第22話 奪還作戦


ユウト達は、席に座ると、サーシャを、

救い出す為の、話し合いが始まるのだった。


ビルス「それでは、まず、サーシャ様を、

    どう助けるかですが、

    何か、考えはありますでしょうか?」


ビルスが、手を組み、ユウトの方を見る。


ーーーーーーうん、その事なんだけど……。


ユウト「上空からの、侵入は、無理かな?」



ーーーーはい、無理だと思われます。


ビルス「城壁から上空は、円形状に、

    魔法防壁が貼られています、

    例え破れたとしても、

    全員が、攻め込む事は、出来ません」


ーーーーーーーそっか。


ユウト「なら、正面突破しかないね、

    僕の、地の魔法で、城壁を崩すしか……」


シィーロ「地の魔法なら、私もぉ〜〜」


レオ「うん、シィーロと、

   後、数人の地の魔法で、突破出来るとして、

   昼間から、大国相手に、攻めるんじゃあ、

   勝算は、無いと思う。

   


ユウト「そうだね、だから、夜の奇襲だよね?」


レオ「うん、それと、突破してからなんだけど、

   残って逃げ道を確保しておく、

   人員が必要だね、ジオ、シィーロ、

   ビルスさんと、

   一緒に、お願いしても良いかな?」


ジオは、少し残念そうに言う。


ジオ「ユウト様の、お供をしたかったのですが……

   分かりました……」


ーーーユウトお兄ちゃん、私、頑張るよ!!


ユウト「ジオ、シィーロ宜しくね!」


ーーーーハイ!!



レオ「それから、ユウト、君には、サーシャを、

    探し出して、連れて来てもらいたい」


ーーーーーうん、レオ、その事なんだけど……。


レオ「どうしたの?」


ユウト「ずっと考えてたんだけど、

    サーシャを、連れて逃げても、

    また、ずっと、リューネ王に、

    追われ続けると思うんだ」



レオ「うん、そうだね……でもどうするの?」


ユウト「この国と、サーシャ、ベル、

    全てを、救おうと、思ってるんだ……

    だから僕は、リューネ王を、

    倒そうと思ってる……」


ーーーーーーベル、ごめん……。


ベルはユウトの覚悟を聞くと、

頷き、話し始める。


ベル「いえ、大丈夫です、ユウト、

   あの人は、自分達の子供を、

   道具としか見ていません……」


そう言うと、ベルは悲しげな顔をする。


ベル「それに、レオの……いえ、

   他にも、人としての大罪を犯して、

   この世界を、変えた一人なのですから」


ーーーーこの世界を?


ベル「そうです、あくまで噂ですが、

   各国の王が、結託して、

   起こした事件が、奴隷制度が、

   出来たきっかけになったのです」


ーーーーーそうなんだ、各国の王達が……。


その時、レオがユウトの肩を、叩き呼びかける。


レオ「ユウト、大丈夫さ、君なら、王が相手でも、

   勝てるかもしれない、

   僕は、君に全てを賭けるよ!!」



ビルス「あははは、レオさんがそこまで

    ユウトさんに、期待してるなら、

    私達も、全てをかけましょう!!」


ーーーーーーう、うん。


ユウト「す、全てか……責任重大だ……」


レオ「そうだよ、ユウト、責任重大だよ♪

   何たって、僕らの全てを賭けてるからね」

   

ーーーうん。


レオ「でもねユウト、僕達が、

   全てを賭けられるのは、

   君を心から信頼しているからだよ」


ーーーーーーーー皆んな、ありがとう。


ユウト「その信頼に、必ず応えるよ!

    僕は、王の所へ、向かう、

    誰か、サーシャの所へ向かって、

    サーシャを、守って貰えないかな?」


ユウトがそう言うと、

ベルが手を上げて机に乗り出す。


ベル「私が向かいます!!」


レオ「べ、ベル!?君は、ここに残って……」


ベル「いえ!私が、

    お姉ちゃんの所へ向かいます!!」


レオは、ベルの根気に、負けて、諦める。


レオ「わ、分かったよ……

   でも、一人で行かせる訳にはいかないから、

   僕も、護衛としてついて行くよ?」


ベル「私一人だけで、大丈夫です!!」


そう言うと、ベルは、腕を組み、

頬を膨らませると、ユウトは、

サーシャの、いつもの姿が重なる。


ユウト「べ、ベル、サーシャみたいだよ」


ーーーーーあははは、確かに。


レオ「ベル、そう言っても、僕は、ついて行くよ」


ーーーー分かりましたッ!

   

レオ「それじゃあ、ジオ、シィーロ、ビルスさん、

   もしもの時の為に、

   逃げ道の確保は、お願いするね?」

  

ジオ「はい、その大役、務めさせて頂きます!」


シィーロ「うん!任せて!!」


ビルス「よし!作戦は、決まりましたな!」


ーーーーーーーうん!


ビルス「こういう時の為に、

    下準備を、しておいて良かったです」


ユウト「そ、そうなんですか!?」


ビルス「はい、もしもの時の為に、武器や防具は、

    揃っております!!

    今日は、明日の夜の為、

    村の皆んなで、ご馳走を食べて

    休息をとりましょう!!」



ーーーーーーお〜〜!!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーー玉座の間では。



王が、水の魔法で、水球体を作り出し、

球体の中にサーシャを、閉じ込めていた。


ーーーーーーガボ、ガボ。


サーシャは、苦しみながら必死に、もがき苦しむ。


ーーーーーーーーガボ、ガボォォ。


リューネは、魔法を解き、サーシャに問う。


王「さぁ、マイヤ、アイレの居場所を、

  話す気になったか?」


ーーーーーーゲホッゲホッ。


サーシャ「知らない、私はずっと一人で、

     奴隷として暮らして来たの!!」



王「全く、母に似て、強情な女だ、

  まぁ、報告にあった、男を探せば、

  アイレも見つかるだろう」



ーーーーーーおい、ダリア!!


ダリア「は、はい!!陛下、何か御用ですか?」


王「フィーネへと、伝令を送れ、

  ようやく、婚約者が見つかったとな」


ダリア「は、はい!!」


王「それと、マイヤと、

  一緒に居た、黒髪、灰色の瞳の男を、

   探し出せ、一刻も早くな、

   それと、もう用事は済んだ、

   コヤツを、部屋へと連れて行け!!」


ーーーーは、はい〜!!


ダリア「ミスト!!中へ入れ!!」


ーーーーーはっ!!


ダリアに呼ばれた、ミストが玉座の間に入る。


ダリア「マイヤ様を、お部屋へとお連れしろ!!」


ーーーーーーーーはッ!




ミストは、マイヤを部屋へと案内し、扉を開く。


ミスト「マイヤ様、こちらになります!!」


サーシャ「ありがとう……」


サーシャは、そう告げると、

部屋に入り、ベッドに、横たわると、

布団を、強く握りしめる。


ーーーーーユウト………助けてぇ……。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



その時だった、ユウトの水のゲートが、

自動的に開き、瞳の色が変わり、

輝き出すのだった。


レオ「ユウト!?瞳が!!」


ーーーーーーえ!?


すると、空から雨が、降り注ぐ。


ーーーーーーーポツッ、ポツッ。


レオ「雨が降ってきたね、

   ユウト、部屋へ戻って休もうか?」


ユウト「うん、明日の為に、そうしようか…」


レオ「それじゃあ、ビルスさん

   僕達は、そろそろ休む事にするよ」


ビルス「はい、ガース、お2人をご案内しろ」


ーーーーーーはい!!


そして、ガースに宿を案内され、

ユウト達は、体を休める。



雨は、更に強さを増し、明晩までテオドラには、

雨が降り注ぐのだった。

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