(まぁ、俺もゲートの譲渡は、

 知ってたけど、精霊になれるなんて

 知らなかったからなぁ)


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12.13



ノア=ライエット

ベリス=クエール


テオドラ国、貴族、ライエット家の庭園、

花をかき分け、男が忍び込む。


『ガサガサ』


庭園に居た、ライエット家の娘、

白い肌、青髪、青い瞳の女性が、

花、草を掻き分ける音に驚く。


ーーーーーーえっ?


『ガサガサガサガサ』


ーーーープハッ〜。



「よぉ、ノア!!」


「ベリス!?もう、来ちゃダメじゃない!!」


「へへッ、良いじゃね〜か、どうせ

 庭園に親父は、あんまし、来ね〜んだろ?」


ーーもう、バレたらどうするの!!



「へへ、そん時は、

 上手い事誤魔化してみせるから安心しな」


2人の出会いは、

ベリスの母が、ライエット家の召使いであり、

何度か、母がライエット家に、ベリスを、

連れて仕事をしている間、

遊び相手になり、いつしか2人は、

仲良くなっていた。


そして、7年の時が経ちベリスは、

箱入り娘で外出が許されないノアに会う為、

貴族のライエット家に忍び込んでは、

街での出来事や、

街で売られている物をお土産に、

会いに行っていたのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


夕暮れになり、ベリスは、帰って行く。


「ノア!それじゃあまたな!」


ーーーええ!またねベリス!


ノアは、ベリスを見送ると、

屋敷へと入っていく。


召使い「ノア様、先程ラーゴ様が、

    お帰りになられました」


ーーそう………。



召使い「それと、ノア様を書斎にと」



ーーえ?お父様が?


ーーはい。


ーーー分かったわ。


ノアは、父の書斎へと向かう、

書斎へと入ると、頭を下げ、父に声をかける。


ーーお帰りなさいませ、お父様………。


ラーゴ「おぉ、ノア!!良い知らせが!!」


ラーゴは、ノアに歩み寄ると、

肩に手を置き、嬉しそうに話す。


ラーゴ「遂に相手が決まったのだ!!」


ーーお父様、その事ですが………。


ラーゴは、ノアの話を聞かず続けて話す。


「相手はバーノス家の当主アッシュ様だ、

 あのお方は、それはもう

 お前の事を気に入ってすぐにでもと、

 明後日、会いに来るそうだ」


ラーゴは、嬉しそうに話すが、

ノアは、話を聞いてもらえず、

ため息を吐き、部屋を出る。


ーーベリス…………。


ーーーーーーーーーーーーーーー。


翌日


ベリスは、庭園に忍び込み、

ノアに会いに来ていた。



「よっ!ノア!また遊びに来たぜ!」


「ベリス、頭に葉っぱがのってる」


ノアは、ベリスの頭に乗った葉っぱを、

取ろうと背伸びした時、躓きベリスの

胸元に倒れ込む。



ベリス「大丈夫か?」



ベリスは、ノアを支え抱きしめる。


ノア「あ、ありがとうベリス……」


ベリスは、少し顔を赤らめ、返事をする。


ーーーお、おう。


ノアは、ベリスの胸に顔を埋め、涙を流す。



ーーーーあのね……ベリス……私………。


ーーノア?どうしたんだ?


「明日、バーノス家の当主アッシュと、

 婚姻の儀を結ぶ為、会う事になったの……」


複雑な気持ちで、ノアの事を、

祝福しようと言葉にするが、

心の底から祝福出来なかった。


ーーそ、そうなのか……それは……良かったな…。


ーーう……うん………。


ノアの涙をベリスは、理解出来ていなかった、

まさか、ノアが自分のことを、

愛しているとは、思っていなかったから。


そして、少し沈黙が続いた後、

ノアは、自分の心の中にある好きって気持ちを、

抑えられず、言葉にする。


ーーーベリス……。


ーーど、どうしたんだ?


婚約の儀の話を聞いた、ベリスは、

動揺していた。



「私……私は、貴方の事が………

 ずっとずっと、昔から貴方が好きなの………」



自分の本当の気持ちを

言葉にしたノアは、大粒の涙を流すのだった。



ーーノア……。


「俺だってお前の事……

 ずっと昔から愛していたさ………」


そう告げると、ノアを強く抱きしめる。


ーーベリス……。



「ノア、今夜俺と一緒にこの国から逃げよう、

 フィーネならきっと、ルーカス様が

 迎え入れてくれるはずだ」


ーーーうん。


「ベリス、貴方と居られるなら……

 私……何処へでも…行くわ……」



そして、2人は口付けを交わすと、

国を出る為の支度をする為、

別れるのだった。


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