第23話 決意


〜夕刻〜



雨が降りしきる中、

ムール村中央の建物に、装備を整え、黒マントを、

羽織り、200人程の、多種族達が並び、

ユウトの言葉を待つ。


ユウトは、両手を握りしめながら、

真剣な眼差しを送る。



「皆んなに、聞いて欲しい事がある、

 信じられない話だと思うけど、

 僕は、この世界の人間ではないんだ、

 元いた世界では、僕は、毎日母に打たれ、

 そして、水の中に沈められ、

 死んだとしても、埋めるだけだと、言われ、

 毎日母に、イライラした時の、解消道具だと、

 道具の様に、扱われて来たんだ……」


ーーーーーユウト様……。



「だから、元の世界では、ずっと僕は、

 助けを求めてた、苦しい、誰か助けてって」


ユウトの、目から涙が溢れ落ちる。


「そんな時、この世界の女の人に、

 この世界に連れてきてもらったんだ、

 僕は、彼女に救われた、だから、

 僕も彼女の様に、

 誰かに虐げられ、道具の様に扱われ、

 苦しんでいる、人々を救いたいんだ……」


話を聞く、人々も、涙を流す。

 

ーーーーーーーうっうっ。


「そして今、この国の王女である、

 サーシャ、ベルが、王の政治の道具として、

 使われようとしてる、どうか、サーシャベルを、

 救う為、みんなの力を貸して欲しい!!」



ーーーーーウォォォォぉーー。


「ユウト様!!一生ついて行きますよ!!!」


ーーー救って貰った、この命、ユウト様の為に!!


ムール村に、大きな声が響き渡る。


ーーーー皆んな………ありがとう……。


レオは、ユウトの肩に手を置く。


レオ「ユウト、必ず助け出そう」


ーーーーうん!



シィーロ「う…うっ…ユウトお兄ちゃんーー」


ジオ「ユウト様ーー」


ジオと、シィーロは、ユウトに飛び付き抱きつく


ーーーーージオ、シィーロ……。


ユウトは、2人の頭を撫で、抱きしめる。


そうしていると、見知った顔の2人が、

近づき、頭を下げる。



ーーーーーユウト様!!



ユウト「ダット、メート、ジオ、

      君達に、お願いがある」


ジオは、ユウトから離れ、ダットの横に並ぶ。


ーーーーーーーはっ。


ユウト「必ず皆んなを、守って欲しい、

    それと、危険を感じたら、

    僕達が、まだ城に残っていたとしても、

    必ず、皆んなを、連れて逃げて、

    頼めるかな?」


ダット「ユウト様……分かりました、

      必ずや、皆をお守りします!」


ーーーーーーありがとう。


ユウトは、ダット達の肩を触れ、

ベルの方へと向かう。


ベル「ユウト、ありがとう……」


ーーーーーあれ?ベル、泣いてるの?


ベル「ち、違いますよ、これは雨なんです!!」


そう言うと、ベルは、マントを深く被り顔を隠す。


ユウト「ハハハ、やっぱり、ベルは

      サーシャに、似てきたね」


ベル「ふふ、そうかもしれません、

     だって、私達は、双子ですから」


ユウト「そうだね、ベル、

     それじゃあ、そろそろ行こうか」


ーーーーーーーはい!


風のゲートを持つ者が、集まり唱える。


ーーーーーーイルテンペスト。


全員を宙に浮かせ、城へと飛び立つ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


〜夜中〜


テオドラ国、街は静まり返り、

雨の音だけが、街に響く。


ーーーザァザァー。


城門近くの建物の影に、散り散りに隠れ

城の様子を見る。


ーーーーー見張りが2人だね。


レオ「よしッ、まずは、僕とユウトで、見張りを

   気絶させる、その後、橋を下ろすから、

   すぐに、地のゲートを持つ人達は、

   城門の前に、来て欲しい」


シィーロが頷き、その他の、地のゲートを持つ

面々も頷く。


ーーーーーーうん!!


ーーーーー了解しました!


レオ「よしっ!ユウト行くよ!!」


ーーーーーーうん!イルテンペスト。


ユウト達は、宙に浮き、闇に紛れ、

城門前へと飛ぶと、

2人の見張りを気絶させ橋を下ろす。


シィーロ「皆んな行くよッ!!」


ーーーーーはい!!


シィーロの、合図と共に、

複数人も走り出す。


ユウトは、先に、地のゲートを開き、

集中する、瞳の色が変わり輝き出す。


シィーロ「皆んな!

     ユウトお兄ちゃんに、魔力を送って!」


ーーーーーーーーはい!!


シィーロと、地のゲートを持つ複数人が、

ユウトの背中に触れ、地の魔力を、送りこむ。


すると、ユウトの瞳が、輝きを増し、唱える。


ーーーーーーーーフォルッアース!!


地面から、城門に向け、

巨大な四角の柱が、城門を貫く


ーーーーーーーードォーン。


ユウト「行くよっ!!!!!」


ーーーーーーーうおぉぉぉ、続けェェ!!


宿舎、城から慌てて、騎士達が、飛び出す。


ーーーーーなんだっ!!何事だぁぁ!!?


ユウトは、雷のゲートを開き、

唱えると、手から雷を放つ。


ーーーーーフィルインパルス。


放たれた、雷は雨を伝い、

周りの敵を、一気に気絶させる。


ーーーーーーひぇぇぇ。


騎士団長「お、お前達!!に、にげるなぉーーー」


ユウト「皆んな!!後は、頼んだよ!!!」


ジオ「ユウト様!!!お気をつけて!!」


ユウトは、先陣を切り一気に、駆け抜ける。


レオ「ベル!!!行くよっ!!!」


ーーーーーーハイッッ!!!


レオとベルは、後に続き、城の中へと入る。



ジオ「さぁ〜!ダット、メート、シィーロ!!

     ユウト様の為に、守り抜くわよ!!」


ダット「あぁ!当たり前だろ、

    トルブラなんかの為なら、絶対に

    嫌だけど、ユウト様の為なら、

    何だって、やり遂げてみせるさ!!」


メート「当たり前でしょ!!!ユウト様の為に!」


シィーロ「うん!!絶対に!!!!」


ビルス「よしっ!!!

    4人に、負けてられるカァ!!!

    お前達ィィ!!!行くぞぉぉぉぉぉ!!」


ーーーーーーうおおぉぉぉぉぉぉ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る