第3話 奴隷のはじまり

 




豚のような男に、首を掴まれると、

奥の、暗がりの部屋へと、入れられる。



少年は、椅子に座らせられ、

椅子の横にある、机に置いてある

印鑑のような物を手に取ると、

豚男は、印鑑の様な物を、

少年の、肩へと押し当てる。


ーーーーブヒヒ。


豚「これをしとかねーと

         逃げられちまうからなぁぁ」


印鑑のような物は、熱を発して

少年の、肩に刻印を付ける。


ーーーーージュ。


少年「あっ、あつい」

 

少年は、肩に焼き付けられた、刻印を触る。


(な、なんだろうこれは……?)


豚の男「よし、これで大丈夫だ、

      暴れなくて助かるぜへへっ」


そう言うと、豚男は、

少年の服を掴み持ち上げる。


豚の男「何処か、奴隷を欲しがっていた、

      所はあったかな?」


壁に、貼られた紙を、眺める。


豚「お、そういえば、ビルさんの所は、

  人手が、欲しいって言ってたなぁ〜、

  ビルさんの所にでも、当たってみるかぁ〜」


豚男は、扉を開き、

少年を、外へと連れ出す。




豚の男に、服を掴まれ、街を出て、

木々を抜け、歩いていると、小屋が見えてくる。



そして、小屋へ着くと

豚の男が、扉をノックをする。


ーーーーーコンコン。


豚の男「ビルさん、遅くにすまない、

      ちょっといいかい?」


ーーーーあぁ、ちょっと待ってくれ。


待っていると、扉が開き、

中から、ガタイの良い男の人が現れる。


豚「ビルさん、奴隷は要らないかい?

    金貨4枚で、良いんだが…」


ビル「あぁ、ちょうど、

   人手が欲しかったんだ、買わせてもらおう」


豚の男「隣の小屋に入れておけば良いかい?」


ーーーーーーあぁ、頼む。



男は、近くに掛けてある、鍵を手に取ると、

豚の男に渡す。



豚の男は、鍵を受け取ると、

少年の、服を引っ張り、隣の小屋へと向かう。



豚男は、小屋の鍵を開け、扉を開くと、

少年を持ち上げ、

小屋の中に、少年を、投げ入れる。



投げ入れられた、少年は、壁へとぶつかる。


ーーーーーうっ。


豚の男「明日から、早速そいつらと一緒に

      働く事になる、仲良くするんだな」


そう言うと、豚の男は、ニンマリと笑い、

扉を閉める。


ーーーーーーーバタンッ。


少年は、立ち上がり、周りを確認すると、

暗がりの中に、数人の、子供達がいた、

そして、近くにいた、赤髪、赤い瞳の少年が、

声をかける。


赤髪の少年「君も、奴隷商に、売られたのかい?」



少年「ごめん、何がなんだか、

   分からないんだ……」


少年は、事情を話し、

自分は、違う世界から来た事を、

赤髪、赤い瞳の少年に、伝える。


そうすると、赤い瞳の少年は、目を輝かせ、

少年に近づき、肩に手を置く。


赤い瞳の少年「すごい!別の世界なんて

         本当にあるんだ!」


少年「う、うん、僕は、何がなんだか、

     分からないけど、そうみたい……」


赤髪の少年は、少年の顔を見て、

ある事を思い出す。


「あ、ごめん…そういえば、名前をまだ、

 言ってなかったね、

 僕は、レオ=アイモア、レオって呼んで」


少年「う、うん、レオ……」


少年は、照れ臭そうに、名前を呼ぶ。


レオ「うん!それで、君の名前は?」


少年「僕の、名前は、宮城悠斗(ミヤギユウト)

     ユウトって呼んでもらえたら……」


レオ「うん、ユウト!!よろしくね!」


レオは、手を前へと差し出す。


ユウト「うん、よろしく」


ユウトも、手を前に出し、レオと、握手を交わす。


レオ「それとユウト、

     あっちの2人も紹介するね」


暗がりから、2人の女の子が現れる

同じ顔の双子の女の子だった、肌は白く、

髪の色は、金色、だが、瞳の色が違っていた、

片方の子が、両目が、青色の子と、

もう片方の子が、両目が、緑色の女の子だった。




ユウトは、現れた少女の、

青色の瞳に、吸い込まれるように近づいて行く。


レオ「ユウト?」


青色の瞳の女の子「ちょ、ちょちょっと近い!」


青色の瞳の女の子は、慌てて、手で顔を隠す。


ユウト「あっ、ごめん……凄く、キレイな目で

      気付いたら……」


青色の瞳の女の子

「キ、キキキレイイィィィィ………」


青色の瞳の少女は、顔が真っ赤になり、

はずかしそうに手で、顔を隠す。


そうしていると、レオが2人の横に並び、

順番に、紹介していく。


レオ「照れてる時にごめん、2人を紹介するよ」


レオは、青色の瞳の女の子を茶化すように笑う。



青色の瞳の女の子「てて…照れてないわよ!」

        

レオに、茶化され、女の子は頬を膨らませる。



レオ「双子の女の子なんだけど、

   瞳の色で、どっちがどっちか

   分かるよ、ベルが、緑色

   サーシャが、青色だよ」


ーーーーーーーフン!!


レオ「後はね、性格も違っていてね、

   口調が、キツイ方が、サーシャ

   大人しい方が、ベル」


ーーーーーーフフフ。


サーシャ「キツイってなによ!」



ベル「お、お姉ちゃん」


ベルは、サーシャの服を、引っ張りなだめる。


サーシャ「もう……サーシャ=ミューネよ、

      とりあえずよろしく」


サーシャは、腕を組み、頬を膨らませながら

挨拶をする。


ベル「ベル=ミューネです、

    よろしくお願いします」


ベルは、丁寧に頭を下げ、挨拶をする。

 


ーーーーーーうん、よろしく。


ユウトは、手を出して順番に、

2人と、握手を交わしていく。




ユウト「失礼かもしれないけど、

    聞いても良いかな…?皆んなは、

    どうして奴隷になったの?」


レオ「サーシャ、ベル、

    話しても良いかい?」



サーシャ「良いわ、

      私が話す……2ヶ月程前の事……」


日差しが眩しく、気持ちの良い朝に

男が、クワを片手に、畑を耕していた。


ーーーーーーパパ〜〜。


サーシャと、ベルは、父に、飛び付き、抱きつく。


父「サーシャ、それにベル、2人とも

             来てくれたのか〜」


2人の顔を見ると、

笑顔になり、父は、2人を抱き抱える。


サーシャ「うん!ご飯持ってきたんだよ〜」


ベル「パパが、大好きな卵サンドだよ〜」


父「おぉぉぉぉぉ、ママの唯一の

    得意料理、卵サンドじゃないか!」


サーシャ「パパ、そんな事ばっかり言うと

       ママに、殴られるよ〜」


ベル「そうだよ、ママは、いっつも頑張って、

          料理作ってるのに!!」


サーシャと、ベルは、頬を膨らませ

怒った顔をする。


父「ごめんごめん、冗談だよ、

  サーシャ、ベル、

  ママの料理はね、どれも美味しいさ!!

  なんたって、ママの、

  愛情が、たっぷり入ってるからねぇぇぇぇ」




 サーシャ「もう!!パパったら、

      急に、ノロケるんだから」


  父「なんたって、

    ママは、世界一可愛いからね〜〜

    おぉ〜〜ママ愛してるよーーーー」


父は、サーシャ達を下ろし、

手を広げ、大声で叫ぶ。



ベル「お姉ちゃん……またはじまったよ…」


サーシャは、父の姿を見て、ため息をつく。


ーーーーーはぁ〜。


サーシャ「もう、ベル!!

      2人で、先に食べちゃお」


ーーーーーーうん!


サーシャと、ベルは、近くの木に、向かい

2人は、木の陰で、布を広げ、お弁当を開ける。


父「2人とも〜〜、待ってよーーー」


遅れて父が、2人の元へと走り

お弁当に、手を伸ばす。


父「よし、いただきまーーーす」


ベル「パパ〜!パパの手、土だらけだよ〜」


父「じゃあ、サーシャ、ベル、食べさせてっ!」


サーシャ「もぉ…仕方ないなぁ、はいアーーン」


ベル「アーーン」


父は、2人の卵サンドを頬張る為に、

大きく口を開ける。


ーーーーーアーーン。


父は、サーシャとベルの卵サンドを、

口いっぱいに、頬張る。


父「あぁ〜なんて美味し〜いんだ〜

    3つ分の愛を感じるよ〜〜」


頬を、手で押さえながら父が、悶え始める。


サーシャ「もう……パパ…またはじまったよ…」


サーシャは、呆れて、頭を抱える。


サーシャ「ベル先に、食べちゃお!」


ベル「うん!」


悶え続ける父を、無視し、

サーシャと、ベルは、卵サンドを、頬張る。


サーシャ「んん〜、美味しい、ママの卵サンド!」


ベル「うんっ!ママの卵サンド美味しい!!

   ママの料理は、

   どれも美味しいもんね?フフフ」


ーーーーーうんっ!!フフフ。


2人は、卵サンドを食べ終わると、

帰る支度をする。


サーシャ「パパ!ちゃんと手を洗って、

      食べてよ!!」


ーーーーーごめんごめん!!


父は、近くの水飲み場で、手を洗い

卵サンドを頬張り、食べ終わる。


父「う〜ん!美味しかった〜

    ありがとう!サーシャ!ベル!」


父は、サーシャとベルのおでこにキスをする。


ーーーーーーうん!


父「よ〜し、3人の愛で、元気いっぱいだぁ!!

   お仕事頑張るぞぉぉぉぉぉぉ」


クワを片手に、畑へと向かう。



サーシャと、ベルは帰りの支度が、終わると、

父に、向かって叫ぶ。



サーシャ「パパ、先に帰るよー」


ベル「パパお仕事頑張ってーー」


父「サーシャ!ベル!ありがとうーー

    頑張るよー、ん〜チュー」


父が、遠くから投げキッスをして、

サーシャと、ベルを見送くる。


サーシャとベルは、父が見えなくなるまで

手を振り、家へと向かう。



 

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