神代のルーン使い 第3話






場所は森の入り口。

つい分と緑豊かな森とえるほど木々のある所であった。そして彼らはそこの入り口と言える所に位置している。

森の中に入らないままそこでなにかをずっと探していたからだ。

そして午後4時のちょっと過ぎた頃に一人の青年がある痕跡を見つけて急に他の仲間たちを呼ぶ。

「先輩たち! 見つかりました!」

他を見ていたその先輩たちという仲間の3人の「見つかったのか?」「よくやったわ!」「……」と、それぞれの返事をしては集まる。

仲間たちを呼んだ青年は「これです」と見つけた痕跡を仲間たちに見せる。が、青年と仲間たちの顔はそれを見てあまりいい表情を作れなかった。

仲間の女性一人が「ちょっと見せて」と、皮鎧の軽装備である青年よりずっと軽装備をした女性がその痕跡を間近で見てはそれをハンカチで取り上げる。

直後にきたフードを被った女の子の目をを後ろのデカい鎧の男仲間が隠した。

「……なにしてるの」

「いや、すまん。小さい女の子があんなのを見るとついな……」

「……喧嘩売ってるの?」

直後に女魔術師に魔術で拘束されて倒れた鎧の男が、「いやいや! 悪かった悪かった!!」と謝りながら12歳前後に見えて実は今年で30になる女魔術師に杖で叩かれている間。

痕跡をみていた女の仲間はその痕跡をカバンから出したビンに入れた。

「これ、まだそんなに経ってないわ」

「え、そうなんですか?」

軽装備の青年は首をかしげた。

鎧の仲間叩いていた女魔術師も振り向いて「……理由は?」と聞く。彼女は痕跡からついたハンカチと痕跡を入れたビンのそれを見せる。

「これを見て」

見つけた痕跡――血塗れの布からその血はハンカチにちゃんと染みついていた。

横からでもわかるくらい血の匂いがする。

そしてビンの方も透明なビンの内側が血の色で汚れていた。

「まだ全然濡れてるわ」

「それってつまり……」

この血の痕跡が出来て間もないという事。

「……行方不明になった子がまた……」

この冒険者4人のパーティーは冒険者の町と呼ばれる町より北の方にある村で子供たちの行方不明の事件が起きているという依頼書を朝から受け入れて出発し、ようやく仕事に取り掛かって村人たちに情報を聞き、この痕跡を見つけていたのだ。

しかし、痕跡を見つけたことで状況が思った以上に悪い事であるという可能性が高まった。

布切れの血。盗賊にしろ魔物にしろ、この場で何かあった子供はもう……。

4人の顔がみな暗い顔になるが、すぐに森に向かって顔を向けては「動くぞ」と、鎧の仲間が真っ先に判断を出した。

「時間がそんなに過ぎてない経ってないということは助けられる可能性もあるってことだ。今すぐ助けに向かえば救えるかも知れない」

その言葉に他の3人が気合を入れる。

生きている可能性は低い……なんて敢えて言わない。

何故ならみなすでに承知していることだった。

別の準備はする必要はなかった。

元々森に入る前提で依頼を受けていたもので森へ入る準備はすでに済ませてある。

だが、一人だけ顔に緊張が浮かんでいるのが一人いる。

「緊張する?」

女冒険者が小さいカバンの中にビンを入れて軽装備の青年に話しを掛けると「は…はい」と自信のなさげに答える。

頼りのない青年だが――それもそうだろう。彼は軽装備から見てわかるくらい素人冒険者であったから。

森に入るのだって、今回こそ初めてだそうだからだ。

「行方不明になった子供たちを探す依頼で魔物との戦闘も覚悟はしていましたけど、やっと実感しました」

「それは違うわ」

素人の後輩冒険者にベテランの先輩冒険者である彼女が断言する。

「戦う覚悟なんて、常に24時間して置きなさい。冒険者が受ける依頼は町中の雑事以外は殆ど、ダンジョン探索もそうだけど戦闘になる確率はほぼ全部よ。だから冒険者はいつでも自分の装備を徹底に整えるの。もとからこお依頼のランクはBだったでしょ?」

「……そうでした」

女冒険者は後輩に「気をしっかりして、『斥候』志望でしょ? いつどこでも頭を回せるようにしてね」と元気付けるようにと頭を撫でる。

「は、はい……」

元気は付けられたようだが、恥ずかしいのか頬を染める。

「そこ、装備と荷物チェックするときに何してんだ。はよ来いよ」

鎧の仲間からの呼び声に女冒険者が「ごめんごめん」と後輩と一緒に仲間たちの元へいく。


そして彼らは……。








「悪いけど、頼めるか」

「……ええと」

グレイと同じテーブルで向き合ってる彼女は戸惑っていた。

もはや夕方も過ぎてどこの建物からも灯が消えた頃だった。

グレイがいつも泊まる部屋が三つだけの宿に夕方よりも遅く戻ってチェックインにようやく間に合い、いつもの部屋を取って宿代を支払った。

そこでいつもと違う点がある。

今日は料金を一人分をさらに支払った。

よく見たらグレイがすやすやと眠っている10歳くらいの幼女を連れてきたのだ。

女将は困惑する。

困惑している彼女が聞くと、「眠ってたらいつのまにか横で寝てた」と軽く説明(?)して早速部屋のベッドに横にさせる。

直後にすやすやと変わらない楽に寝ている顔を見てグレイは部屋を出た。その後にドアの外で待っていた女将に誘われて宿のロビーに一つしかないテーブルに座ってグレイが頼んだのだ。

しかし、詳しい話しをするにも『寝ていたら横で寝ていた』というグレイにとっても訳が分からない状況を言いつくるよりもギルドが機能しない夜だから子供をそのまま置けないというから連れてきたというのを話した。

実際、この町の警備員に預けた方がいいのだが、グレイは兵士や騎士など、国に属している役職の連中は信用しなければ関わりたいとも思わなかった。

だからグレイが考えた手が……。「あの子、一日だけここに泊まらせてくれ」だった。

女将はため息をついては仕方ないと言っているように「いいですよ」と答えた。

「グレイさんにはいつもお世話になりましたから。子供一人くらいちゃんと寝かせるくらいならいくらでもいいですよ」

女将は微笑んで心広くグレイのお願いを聞いてくれた。

「それに、あんなに小さな子供を放っておけないですしね。……それはそうとグレイさん」

女将は困惑した顔でつけ加える。

「寝てる間にあの子が側で寝てたって……」

「……その点だけは言った通りでしか説明のしようがない」

小さな息を吐いて答える。

グレイとしては困ってた顔だったけど顔の作りが険悪なせいか怒った顔に見える。

困るといえばそうだろう。

女の子はいくら起こしても起きないし、ここに来る途中ではどこから怪しい視線を感じた。

グレイのこの顔が困った顔である事をしっている女将は話しを続ける。

「よろしければ、あの子は上の部屋で寝かせてもいいんですけど……」

「……いいのか」

「いいですよ。それくらいなら」

今の言葉が本気であるのは女将には何となくわかった。

本気の言葉だっただけあって女将は尚更に困った表情を作る。

「私のことは大丈夫ですよ。でもちょっと準備してきますね」

「……」に上がる階段まで足を運んだ時、そこまでする必要はねえ…と言おうとしたグレイはつい思ってしまったことを口にした。

「なんで……俺が知らねえ子供を連れてきて怪しいって思わない」

何故、他の連中みたく俺が悪いんだと怪しく思わないんだ…と。

女将は笑顔で振り向いては答えた。

「夫を失って誰も助けてくれなかった私たちを助けてくれたのは、グレイさんだけでした。それに、6カ月間貴方がここに泊まってたあなたを知っています。少なくとも私と娘はあなたを疑うことなんてないですよ」

「…………」

女将が二階に上がって、グレイは口を閉じては、

「っ…」

虚ろを見るような目で、舌を蹴った。

「俺みたいなロクでなしなんかを信じるんじゃあねえよ……」

目は虚ろに険悪そうな表情をさらに険悪にして呟く。

いろんな考えが過ぎていったが、ふと、グレイは部屋のある廊下の方へ視線を向ける。

あの女の子を思い出して。

「まったく……」

今日はその気ではなかったが、明日には用事を済ますつもりでいた。予定を変えなくちゃと思いながら、「……休日のつもりで知らん道に行くんじゃなかったな」というグレイのつぶやきに答えてくれる声はどこにもない。

それと気になることは、、起きてはあの女の子がグレイの側で寝ていたことも。

そもそも、あんな女の子があんな所で一人だけだった点からして訳がわからない点だらけ。

それと、あのドレス……。

塵で少し汚れていたが、あの子が来ていた服は子供が着る服にしては上品すぎる物だった。

稼ぎがいい冒険者ならともかく、一般市民が買える物とは考えられない程の服なはずだった。

つまりは、貴族か、その縁者の可能性が高い。

……だとするんなら、たとえ子供であろうと関わる気などないければ、視線も向けたくない。

関わりたくない。

見たくない。

目にしたくもない。

近くにいると思うと反吐がでそうだ。


でも――――放って置けないんだよな……。

その言葉を答えるみたいに、とある過去が思い出す。

「……」

ただ、今朝のように吐き気がしそうな感じはしなかった。

「じゃ、明日のやることは決まったな……」

あれこれ思いついてはそれらを忘れようとわざと口で言って決める。そしたら階段の方から「グレイさん?」と聞こえてきた。

「準備できましたよ」

直後に、グレイは二つ返事を言って部屋のベッドに寝ていた白い女の子を二階の部屋に一緒に連れて、ベッドに寝かせる。

後は早速も一階に降りた。

「悪いな。世話になる」

礼を聞いた女将は「いいえ、何かありましたらお呼びしますね。逆に何かあったら、いつでも呼んでください。では、お休みください」と、挨拶をしてそのまま二階に戻る。

グレイは「ああ」と、短い返事をして廊下の方へ歩く。

この時間で一階のロビーから廊下を見ると月の明かりすら届かないせいで完全に闇の中であるかの様にみえる。

毛布を持ち部屋へ戻ろうとグレイは廊下の一番奥、暗闇の奥底に入る。

それだけだったのならどうでもよかった。こう見えても夜目が利く。

でも、自分の部屋を開けて入ると、部屋の中を照らす月明りで暗闇の中から一気に光が広がるように見えた。

いつも使っていた部屋で、いつもと変わらない風景。

それもそうだろう。

この部屋にベッドの他に横になれる家具はない。

寝ること以外に部屋で出来ることもない。

いつもと変わらない部屋だからだ。

あるとすれば、ナイフの整備くらい。

ま、それすらも最近にはあまりしないが。








場所は森の入り口。

つい分と緑豊かな森とえるほど木々のある所であった。そして彼らはそこの入り口と言える所に位置している。

森の中に入らないままそこでなにかをずっと探していたからだ。

そして午後4時のちょっと過ぎた頃に一人の青年がある痕跡を見つけて急に他の仲間たちを呼ぶ。

「先輩たち! 見つかりました!」

他を見ていたその先輩たちという仲間の3人の「見つかったのか?」「よくやったわ!」「……」と、それぞれの返事をしては集まる。

仲間たちを呼んだ青年は「これです」と見つけた痕跡を仲間たちに見せる。が、青年と仲間たちの顔はそれを見てあまりいい表情を作れなかった。

仲間の女性一人が「ちょっと見せて」と、皮鎧の軽装備である青年よりずっと軽装備をした女性がその痕跡を間近で見てはそれをハンカチで取り上げる。

直後にきたフードを被った女の子の目をを後ろのデカい鎧の男仲間が隠した。

「……なにしてるの」

「いや、すまん。小さい女の子があんなのを見るとついな……」

「……喧嘩売ってるの?」

直後に女魔術師に魔術で拘束されて倒れた鎧の男が、「いやいや! 悪かった悪かった!!」と謝りながら12歳前後に見えて実は今年で30になる女魔術師に杖で叩かれている間。

痕跡をみていた女の仲間はその痕跡をカバンから出したビンに入れた。

「これ、まだそんなに経ってないわ」

「え、そうなんですか?」

軽装備の青年は首をかしげた。

鎧の仲間叩いていた女魔術師も振り向いて「……理由は?」と聞く。彼女は痕跡からついたハンカチと痕跡を入れたビンのそれを見せる。

「これを見て」

見つけた痕跡――血塗れの布からその血はハンカチにちゃんと染みついていた。

横からでもわかるくらい血の匂いがする。

そしてビンの方も透明なビンの内側が血の色で汚れていた。

「まだ全然濡れてるわ」

「それってつまり……」

この血の痕跡が出来て間もないという事。

「……行方不明になった子がまた……」

この冒険者4人のパーティーは冒険者の町と呼ばれる町より北の方にある村で子供たちの行方不明の事件が起きているという依頼書を朝から受け入れて出発し、ようやく仕事に取り掛かって村人たちに情報を聞き、この痕跡を見つけていたのだ。

しかし、痕跡を見つけたことで状況が思った以上に悪い事であるという可能性が高まった。

布切れの血。盗賊にしろ魔物にしろ、この場で何かあった子供はもう……。

4人の顔がみな暗い顔になるが、すぐに森に向かって顔を向けては「動くぞ」と、鎧の仲間が真っ先に判断を出した。

「時間がそんなに過ぎてない経ってないということは助けられる可能性もあるってことだ。今すぐ助けに向かえば救えるかも知れない」

その言葉に他の3人が気合を入れる。

生きている可能性は低い……なんて敢えて言わない。

何故ならみなすでに承知していることだった。

別の準備はする必要はなかった。

元々森に入る前提で依頼を受けていたもので森へ入る準備はすでに済ませてある。

だが、一人だけ顔に緊張が浮かんでいるのが一人いる。

「緊張する?」

女冒険者が小さいカバンの中にビンを入れて軽装備の青年に話しを掛けると「は…はい」と自信のなさげに答える。

頼りのない青年だが――それもそうだろう。彼は軽装備から見てわかるくらい素人冒険者であったから。

森に入るのだって、今回こそ初めてだそうだからだ。

「行方不明になった子供たちを探す依頼で魔物との戦闘も覚悟はしていましたけど、やっと実感しました」

「それは違うわ」

素人の後輩冒険者にベテランの先輩冒険者である彼女が断言する。

「戦う覚悟なんて、常に24時間して置きなさい。冒険者が受ける依頼は町中の雑事以外は殆ど、ダンジョン探索もそうだけど戦闘になる確率はほぼ全部よ。だから冒険者はいつでも自分の装備を徹底に整えるの。もとからこお依頼のランクはBだったでしょ?」

「……そうでした」

女冒険者は後輩に「気をしっかりして、『斥候』志望でしょ? いつどこでも頭を回せるようにしてね」と元気付けるようにと頭を撫でる。

「は、はい……」

元気は付けられたようだが、恥ずかしいのか頬を染める。

「そこ、装備と荷物チェックするときに何してんだ。はよ来いよ」

鎧の仲間からの呼び声に女冒険者が「ごめんごめん」と後輩と一緒に仲間たちの元へいく。


そして彼らは……。






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