03

 アンコールも歌い終わって、準備室に戻った。今日の仕事は終わり。明日は、違うところでまた歌う。アイドルという仕事に、特に何の感慨も執着もない。給金が高いという理由だけで、なんとなく惰性で続けている。

 服を着替えて。帰る。メイクはしてないし、特に私物もない。

 準備室を出て。関係者だけが通れる通路に。

 人がいた。


「どうも」


「どうも」


 誰だろう。


「殺し屋です。あなたを、殺しに来ました」


 来た。


「よろしくおねがいします」


 楽しみにしていた。

 殺し屋。

 男の人だった。

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