第17話 怪しい影

 



ユウト達は、市場にある『ツツップ』へと着き、

中に入ると、首に、赤いバンダナを巻いて、

コックの格好をした、

膨よかな、店主が『ツツミップ』という物を作っていた。



『ツツミップ』とは小麦を薄く焼いた生地で、

店主が果物やお肉を包み、

語尾に『ップ』と付ける事から、

いつからか『ツツミップ』と、

呼ばれるようになった。


店主「ツツムップ♪ツツムップ♪ツツミップ〜♪」


サーシャ「シィーロとベルは、

       果物ツツミップで良い?」


ベル、シィーロ「うん!!」


サーシャ「ユウトとレオはどうする?」


レオ「僕は、お肉ツツミップで」


ユウト「じゃあ僕も、レオと同じで」


サーシャ「おじさ〜ん、

     果物ツツミップを3つと、

     お肉ツツミップ2つ下さい♪」


店主「了解ップ♪」


店主が手際よく、薄く焼いた生地で、果物を、

包んでいく


店主「ツツムップ、ツツムップ

   果物ップ、さぁ〜果物ツツミップの

   出来上がり〜ップ」


3つの果物ツツミップが、出来上がると、

サーシャ、ベル、シィーロに手渡す。


店主「お待たせップ♪」


サーシャ「美味しそう〜〜、

     ユウト、レオ、私達先に、

     向こうの椅子で食べてるわね♪」


レオ「うん、後で向かうよ」


店主「さて、おにくツツミップ2つップ

   ツツムップ、ツツムップ

   おにくップ、さぁ〜、おにくツツミップの、

   出来上がり〜ップ」


お肉ツツミップを、ユウトとレオに手渡す。


店主「お待たせップ♪」


ユウトとレオは、

銅貨を出し合い手渡す。


店主「ありがとうップ、

     またお待ちしてますップ♪」


ユウトとレオが振り返り、

椅子の方へ向かおうとした時だった。


サーシャ「ユウト!!レオ!!シィーロが!!」


大声で叫ぶ、サーシャが、

シィーロを抱え、走り去るマントの、

人物達を、指す。


ユウト「レオ!!!」


レオ「うん!!」


サーシャに『ツツミップ』を渡すと、

ユウト、レオは、

マントの人物達の後を、全力で追いかける。



レオ「サーシャ!ベル!先に帰ってて!!」


サーシャ「2人とも、気をつけて!!」


ーーーーーーーーー 


マントの人物は、通行人に、大声で叫ぶ。


マントA「どけぇぇぇーーーーー」


街行く人々は、大声に振り向き、

道の端へと逃げる。


シィーロ「キャー、お兄ちゃん助けてー」

       

シィーロが、バタバタと暴れ、マントの人物の

腕を噛みつく。


ーーーーーガブッ!


マントB「く、こ、このガキ!」

 

噛まれた、マントの人物は、

シィーロの首に、手刀を当て気絶させる。


マントC「コイツを、トルブラに渡せば

     ようやく、私達自由になれるのね…」



マントA「あぁ!ようやくだ、さぁ急ぐぞ!!」


マントB、C「ええッ!!」


マントの人物達は、更に速度を上げる。


ユウトは、何故シィーロを連れ去ろうとするのか、

考えていた。


(どうしてシィーロを、連れ去るんだ?

      何の目的があって………)


ーーーーーーーーーーー


マントCが、瞳を輝かせ

水のゲートを開き、ユウトめがけ魔法を放つ。



ユウトは、炎のゲートを開き、

水の魔法にぶつけ防ぐ。


レオ「ユウト!大丈夫かい?」


ユウト「うん!大丈夫!!でも、

    あの人達は、

    どうしてシィーロを……?」


レオ「今はまだ、分からない……とりあえず、

   見失わないように、このまま追いかけよう」


ーーーーーーうん。


2人は、放たれる魔法を防ぎながら、

見失わない様に、後を追いかける。


そして、街の外に近づくと、

2人のマントの人物が、立ち止まる。


マントA「ジオ!頼んだぞ!!」


マントC「ジオ!また後でね!!」


ジオ「ダット!!メート頼むわよ!!」



マントの人物達は、

剣を構え、ユウトとレオの、行手を阻もうとする。


レオ「ユウト!!

   一瞬で、終わらせるよ!!」


ユウト「うん、行くよ!レオ!!」


ーーーーーーー死ねぇぇぇ!!



マントの2人は、剣を振り下ろすが、

ユウトと、レオは、剣をかわし、

みぞおちに一撃をいれると、マントの2人は倒れ、

気絶する。



レオ「ユウト剣を!」


ーーーーうん!


そして、2人は、

剣を拾うと、マントの人物の、後を追いかける。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そして、森の中に入ると、マントの人物が、

立ち止まり、ある人物と会話していた。


マントの人物達が、言う、トルブラという人物は、

奴隷商の豚男の事だったのだ。


  

ユウトは、思わずため息をついてしまう。


ーーーーーーーはぁー。



ユウト「あの人だったのか、

    どうしてこんな事を……」



 

レオ「ユウト……奴隷商は、

   オークっていう種族が、やっているんだけど

   オーク達は、人や、ハーフの種族を、

   拐ったり、買い取ったりして、

   人を道具としか、見ていないんだ」


ユウト「そうなんだ……」


レオ「うん、そんな卑劣で、

   最低な事をしているのが、奴隷商、

   今回、拐った理由も、

   本当に、くだらない事の為、だと思う…」


ユウト「分かった、レオ、行こう……」


ユウトが、木の陰から出ようとした時、

ユウトの身体を抑え引き止める。


レオ「ちょっと待って、

   ユウト、もう少しだけ、様子を見よう」


ーーーーーーーはぁ、はぁ。


ジオ「ト、トルブラ様、連れて参りました」


ジオは、息を切らしながら、

トルブラに、シィーロを渡す。


ーーーーーーーーブヒゃひゃ。


トルブラ「よくやったなぁ〜〜」


ジオ「トルブラ様、これで私達は、

     自由にして頂けるんですよね?」


トルブラ「あぁ、他のガキはどうした?」


ジオ「黒髪と、赤髪の少年の事ですか?」


トルブラ「赤髪〜?ソイツはどうでもいいが、

     黒髪のユウトとかいう、

     ガキの首を持ってこい」


ジオ「それなら大丈夫です!!

   今頃、ダットと、メートが

   対処しているはずですから」


トルブラ「そうか、そうか」


そう言うと、トルブラは、ニヤリと笑う。


ーーーーーーーブヒブヒヒヒ。


トルブラ「奴隷は物だ、道具が主人に、

     歯向かったら、どうなるのか

     教えてやらないとなぁ〜〜、

     ぶひゃッヒャッヒャッ〜〜」


その言葉を聞いた時、ユウトの頭の中で、

母の面影が重なる。


『あんたは私の物、

   どうしようが、私の勝手なんだよ』


ユウト「物…道具……どうして……」


レオ「ユウト……?」


ユウト「レオ、ごめん僕は、シィーロを、

             助けに行く!!」


ユウトは、剣を強く握ると、

無意識にゲートが開く、

瞳が赤く輝き、剣は、真っ赤に光を放つ。



そして、ユウトは、トルブラの前へと立つと、

剣をトルブラに向け、言い放つ。


ユウト「トルブラ、シィーロを、返してもらう」


ユウトを睨み、拳を握り激怒する。


トルブラ「ク、クソガキィィ!!」


(そ…そんな、あの剣は、ダットの剣、

 ダットとメートが

 あんな子供にやられたの……?)


トルブラ「おいっ!!お前達、

     何をしてる、あのクソガキを、

     殺せぇぇぇぇー」


トルブラの掛け声を聞くと、

背後に、待機していた、獣人のハーフ2人、

エルフのハーフ3人が、現れる。


その時、レオはまだ、木に隠れ様子を伺っていた。


(やっぱり、まだ味方がいたか……

 まずは、何とかしてシィーロを

 助けないと、トルブラに、人質を取られた

 状態じゃあ戦えない……

 ユウト、ごめんもう少しだけ

 トルブラの気を、引きつけてて!)


レオは、バレない様に、木と木の

間を上手く隠れながら、回り込んでいくのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーー


突然、ハーフエルフの1人が、

ユウトに斬りかかる。


「後は、コイツさえやれば俺たちは自由だぁぁぁ」


ジオ「みんな、待ってぇーー!!」


ユウトは、斬りかかった、ハーフエルフの剣を、

斬り飛ばすと、鞘で、背中を叩き、気絶させる。


獣人のハーフ「く、クソォォォーーー」


獣人のハーフ2人が、

後に続き、斬りかかるが、

ユウトは、剣を切り落とすと、

みぞおちを鞘で叩き、2人を、気絶させる。


その様子を見た、ハーフエルフの2人は、

怯え、後退りする。


ーーーーーーーーひぃっ。



トルブラ「こんなガキ相手に、キサマら

         何をしている!!」


トルブラは、道具を手に持つと、

その道具を掲げる、

すると、ハーフエルフ、ジオが

肩を抑え、地面に倒れ込み、苦しみ出す。


ーーーーーーーーキャァァァァ。


トルブラ「ぶひゃぶひゃ、

     分かってるだろうなぁ、お前達に、

     逃げるっていう選択肢は、

     無いんだからなぁ〜」


そう言うと、トルブラは、ニヤリと笑い

あざ笑う。


ーーーーーーーーブヒゃッひゃヒャ。 


ーーーーーーーくっ………。


3人は肩を、押さえ立ち上がり、剣を構える。


トルブラ「それとクソガキ、

     忘れちゃあいないと思うが、

     こっちには、

     人質がいる事を忘れるなよ〜」   


シィーロを持ち上げ、剣を突き付けると、

高笑いする。


ーーーーーーーブヒャヒャヒャヒャ。


ユウト「くっ……」


シィーロに剣を突き付けられると、

ユウトは、剣を下ろす、すると、ゲートが閉じ、

瞳の色が戻り、光が徐々に、消えていく。

 

その時、ジオは、ユウトの瞳の色が、

変わるのを、見ていた。


(やっぱりあの子、瞳の色が……)



トルブラ「さぁ〜お前達、相手は、戦意喪失だ、

     チャンス、じゃあないのかぁ〜〜?」


ーーーーブヒ、ブヒブヒ。


そして、トルブラが、笑っている隙に、

レオが、背後に回り込む。


ブヒゃひゃヒャヒャーー。


ゆっくりと近づき、

シィーロを、持ち上げている手を、鞘で殴る。


ーーーーーーブヒャャャャャャャ!!


トルブラは、殴られた痛みで、トルブラの手から

シィーロが離れる。


ーーーーよいしょっと。


落ちるシィーロを、レオが、受け止めると、叫ぶ。


レオ「ユウト!!こっちは、大丈夫!

     そっちは、任せたよ!!」


ユウト「レオ!ありがとう!!」


ユウトは、剣を強く握ると、

ゲートが開き、瞳が激しく光る。


ユウト「これで終わりにさせてもらうよ……」


そう言うと、剣をトルブラに向ける、

トルブラは、激怒し、叫ぶ。


トルブラ「く、クソがァァァァーー!!

     お前達ぃぃ!!殺せぇーー!!

     あのガキをぉぉぉーー」


だが、勝てない事が、分かっている、

ハーフエルフと、ジオは、剣を下ろし、

戦う気力を失っていたのだった。


トルブラ「お前らぁぁ、なにをしている、

      早く、はやくころせぇぇぇぇ」


トルブラは叫び、道具を掲げる。


ジオ達は、肩を押さえ悲鳴をあげる。


ーーーーーーキャァァァァ!!


痛みに耐えきれず、ハーフエルフは、

立ち上がると、ユウトに斬りかかる。


ーーーーーーークソォォォ。



ハーフエルフ達の、

剣を切り落とし、鞘で叩き、気絶させる。



 

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