第21話 父さん、母さん

ーーーーーーーーーー


レオ「よし!これで準備できた!

   ベル、ジオ、シィーロ!

   準備は、終わったかい?」


ベル「はい、終わりました」



レオ「後は、ジルさんと、ビルさんに

     事情を、説明するだけだね……」



ユウト「そうだね、僕が、行くよ…」


ベル「お願いします、ユウト」


ユウトは、ジルと、ビルに、話をする為、

小屋へと向かい、扉を開く。


ジル「あら?ユウト、街へ行ったんじゃ、

   無かったのかい?」


ビル「どうした?そんな辛気臭い顔して」


ユウト「ジルさん、ビルさん、お話があります…」


ジル「ああ、どうしたんだい?」


ユウトは、ジル達に、街で起こった事、

 サーシャと、ベルの素性を話す。


ジル「何だって!!!サーシャが!!?

   あんた!!連れ戻しに行くよ!!」


ビル「ジル、落ち着け!!

   そう簡単に、連れ戻せれねぇって、

   お前も、分かってるだろ!!」


ジル「分かってるよ!でも……」

   


ビル「最後まで話を聞いてやろうじゃねーか、

   だから、ユウトは、

   話をしに来たんじゃねーのか?」


ーーーーはい。


ユウト「ジルさん、ビルさん、

    勝手だと思いますが、僕達は、

    今から、この家を出ます……」


ジルは、涙を流し、引き止める。


ジル「そ、そんな……だめ、ダメだよ!!」


ユウト「サーシャと、一緒に居た

    僕を、騎士達が、探し回ると思います」


ジル「そんな事、私達が、絶対に隠し通すよ!!」


ビル「ジル………、落ち着け、

    男の覚悟を、最後まで聞いてやろう」


ーーーーーーー分かったよ……。


ーーービルさん……、ありがとうございます、

    

ユウト「もしも、騎士達が、探しに来た時ですが、

    僕達は、奴隷として雇っていただけ、

    逃げられた、そう言い張って下さい」


ビル「あぁ、分かった、

   それで、お前達は、サーシャをどうやって、

   助けるんだ?助けたとしても、

   一生、追われる身になるぞ?」


ーーーーはい。


ユウト「だから僕はこのーーーーーーーーーーー」


ビル「ガハハハハハ、よく言った!!

   ジル、俺達の子供は、デケェ事を

   言ってのける、子供に成長したみたいだぞ」


ーーーーーワハハハハハ。


ジル「全く……あんたは……、

    ユウト、こっちにおいで」


ユウトは、ジルの元へと近づくと、

ジルは、力いっぱいユウトを抱きしめる。


ーーーーージ、ジルさん……。


ユウトは、その温もりに、思わず涙を流す。


ジル「絶対、無茶するんじゃないよ」


ーーーーーはい……。


ジル「それと、ここは、あんた達の、

   家なんだから、

   この一件が終わったら、

   絶対に、帰ってきなさい」


ーーーーはい……、母さん、父さん……。


ビルは、立ち上がると、ジルと、ユウトを

強く、抱きしめる。


ビル「全く、嬉しい呼び方してくれるじゃねーか」


ジル「ありがとう、ユウト、あんたは、

   私達の自慢の息子だよ……」


ーーーーーうん。


ーーーーーーーーーーーー


そうして、荷物を抱えた5人が、

ジルと、ビルに見送られる。


ジル「あんた達、体調には、

   気をつけるんだよ!!それと、

   絶対に、無茶するんじゃないよ!!」


ユウト「うん、ありがとう……」


レオ「それじゃあ、ジルさん、ビルさん

     僕達は、そろそろ行きます!!」


ビル「あぁ、気をつけるんだぞ」


ベル「はい!!それでは行ってきます!!」


ジル「い……行ってらっしゃい……」


ジルは、口を押さえて、涙を流す。


ユウト「行ってきます、父さん、母さん!!」


シィーロ「行ってきま〜す」


ユウト、レオ、シィーロ、ベルは、歩き出す。


ジオ「ジルさん、ビルさん、

   必ず、ユウト様をお守りして、

   サーシャを、取り戻して、帰ります!」


ビル「あぁ、頼んだぞ」


ジル「ジオ、あんたも、絶対に、

   帰ってきなさい、それと、何かあったら、

   私達に、頼りなさい!」


ジオ「はい!!それでは行って参ります!!」


ジオは、4人の元へと走り出す、

ジルと、ビルは、

ユウト達が、見えなくなるまで手を振る。



ジル「あんた……こんな日が、来るなんて……」


ビル「大丈夫さ、ユウトの、覚悟聞いただろ、

   また、皆んなで、飯が食えるさ……」


ジル「そうだね、あんた………

     あの子を、信じてあげないとね」


ビル「あぁ、さて、また帰って来られるように

     あの小屋を、隠しておかねーとな」


そう言うと、ビルは、地のゲートを開く。


ジル「そうだね………」


ーーーーーーーーーーー


ユウト達は、林の中に入ると、風の魔法を使い、

宙を飛び、レオの知り合いが居ると言う、

ムール村に向かっていた。


ユウト「サーシャ、大丈夫かな……?」


レオ「きっと大丈夫さ、政略結婚の道具として、

   使おうとしているのに、

   傷付けはしないと思う」


ユウト「うん、そうだね……」


レオ「村に着いたら、すぐに

   話し合いが始まると思う、

   ユウト、大丈夫そうかい?」


ユウト「うん!覚悟はできてるよ!」


ジオ「ユウト様、ムール村が、見えてきました」


シィーロは、ベルの事を心配し、声をかける。


シィーロ「ベルお姉ちゃん、大丈夫?」


ベル「シィーロありがとう、大丈夫よ……」


シィーロ「うん!!きっと、ユウトお兄ちゃんが、

     サーシャお姉ちゃんを、

     助けてくれるよ!!」


ベル「そうね、ユウトならきっと、

   お姉ちゃんを、救ってくれる」


そうして、ムール村の前に着くと、

ゆっくりと、降りていく。


レオ「皆んなは、ここで待ってて」


ベル「はい、お願いします」


そう言うと、

見張りをしている男にレオが近づき、話しかける。


レオ「ガース、久しぶりだね」


ガース「レ、レオ様!??」


レオ「ビルスさんは、居るかな?」


ガース「はい、中央の建物に

      いらっしゃると思いますが……」


レオ「ビルスさんに、伝えて欲しい事が

     あるんだけど、良いかな?」


ガース「は、はい!!!」


ーーーー実は………。


レオは、そういうと、事情を説明する。


ガース「そ、そんな事が!!

      急いで、伝えて参ります!!」


レオ「うん!お願い、それと

   皆んなに、僕に、様を付けないようにと

   伝えて貰えるかな?」


ガース「かしこまりました!!」


ガースは、レオに敬礼すると、

急いで、見張りを交代し、走り去る。


レオ「皆んな〜〜、大丈夫そうだ!!

     中に入ろう!!」


ーーーーうん。


ユウト「それじゃあ、皆んな行こう!!」


ーーーーーはい!!


シィーロ「は〜〜い!!」


ユウト達は、ムール村の中へと入る。


そして、村へ入ると、数人の男女が、

ユウトの元へと駆け寄るのだった。


「ユウト様、レオ様!!お久しぶりです♪

   あの時は、本当にありがとうございました」


ーーーーみんな、元気みたいで良かったよ!!


この男女は、ユウトと、レオが、6年前

奴隷商から、救い出した、子供達だったのだ。



〜6年前〜


恐怖と、不安で泣き崩れる少女が、

奴隷商に、打たれ悲鳴をあげる。


ーーーーーキャャャャー。



少女の叫び声が響く、街行く人々は、

少女の方を見るが、関わり合いに

なりたくない為、見て見ぬ振りをする。


後ろにいる、少年、少女達も怯え、

ただただ見ているしか出来なかったのだ。


「さぁ〜て、お前達、分かっているだろうな

 これからお前達は、貴族様の奴隷として、

 働くんだ、しっかりと、売り物として、

 役に立ってくれよ」


そう言われると、子供達は、怯えながら、

馬車へと、入って行った。


そして、馬車が動き出し、しばらく経った時、

子供達の一人が、呟き涙を流す。


「父さん、母さん………どうして……」


その時だった、馬車が止まり、

外の奴隷商が、怒鳴り声をあげる。


「なんだ!貴様達は!!そこを退けェェェェ!!」



「き、貴様らか最近、奴隷商を襲う、

 輩というのわ!?」


ーーーーーギャャャャャャ。


奴隷商の、悲鳴がした後、

外は静まり、馬車の荷台が開かる。


ーーーーーうっ、うっ。


荷台を開いた、

ユウトが、泣いている少年少女に、問いかける。


 ユウト「大丈夫だったかい?」


子供達は、怯え震えていた、

だが、一人の子供が、問いに応える。


「あ、貴方は誰ですか?」


ーーーーーーー僕は、宮城悠斗。


ユウト「安心して、

      僕は、君達を救いに来たんだ」


ーーーー救いに?


ユウト「そう、これからムール村って所に

    連れて行きたいんだけど、

    そこなら、奴隷商から、

    君達を守る事が、出来るんだけど、

    一緒に、来てくれるかな?」


「は、はいお願いします……」


他の子供達も、ユウトの言葉に安心して頷く。


ーーーーーーーーーーーーーー


〜現在〜



「ユウト様、レオ様!お久しぶりです!!」


「ユウト様、レオ様!!」


ユウト「皆んな、元気そうで良かったよ!」


レオと、ユウトは、

駆け寄って来た人達の顔を見て、笑顔になる。


レオ「皆んな、久しぶりだね!!」


「はい!!ムール村へ、連れて来て頂いて

   本当にありがとうございました!!」


ユウト「大丈夫だよ、僕は、君達の

    助けになれて、本当に良かったよ」


レオ「皆んな、ごめん、今は急いでて

     また、後で、皆んなに会いに来るね」


ーーーーーーはい!!お待ちしております!!



そして、ユウト達は、中央の建物へと向かい、

中に、入ると、

一人の男が頭を下げ、出迎える


ビルス「レオさん、お待ちしておりました」


レオ「ビルスさん、急に押しかけてごめん、

     話は、ガースから、聞いてるかな?」


ビルス「はい、伺っております、

    それでは、これからの事を、

    話し合いましょう、

    どうぞ皆様、席にお座り下さい」

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