第10話 『ダスティー』劇場

 街の中を、少し歩き

 ユウト達は、劇場の前へと着く。


 

看板には、この世界の言葉で『ダスティー劇場』

と書かれている為、ユウトには分からなかった。

 


 サーシャ「でも、どうして劇場なの?」


 レオ「ユウトの、人探しの為かな……

    ユウトを、この世界に、

    連れて来た女の人が

    歌を、歌っていたって聞いたから」


 サーシャは、ユウトを連れてきた人が、

 女の人と聞いて、激しく動揺してしまう。


サーシャ「へっ、へぇ〜〜……」



レオ「お芝居の中で、歌を歌うから、

   もしかしたらって思って、

   劇場に来たんだ!」


サーシャ「み、み、見つかると良いわね……」


  

レオ「それじゃあ、僕は、チケット売り場で、

   皆んなの、チケットを買ってくるよ!」


ユウト「ありがとうレオ!!」


レオ「うん!それじゃあ行って来るね!」


 そう言うと、レオは、チケット売り場の方へ、

 走り去る。


 サーシャは、女の人の事が気になり、

 ユウトの方を向くと、女の人の事を聞く。


サーシャ「ユ、ユウトその人は、

     ど、どう言う人なのかしら?」


ユウト「う、う〜ん、どういう人かぁ〜……

    凄く、歌声が綺麗な人だよ!」


サーシャは、歌声が綺麗な人と言った言葉を、

綺麗な人だと勘違いして、

肩を落とし、ガッカリするのだった。



サーシャ「そ、そうなんだ……

     凄くキレイな人なんだ………」



  ベル「お姉ちゃん、まだまだ、

     これからだよ、うん!元気出して!!」


 ベルは、頷きながら

 サーシャの肩を、ポンポンと叩く。


 サーシャ「へっ?どうしたのベル?」


 ベル「お姉ちゃん!今日は

     いっぱい話そうねっ!」


 目をキラキラさせサーシャを見つめる。

 

 サーシャ「ん?うん……」


 その時、チケットを買ったレオが

 ユウト達に、呼びかける。


 レオ「ベル、サーシャ、ユウト〜〜!

    そろそろ入るよー!」


 ユウト「行こう!ベル、サーシャ!」


 サーシャ「う、うん……」

 

 ベル「はいっ!」



 ユウト達は、劇場の中に入ると、

 レオにチケットを渡され、そのチケットの

 番号の席に座り、開幕を待つ。


 そして、幕が上がり、1人の女性が歌い出す。


 (キレイな歌声だけど、あの人じゃない……)



 そして、劇は、終盤へと、さしかかり、

 ユウト、サーシャ、ベルは、涙を流す。


 戦場に向かう男性ジン

 引き止める女性ミア



  サーシャ「うぅうぅ……ミ〜ア〜……そこで、

       引き止めるのよミ〜ア〜〜」


  ベル「うぅ……ミ〜ア〜〜」


  ユウト「うぅ…ミ〜ア〜」


 レオは、3人の顔を見て笑顔になる。


 (3人とも楽しんでるみたいで良かった)


 


 そして、劇団員が並び挨拶をして、

 終わりを迎え、幕が下り、4人は、外へと出る。


 サーシャ「全く〜…ユウトってば、

      男のクセに、泣いちゃってぇ〜〜」


 ユウトが劇中に、涙を流していた事に、

 サーシャに、いじられ

 ユウトは、頬を膨らませ、そのほっぺを、

 サーシャがツンツンと、ツツク。


  サーシャ「ほれっ、ほれ〜〜」


ユウト「サ、サーシャだって、

    泣いてたじゃないか〜〜!」


サーシャ「私は、良いの〜〜!

      だって、女の子だも〜ん」


 そう言うと、腕を組みドヤ顔をする。


ユウト「そ、そんなぁ〜〜

    そんなの、ず…ずるいよぉ……

    レオも、感動したでしょ?」


 レオ「う、うん!あれは、誰だって

    涙を、流しちゃうよ、ねぇ、ベル?」


 ベル「うん!

    大人の男の人も、泣いてたし……」



サーシャ「良いの〜♪いじけるユウトを、

     イジりたいから、ふふふ♪」



ユウト「ひ、ひどいよサーシャ〜〜」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 そうして、ユウト達は、お芝居の話をしながら

 近くの、レストランに向かい

 レストラン『ミートム』へと入ると、

 メイド服を着た、

 猫耳の獣人の女性に出迎えられる。


 定員「いらっしゃいませ〜、四名様ですか?」


 ユウト達は、返事をすると、

 席へと案内される。


 「はい!」


 定員「こちらの席へどうぞ〜」


 円卓のテーブルに案内され、

 ユウト達は、席へと座る。


定員「それでは、メニューが、

 お決まりになりましたら、お呼びくださ〜い」


サーシャ「は〜い」



 定員はそう言うと、席を離れ、

 違う席に注文を、取りに行く。



 ユウトは、メニューを開くが、

 メニューを見たユウトは戸惑うのだった。


サーシャ「私は、マルロのソテーと苺タルトに

     決めた〜〜♪」



 ベル「じゃあ私は、お姉ちゃんと同じのにする」


 レオ「ユウトはどうする?」


ユウト「う、うーん、

    ぼ、僕は……レオと同じものにするよ!」


ユウト(やっぱり…劇場の看板を見た時から

    気付いたけど、この世界の言葉は、

    分かるけど、字が分からないや……)


 サーシャ「すみませ〜ん」


 定員さんに、サーシャが、手を振ると

 気付いた定員は、こちらに向かって歩く。



定員「はーい、

   ご注文は、お決まりですか〜〜〜」



サーシャ「マルロのソテーを2つと、

     苺のタルトも2つで、お願いしま〜す」



レオ「じゃあ、ビフルを2つで!!」


定員「は〜い、かしこまりました〜♪

   それでは、ご確認させて頂きます、

   マルロのソテーを2つ、苺のタルトを2つ

   後、ビフルを2つで

   お間違い無いでしょうか〜?」


 サーシャ「はーい、お願いしまーす!!!」


 定員「かしこまりました〜〜」



注文を受けた定員は、厨房へと立ち去る。



 レオ「そういえば、ユウト

    歌い手のミアさんは、違ったかい?」


 ユウト「うん、凄く綺麗な歌声

     だったけど……違うみたい……」


 レオ「そうか…でも、この世界は

    広いし、諦めずに探そう!!」


 ユウト「うんっ!」


 違う人物だった事に

 サーシャは、安心して、ホッとした顔をする。


(ち、違ったんだ、良かった…)


 

 そうしていると、ベル、サーシャの所には、

 お皿に、お洒落に盛られた、魚料理が運ばれる。


  定員「お待たせ致しましたぁ〜〜♪」


 

サーシャとベルは、

運ばれてきた料理に、嬉しそうに言う。


『美味しそう〜〜♪』


 そして、ユウト、レオの前には

 お肉、コーン、ニンジンが乗った

 鉄板が、運ばれる。


  ユウト「お、おいしそう……」


 運ばれた鉄板の匂いに、

 ユウトの口からヨダレが溢れ出す。


 『ジュル』


 レオ「アハハハハ、

    ユウト、ヨダレが……出てるよ」


 ユウト「ご、ごめん」


 ユウトは、ヨダレを拭く。


 レオ「さぁ食べよう!!」


 ユウト「うんっ!」


 ユウト達は、手を合わせると。


  『いただきまーす』


 ユウト達は、料理を頬張り、ほっぺを抑える。


  ユウト、レオ、サーシャ、ベル

  「おいし〜い」


 

 そして料理を食べ終わると、

 サーシャと、ベルの元に、

 苺のタルトが運ばれる。


 サーシャ「キャーー、美味しそーう♪」


 ベル「美味しそーう♪」


 そして、サーシャとベルは、

 苺のタルトを、頬張ると、幸せな顔をする。


 『ん〜〜〜美味しいぃぃ〜〜♪』


 苺のタルトを、食べながら、

 サーシャが、ユウトと、レオに聞く。


サーシャ「そういえば、この後、どうするの?」


 レオ「え?特に、予定は、無いよ…」


サーシャ「それじゃあ、市場に行きましょう!」


 レオ「う、うん、ユウトが良いなら……」


サーシャ「ねっ、ユウト、良いでしょ?」


 そう言うと、机に乗り出し、

 うるうるした目で、ユウトを見つめる。


 ユウト「う、うんっ、行ってみたいな!!」


 サーシャ「やった♪」


 サーシャは、笑顔で、喜ぶ、

 その、サーシャの笑顔に、ユウトは、見惚れて、

 可愛いと思うのだった。



(今日のサーシャ、やっぱり、

   いつもと、違いすぎる、もしかして……)


 女の子らしく、喜ぶサーシャを見たレオは、

 ベルに確認しようと、ベルに近づき、

 耳元で、言う。


 レオ「ベル…ちょっと外まで、良いかな?」


 ベル「はっ、はい!」


 そして、ベルを外に連れ出し、確認する。



レオ「ベルもしかしてサーシャは、

   ユウトの事を?」


ベル「レオも気付きましたか!!

   多分、あの様子、確実だと……」


レオ「やっぱりそうか!!

   あのサーシャが、

   全然違いすぎると思ったんだ!」


ベル「私も、あんなお姉ちゃん見たの

   初めてだったから、すぐに分かりました!」


 レオは、少し考えて、ベルに、提案する。


 レオ「そうか……

    ベル、提案なんだけど…」


 ベルの、耳に手を当て、

 レオは、ヒソヒソと話し、ベルは、

 頷きながら、レオの提案を聞く。


  ベル「うんっ、うんうん!」


  レオ「どうかな、ベル?」



  ベル「分かりました!!

     お姉ちゃんの、恋のために!!」


 拳を、握りながらベルは、燃え上がるのだった。


 レオ「お節介かもしれないけど、

    ユウトも少し、サーシャの事

    気になってると思うしね!」


  ベル「はいっ!」


 2人は、見つめ合い、頷くと、

 お店の中へと戻る。


 サーシャ「2人とも、どこ行ってたのよ〜」


ベル「ごめん、お姉ちゃん……

   実はね、昨日、ジルさんにお使いを、

   お願いされてたのさっき、思い出して、

   レオに手伝って、

   貰おうと思って、お願いしてたの!」


サーシャ「そうなの?

     それじゃあ、皆んなで行きましょう!」


レオ「サーシャ、ユウトには、この街を、

   楽しんで貰いたいから、サーシャには、

   この街の案内をお願いしたいんだ、

   僕が、ベルの荷物持ちする代わりに

   お願いしたいんだけど、良いかな?」


  サーシャ「べ、別に良いけど……」


ユウト「レオ、荷物持ち1人で大丈夫?」


レオ「大丈夫さ!そんな大きな荷物はないから!

   それと、ユウト!これを」


ユウトに、銀貨7枚を手渡す。


ユウト「え?う、受け取れないよ……」


レオ「良いんだ!初めての、街を楽しんで!!」


ユウト「う、うん、あ、ありがとう……」


 レオ「じゃあ、僕達は、お使いに、行くね!」


 ベル「お姉ちゃん、また後でね!」


 サーシャ「う、うん…」


 レオとベルは手を振り、お店を出ると

 物陰に隠れる。


 レオ「よし、ベル準備は良いね?」


 ベル「はいっ!」


 2人は、ニヤリと笑いグッドサインをする。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 サーシャ「それじゃあ、

       ユウト行きましょう!」


 ユウト「うんっ!よろしくね、サーシャ!」


サーシャ「ええっ!!」



 サーシャとユウトは、お店から外に出てる。

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