無敵桃太郎

 昔々、ある所に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。

 おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。

 おばあさんが川で洗濯をしていると、遙か彼方遠くの宇宙そらからヒューン、ゴゴゴゴゴ!!と、まるで隕石の様に燃え上がりながら大きな桃が落ちてきました。



「こ、これは……!? ククク……仲間に良い土産話が出来るわ」



 おばあさんは大きな桃を拾い上げて、家に持ち帰りました。

 そして、おじいさんとおばあさんが桃を食べようと桃を切ろうとすると……ビシビシっと桃にヒビが入り、直後桃は内側から爆散して、なんと中から腹筋バキバキの元気な全裸の成人男性が笑いながら飛び出して来ました。



「フハハハハ! 我が眠りを妨げるのは貴様らか! ほう……? なかなか度胸があると見た。気に入った! 我が仲間に引き入れてやろう。有り難く思うと良い!!」

「これはきっと神様の思し召しか!!」



 子供が居なかったおじいさんとおばあさんは、大喜びです。

 桃から生まれた成人男性をおじいさんとおばあさんは、母神の腹から生み落とされし神の子として『桃太郎』と名付けました。

 桃太郎は四六時中筋トレをしてスクスクと育ち、やがて神をも超える存在となりました。



 そしてある日、桃太郎が言いました。



「俺は鬼ヶ島に行って下劣な鬼共を殺さなくてはならない……」



 おばあさんにきび団子を作って貰うと鬼ヶ島へ遠征しに行きました。


 道の途中で、犬神に出会いました。



「桃太郎よ、何処へ行くのだ」

「鬼ヶ島へ鬼を潰してくる……」

「ほう……? ならばそこの腰に付けたきび団子を一つばかり我に献上すれば、手を貸してやらん事も無いが……」

「おぉ……それは心強い。ほらよっ」



 犬神は、桃太郎からきび団子を貰うと一目散に齧り付き、桃太郎のお供になりました。


 そしてこんどは、猿王に出会いました。


「桃太郎……何処へ行くのだ……」

「鬼ヶ島へ鬼を殺してくる……」

「フハハハハ! 遂にやるのか! 面白い……鬼共が我が力にやって蹂躙されるのを見るのに今と待ちわびたか……腰にあるきび団子を一つくれれば参加してやろう……」

「良いだろう。共に鬼共に蹂躙の業火を浴びせようではないか」


 猿王は、桃太郎からきび団子を貰うと、片手でそれを宙へ投げ、一口パクリと食べ、桃太郎のお供になりました。


 そしてこんどは、雉子老に出会いました。


「桃太郎や、何処へ行くのじゃ?」

「鬼ヶ島へ鬼を殲滅してくる……」

「フォッフォッフォ……面白い事を考える様になったのぉ……そこ腰のきび団子を一つくれれば、助太刀してやろうかの」

「おぉ……助かる。是非頼む」


 雉子老は、桃太郎からきび団子を貰うと、くちばしで加えるともっちゃもっちゃとゆっくり食べながら、桃太郎のお供になりました。


 こうして犬神、猿王、雉子老を仲間に引き入れた桃太郎はついに鬼ヶ島に着きました。



 鬼ヶ島では、鬼達が近くの村から盗んだ兵器達を並べて厳戒態勢にいました。


「ふんっ鬼共が……我らの力を見せつけてやれ!!」


 犬神はワオーンと遠吠えをすると、鬼達はその神々しさに膝をつき、直後首から赤い血の噴水を吹き上げ、頭が次々と吹き飛びます。


 猿王は獣様な雄叫びを上げると、鋭い爪で目にも追えぬ速さで鬼達の臓物を散らかしながら真っ二つに斬り裂いていきます。


 雉子老は、その羽を使い縦横無尽に飛び回ると、通り過ぎていった鬼達の眼球を確実に突き抜いていきます。


 そして桃太郎は、空高く飛び上がると鬼ヶ島全域を海に沈める勢いで、手から桃色の破滅光線放ち大暴れです。


 とうとう鬼の親分が、


「参った参った! もう許してくれ! お願いだ!!」


と必死に地面に頭を叩きつけて命乞いをします。


「ふんっ雑魚共が粋がるからこうなるのだ……次は無いからな……?」


 桃太郎と犬神と猿王と雉子老は、鬼から取り上げた宝物を荷車に積んで高らかに笑いながら帰っていきました。


 おじいさんとおばあさんは、桃太郎の無事な姿を見て大喜びです。

 

 そして三人は、宝物のおかげで幸せに暮らしましたとさ。


 めでたしめでたし

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