第11話 時計塔と髪飾り




サーシャ「じゃあ〜まずは、噴水広場に、

     ある時計塔に、行きましょう!」


ユウト「あの、大きな建物?」


時計塔の方を指差し確認する。


サーシャ「そうよ!すっごく、大きいの!

     今日は屋上へ、行けるはずだから、

     屋上へ行きましょう、

     眺めが、すっごく良いんだから♪」


そう言うと、サーシャは、笑顔になり、

ユウトも、笑顔になるのだった。


ユウト「うんっ!!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 

 レオと、ベルは、行商人から買った、

 帽子を深く被り、ユウトとサーシャに、

 バレないように、尾行していたのだった。

 

 ベル「キャャーー、お姉ちゃん、可愛いぃ!!」


  レオ「ベ……ベル、しっ、声が大きいよ」


 ベルの、手を掴み物陰へと、引っ張る。


 ベル「あっ、ご…ごめんなさい、

    お姉ちゃんが、可愛すぎてつい……」


 レオ「アハハハハ、まぁ、確かに、

    今までのサーシャからは、

    想像がつかないくらいの、

    変わりようだもんね」


 ベル「フフフ♪はい!」

    

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    

 サーシャは、ベルの声が、

 聞こえた気がして、

 辺りを、キョロキョロと、見渡す。


 サーシャ「ん?」


 ユウト「どうしたの?」


サーシャ「今、後ろの方から、

     ベルの声が、

     したような気が、したんだけど?」


 ユウトも、辺りを確認して見渡す。


 ユウト「居ないみたいだよ?」


サーシャ「う、うん、気のせいみたいね…?

     行きましょう!」


 そうして、ユウトと、サーシャは、

 時計塔へと向かうのだった。


ーーーーー


 レオとベルは胸に手を当て、

 ホッと、一安心する。


 ーーーーーーーーーーーーふ〜〜。


 噴水広場に着くと、サーシャは、

 振り返り、ユウトに、時計塔を指差し、

 ユウトは、時計塔を見上げる。


サーシャ「ユウト、着いたわよ!

     見て!凄く大きいでしょ♪」


ユウト「うん!す、すごいや!」


サーシャ「でしょ!でもね、中も凄いのよ♪

     さぁ、行きましょッ♪」


そして、サーシャが振り返り、時計塔へと、

向かおうとした時。



 レオ「ベル、今だ!」


 ベル「はいっ!」


 ベルは、風の魔法で、サーシャの、

 つま先に、石を置くと、サーシャはつまずく。


 ーーーーーーキャッ。


 サーシャが、転びそうな所を、

 ユウトが、優しく、抱きしめる。


 ユウト「サーシャ、大丈夫?」


サーシャ「う、うん……」


 抱きしめられた、

 サーシャは、顔を赤らめ、頭から煙が上がる。


ーーーーーーぷしゅ〜。



 サーシャ「あ…ありがとう……」


 ユウト「うんっ!」


 レオは、サーシャの反応を見て驚き、

 ベルは、抱きしめられた事に、興奮して喜ぶ。


 ベル「キャーー、お姉ちゃんが!!

    やった!レオ成功ですよ!!」


 レオ「う、うん、あ、あのサーシャが、

    あんなにも、

    顔を赤らめて、お礼を言うなんて……」


ーーーーーー


ユウトは、サーシャを、立ち上がらせると、

手を離し、塔の中へと入って行くのだった?



サーシャ「い、行きましょう」


ユウト「う、うん!!」


 


レオ「ベル、僕達は、外で待っていようか?」


ベル「はいっ!」


レオとベルは、物陰に隠れて、

ユウトと、サーシャが、

出てくるのを外で、待つのだった。



そして、ユウト達は、

時計塔の中へ入ると、広いホールが広がっていた。



ユウト「うわ〜凄い!!凄く広〜〜い!!」


そして、ホールの正面に、硝子で作られた、

天使の絵が飾られていた。



ユウト「あの壁の硝子の絵、凄く綺麗だね!!」


サーシャ「そうでしょ〜〜♪」


そう言うと、サーシャは、自慢げに腕を組む。


ユウトは、上を眺めると、天井が

見えず、目を細める。


(天井が凄く遠い……)



ユウト「サーシャ!塔の上なんだけど、

    凄く遠くみえるけど、

    階段で、登るの?」


サーシャ「フフフ〜〜、それはね〜〜」


サーシャは、にやにやとして、ユウトの手を

無意識に引き、ユウトを案内する。



サーシャ「あっちに、乗り物があるの

     さぁ!行きましょう!」


手を繋がれ、ユウトは、照れて返事をする。


ユウト「う、うん」


そして、乗り物乗り場に着くと、

ヨレヨレの作業着を着た、

60代ぐらいの男性が立っていた、

その男性に、サーシャが話し掛ける。



サーシャ「おじさ〜ん、屋上まで2人、

     よろしくね!」



おじさん「はいよ!おっ、サーシャちゃんが

     男連れとは、珍しいねぇ〜」


サーシャ「ち…違うの、この街を

     案内してるの!!」


 おじさん「ヘェ〜、そうなんだ〜」


男性は、ニンマリ笑い、

2人を、乗り物に案内する。


おじさん「お2人様、ごあんな〜い」


乗り物に、乗ると、エレベーターの様に

上へと、上がってゆく。


ユウト「サーシャ、あのおじさんと

    知り合い見たいだけど、よく来るの?」


サーシャ「ええ、時計塔の屋上は、凄く景色が、

     綺麗だから、ベルとよく来るのよ」


ユウト「そうなんだ、サーシャは、この塔が

    好きなんだね」


サーシャ「うん♪さぁ、着くわよ♪」



乗り物の、扉が開くと、日差しが入り込む、

ユウトは、手で日差しを隠し、

前へ進むと、

そこには壮大な景色が広がっていた。


サーシャ「凄いでしょ〜♪」


ユウト「うん……凄く綺麗な景色だね……」



2人は、手すりに腕を乗せ、

景色を眺める。



その時、ユウトは、異世界に来る前に

登った、屋上の景色が蘇り、涙が流れる。


  

ユウトの、涙に気づいたサーシャは、ユウトの、

涙を拭う。


ユウト「あれっ、ごめんいつの間にか、

    涙が出てた……」


サーシャ「ふふっ♪別に良いわよ〜〜」


ユウト「ありがとう…サーシャ……」



ふと、ユウトが、辺りを確認すると、

周りには誰もいなかった。


ユウト「誰も、居ないね……」


サーシャ「うん、皆んな、

  この景色に飽きちゃって、

  あんまり景色を見にくる人が、居ないの」


ユウト「そうなんだ、もったいないね

    こんなに綺麗な、景色なのに♪」


ユウトは、そう言うと、サーシャに笑顔を見せる。



サーシャ「でも、貸切みたいで、

     私は、これでも良いかなぁ〜」


サーシャは、手すりに手をつき

風でなびく、髪を押さえながら

ユウトに、笑顔を向ける。


サーシャの、笑顔に

ユウトは思わず小声で、呟いてしまう


ユウト「か、かゎぃぃ……」


サーシャ「ふぇっ?」


サーシャは、恥ずかしさで、赤くなり下を向く。


ユウト「あ、ご、ごめん」


ユウトも思わず、言ってしまった事に、

恥ずかしくなり、下を向く。


そして、サーシャが両手で、人差し指、同士を

ツンツンしながら、ユウトに問いかける。


サーシャ「ね、ねぇ、ユウト」


ユウト「ん?ど、どうしたの?」


サーシャ「あのね、貴方を、この世界に

    連れてきた女の人の事なんだけど、

    す、好きなの?」


ユウト「う、う〜ん……好きってより、

   感謝かな?お礼を言いたいんだ

   僕が、今、ここに居られるのは

   連れて来てくれた、あの人のおかげだから」


 サーシャ「そ、そうなんだ……良かった……」


 サーシャは、安心して、小声で呟く。



サーシャ「ねぇ、ユウト、

     次は、市場に行きましょう!」


ユウト「うんっ、また道案内を、お願いします!」


サーシャ「ええ!任されたわ!ふふふ♪」


そう言うと、サーシャは、ユウトの手を引き、

市場へと向かう為、塔を出る。


ーーーーーーーーーー


レオとベルは、2人が、塔から出てくると、

手を繋いでいる事に、驚くのだった。


レオ「ベル、出てきたよ………えっ!!」


ベル「えっ………!!」


レオ「中で一体何が……」


その光景を見たベルは、興奮して叫んでしまう。


ベル「キャーー!!お姉ちゃん!!」


レオは、慌ててベルを落ち着かせる。


レオ「ベ…ベル落ち着いて…」

 

ベル「ご…ごめんなさい…」


そうしていると、ユウトと、

サーシャを、見失いそうになり、

慌ててレオが、ベルに呼びかける。


レオ「まずい、ベル追いかけるよ!」


ベル「はいっ!!」


 そして、レオとベルは、気づかれないよう

 2人の後を、追いかける。


ーーーーーーー


市場に着くと、サーシャは、不自然な出来事に、

疑問を抱いていた。


サーシャ「もう!!なんで今日はこんなに、

     石につまづくの!!


ユウト「アハハ……た、確かに……」


サーシャ「何か……オカシイワ………」


サーシャは、周りをキョロキョロと確認すると、

物陰に、帽子を被った2人の姿が見える。


サーシャ「ん……?」



そして、じーっと、見つめていると、

風が吹き、ベルの帽子が飛ばされ、

その瞬間、2人は、慌てて走り出す。


レオ「まずいっ!!ベル、帰るよ!!」


ベル「はっ、はい!!」


その姿を見たサーシャは、

拳を握り、メラメラと燃える。



サーシャ「あの2人!!やっぱりぃぃぃぃー!!

     覚えてなさい!レオォォォ!!!

 

 

ユウト「ん?レオ?どうしたの?」


サーシャ「な、なんでもないわ!行きましょう!」



2人は、市場を見て回っていると、

アクセサリーショップの定員に

呼び止められる。


定員「お兄さん、お兄さん、彼女に、

   プレゼントは要らないかい?」


そして、定員から、花の髪飾りを手渡される。


ユウト「えっ?」


サーシャ「か…彼女…ち…ちがうわ!!」


サーシャは、顔を赤らめ、必死に否定する。


ユウト「う…うん」


定員「そうだったのかい、それは、ごめんねぇ〜」


ユウト「サーシャ、綺麗な髪飾りだね?」


サーシャ「う、うん、綺麗ね♪」


サーシャの、反応を聞き、

ユウトは、今日のお礼に、

サーシャにプレゼントしようと、

レオのお金を借りるのだった。


ユウト「この髪飾り下さい!」


サーシャ「えっ?」


定員「ありがとう!銅貨三枚ね!」


ユウト「はいっ!!」


ユウトは、銀貨1枚を、定員に手渡す。


定員「はいっ、お釣りねっ、

   また、お願いしま〜す」


お釣りと、髪飾りを受け取ると、

髪飾りを、サーシャに渡す。


ユウト「サーシャ、これっ!今日のお礼!!」



サーシャ「え?あ、ありがとう♪付けても良い?」


ユウト「うん!」



サーシャは、髪飾りを付け、ユウトに見せる。


サーシャ「ど、どうかな?」


モジモジしながら、ユウトの反応を待つ。


ユウト「凄く、似合ってるよ!」


サーシャ「ありがとう、ユウト♪

     大事にするねっ!」


ユウト「うんっ」


その後、サーシャに手を引かれ、市場を歩き、

色々な建物、景色を案内してもらい

時間が、あっという間に、時間が過ぎる。



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