第8話うん、なんか呼び出されちゃった
三週間後、入学式、およびクラス発表の前日、俺は再び『ラーンベルト学園』の校門の前に立っていた。
それにしても…………受かってよかった〜、マジで落ちてたらどうしようかと思ったよ。合格通知を見た時は柄にもなく大声ではしゃいだもんね。
えっ、はしゃぐのは俺らしいって? ふっ、何を言うかと思えば。俺は真面目で静かなのが取り柄でしょ。はあ、まったく。これだから俺の事を全然知らない人は。七話、俺が出た回で言うと五話読んだだけで俺の事を知った気にならないで欲しいな。まあ、普段から何故か友達に「黙れ」とか「お前の行動は一々騒がしい」とか、「まともに会話出来ねえのか」って言われるけど、気にしない気にしない。
さて、何故俺が入学式の前日に『ラーンベルト学園』に来ているのかと言うと、それはここの学園長に呼ばれたからだ。なんでも話があるらしい。まあ知り合いだしな、呼び出すのも無理は無いだろ。さあ、もうそろそろ時間だし学園長室に向かうとするか。
と、いうわけで俺は学園長室の前に着いた。まあ、それはいいんだけど……ここ広っ! えっ、広っ! 人全然いなかったしムッチャ迷ったぞ! おかげで予定より三十分遅く着いちまったじゃねえか! …………まあ、着けたしいいか。
「失礼します」
「いえ、あのノックしてくれませんか? ……まあ、いいです。ようこそおいでくださいましたリンドウ様」
学園長室に入ると、奥にある執務机の向こうの高級そうな椅子にレグリアが座わっていた。
「おう、久しぶりだなレグリア」
「ええ、最後に会ったのは二年くらい前ですからね」
「……ああ、前は毎日顔を合わせてたのにまさか二年も会って無いなんてな。そういえばレグリア、ブレイズはどうしてるか知ってるか?」
「ああ、師匠ですね。師匠とは学園長同士の会議でたまに会う事がありますが、相変わらずお元気そうでしたよ」
「そうか、それはよかった」
「師匠とはお会いにならないんですか?」
「いや、まあ、俺は暇だけどあいつは忙しそうだからな。わざわざ時間を作ってもらうわけにもいかないだろ」
「ははっ、リンドウ様らしい理由ですね」
俺がブレイズに会わない理由を聞いて、レグリアは何故か笑う。
あれ、俺今そんな面白いこと言った? やっぱ面白い人ってのは気づかずに面白い事言ってるんだな〜。入学試験の時に自信無くしたけどやっぱ俺って面白いことを言える人間なんだ。いや〜、安心安心。
「……リンドウ様、変な事考えてません?」
「いや、変じゃないぞ。これからは神様から授かったこの面白い人間という才能を余す事なく使っていこうと決意してた所だ」
「っ、…………そうですか」
あれ、今レグリアの奴悲しそうな顔しなかったか? いや、呆れられただけか…………なんで?
「…………では、本題に入らせて下さい」
「ああ、そっか。まだ俺が呼ばれた理由教えてもらってなかったわ」
「はい、そうです。ではリンドウ様に質問です。何をしにこの学園に入ろうと思われたのですか?」
「へっ、そんなの決まってんだろ。魔術を学ぶためさ」
「……真面目に答えて下さい。あなたが魔術を使えるはずがないでしょう」
あっれ〜、渾身のボケだったんだけどレグリアの奴、いつにもなく真剣だ。
「リンドウ様、あなたは何をしにこの学園に来たのですか? あなたがこの学園で学ぶ事なんて無いはずです」
あ〜、これ真面目なやつか。
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