第11話 メンバーの成長と・・・まさかの戦い

 メンバー変更から3日目早々




「ポイってしてビューン!」




 どう今の?変わったスキルでしょ!?


(なんでこんなに早く新たなスキルが備わる?)


 俺らのスピードが早く、着いていくために剣を投げ剣の位置に瞬間移動できる能力を身に着けていた。




「こんなに早く成長する?」


 メンバーも驚く




「えへへ、すごいでしょもっと褒めて褒めて」


 この強さなのに小動物みたいなやつだ




「そろそろちょっと試してみるか」


 声が漏れた




「ん? なんか言った?」


 リリスが不思議そうに見つめる




「あっいや大丈夫」


 俺は目線をそらした。




 本日はロックPTが鬼だ。連携を軸にと話していただけあってなかなか様になっている。全員で来られると一番手強い相手だ。




「リリス少し様子見でみんな連れて偵察に行ってくる。お前はここで留守番な」


「ラジャー! なるべく早く戻ってきてね」


「あとここから離れるなよ。あとは自由にしていい」








 俺はメンバーを集めて先程の場所がよく見える高台にやってきた。


「よいしょっと」


 俺は腰を下ろす。




「あれ? ルーシュさん偵察は?」


 メンバーが不思議そうに声をかける




「あぁもう良いよそれは。けどここから面白いの見られるよ」


「え? なんですかっ?」


 みんな一緒に座る




「さっきリリスの居場所に繋がる手がかりつけてきたんだよ」


「え?それってリリスさん鬼に見つかっちゃうんじゃ?」


「そのとおり」


「えぇならリリスちゃん危ないじゃないですか早く助けに行きましょう!」


 慌てるメンバー達


「良いんだよ。それが狙いだよ。ほら来たきた」




 パチンと音を鳴らすとその場の音が聞こえてきた。


 ザザッ




「リリスじゃないか?」


 リリスのもとに現れたのはロックPTだった。




「なんだ? 怪しい跡があったから来てみれば誰かへまこいたみたいだな」


 思惑通り俺がつけた痕跡がミスだと思ってリリスが見つかったと勘違いしているようだ。




「勝手に呼び捨てにしないでよ~」


 べーっと舌を出しているようだ。




「生意気だな、ルルーシュがいない今の内に、お前には退場してもらう」


「ちょっとぉ、女の子1人に5人がかりですか?」


「その手には乗らんよ。すぐ終わらせるっ」




 2人がバックアップ、3人が突っ込んでいく。




「ちょっと本気!?」


 少し慌てているようだが剣をバックアップの方へ投げる。




(もう実践で使うか)


 俺は感心した。




 バックアップの2人は警戒して避ける。


「武器手放してどうすんだよっ」


 突っ込んだ3人が一斉に攻撃に移る。




「ポイッとしてビューン」


 詠唱なのか言う必要があるのかは不明だがそれを発した瞬間、剣の方へ瞬間移動したリリス




「なっ!」


 攻撃が不発に終わり、リリスを見失う3人




 その間にリリスが仕掛ける


「遅いっ!フォーラッ」




 剣を振るとバックアップの2人に大きな滝のような水が降り注ぐ


 その水圧にやられ吹き飛ぶ2人


 やっと状況がわかった3人が振り向く




「もう1対3だね」


 楽しそうに話すリリス




「くそっ、油断しすぎだ。おいっ!」


 また連携を組むため集まる3人




「もっと楽しもうよっ」


 飛び跳ねて3人の頭上から剣を振り下ろすリリス




「でかいのが来る。3枚重ねるぞ」


 ロックの声とともに1人ずつ魔防壁を展開する。それが重なり合って3重魔防壁が全方位に展開される。




(おっロックもなかなか面白いこと考えてんじゃん)


 ロックの方も短期間に成長していることに驚く




「アイスア~フォーラッ!」


 お構いなしに全力で剣を振り下ろすリリス


 その瞬間大きな滝のような攻撃が3人を包み込んだ。するとその滝がすぐ凍ってしまった。




「おいっどうなってるこれじゃ動けんぞ!」




 魔防壁自体はこの攻撃を耐えたようだ。中でロックが叫んでいる。


(ほう、耐えたかここからどうするリリス)




「私の氷は……爆ぜる」


 リリスが言ったと同時に指を鳴らした。


 パシュ…




 またたく間に凍っていた滝が大きな音ともに爆発した。


 火が上がる爆発ではない、中心に向かって一瞬圧縮されそのまま破裂したかのように氷が砕け爆風が起きる。その爆風はロックもろとも吹き飛ばした。




「おおぉすげぇ、かっこいいな今の」


 俺は感激した。がニヤけてしまった。


(指鳴らすのはミスってたなあいつ、多分真似だと思うがミスるなよな~)




「このことは黙っといてな。それじゃ戻るぞ。」


 俺はそう言って指を鳴らして戻ってきた。




「リリス大丈夫か?」


「ルーシュ褒めて褒めて! 一人でやっつけちゃった。頑張ったよ」


 しっぽを振っているかのように寄ってくる




「よしよし。それにしてもすごい爆発だったな」


 頭をポンポンとしてやった。


















「ぬおぉ~~~~」


 訓練に励むロック




「やめてよ、暑苦しいよ」


 そう声をかけるのはリリス




「にしても1人にやられるとはな、弱くなったか?ロック」


 笑いながら話すのはジャック




 開始30分で鬼が全滅という今までになかったことで全員が揃っての訓練に切り替えていた。


 ロックPTは全滅のバツとして訓練に参加させてある。


 張り合ったり雑談したり少し息抜きできる日になっていた。




「僕はパーティー変わってから何もできていない……それに比べてルーシュさんはすごいな」


 なにか言っているメロに後ろから話しかけた。




「どうしたメロ?」


 ビクッとして振り向く


「い、いえなんにも」


 様子が変だ


「どうした? もっとできるだろ? 俺はお前を評価している。先生に交換頼んだのも俺だし」


「そうだったんですね……なら年下ばかり集めたのもルーシュさんの案ですか? ロリコンですか?」


「え、え? な、なにいってんだよ」




 少し慌てたが実際、メロとリリスを交換したことにより、15歳、15歳、13歳,12歳,12歳という最年少少女が集まっていた。


「強い人固めてしまうより、こういった人たちの底上げをだな、それに上級者には先生が細かく話してたし実際パーティー決める時なんか俺みんなに避けられてたからな。決してこの子達を集めたわけじゃ……」


「冗談ですよ。なんか逆に怪しいです」




 笑いながら話すメロ。


(笑ってやがる。メロにしろリリスにしろなんでここの子供はこんなに口が達者なんだよ)




「そういやルーシュさんってフォミィ先生と似た考え方なんですね」


「俺も少し賢者について興味があったんだよ。前衛のこの状況が気に入らなくて、昔のこと調べてたりしてたら賢者の文献にハマっちゃって」


「血みどろに戦っていただけでしょ?」


「あ~」


(そうだよな~返り血でベタベタだったもんなぁ)


 面白おかしくメロと話をした。








 その後は1順だけメンバーを変えその後はもとに戻した。


 全体的に動きも良くなり各パーティーの課題も解消されてきたところだった。


 戦いまであと10日というところでジャックが話しかけてきた。




「なぁルーシュお前全然本気出してないよな?」


 機嫌が悪い?




「いやそんな事ないですよ?」


 険悪な雰囲気にはしたくない




「嘘をつくなお前、今すぐおれと戦え」


「いえいえそう言われましても」


「おい、何抜け駆けしてんだ?」




 口を挟んできたのはロックだった




「おれとも戦えルーシュ」


 声がでかい…そのせいか




「えっ? なになに? ルーシュと戦えんの?」




 ノリノリで寄ってくる空気読めないのはリリス


(やばいなんか変な方向に)




「おい、リーダーだからって一番強いってわけじゃないだろ、おれも混ぜろ」


 各々話し出すメンバー達




「なんか面白そうですね。ここで一番強いの決めときますか?」




 どえらいことを口に出したのはメロだった。


 何故か盛り上がるメンバー達


 もう止められそうになかった。




「では前衛組最強者決定戦と行きましょう!」


 たいして強くもないノリの良いロックPTのムードメーカー《デン》君が仕切りだした。




「まずはトーナメントかリーグ戦か?多数決にしましょう」




 何故かみんなノリノリで話し合っている


(おいおいまじで辞めてくれ)


 心で願う俺だが意味はないだろう




「はいっ厳正な審査の結果、決戦はトーナメント形式で行きます!!」


 盛り上がる教室




「次にっ参加者を募ります」


 24人いる中で立候補したのは15人…さすがAクラス腕試しと聞けばほぼ全員手を上げてきた。


 そこに強制的に俺が混ぜられ16人


 メンバーが決まった。




 こうなる発言をしたメロは観戦者だ……あのボケ


 参加しなかったのはメロみたいな頭やチーム戦の得意なメンバーと人数合わせのBクラスメンバー。逆に言えば参加したのは一人ひとりは強い奴等……これは面倒臭くなってきた。




「おいっ手抜いたらただじゃおかんぞ」


 ジャックが話しかけてきた




「こうなったらやるよ。その代わり優勝も俺だからな」


 4回戦うだけだ。そろそろ試したいことも増えてきたし丁度いい。




「ではちょうど5順が終わった明日からトーナメントを開始します」


 そう言って先生に掛け合うと走り出していったデン君


 と思ったらもう戻ってきた




「よく聞けぇ!オッケー貰ってきたぞ~」


 更に盛り上がる教室


 さすがムードメーカー盛り上げ方がうまい




「じゃあ運命のくじ引きと行こうか!!」




 トーナメント表を黒板に書き出すデン君


 1~16まで書かれたトーナメント表


 そこで番号を書いた紙を引いていった。


 これから戦えなかったらグチグチ言われる可能性を加味して、ズルだがジャックを一回戦の相手となるように魔法をかけた。




「神はおれを見捨てていない残念だがルーシュ、優勝どころか1勝もできないな」


 神は俺なのだが、すごい自信だ。


「よろしくっ」


 一言返した




 その他のメンバーの一を確認し、一番厄介なやつ…スザクと互角と言われている学園2位イリュウは順当に行けば決勝戦だ。体力とか考えても一番嫌なタイミングだ。


 しかもこいつリリスPTなのだが訓練中殆ど寝てやがる、実力を出していないのはこいつも同じだ。












「で? お前のとこどうなんだよ?」


「もう少しで約束の1ヶ月ですもんね」


 寮に戻ってきて話しているのはロロとヴィニーだ。




「順調だよ。思っている以上にいい勝負になるそして勝つつもりだ」


「そうかそうか。ちゃんと勝てたらさすが賢者様だな」


「お前らはどうなんだよ? ちゃんとやってんのか?」


「何も言うなよ、キリッ。とか言ってたくせに気になんのか?」


 俺は後衛の情報は効かないようにして戦いたかった。




「そうじゃ無い。お前らの立場とか馴れ合い。スザクはお前の参考になるし、それに入学式お前ら2人は目立ってた」


「そうですね。やっぱ派閥みたいのがあって最初は色々誘われたり、訓練中に集中砲火食らったりしてましたけど……」


「ん? けど?」


「ロロ様があれ以来、炎魔法使わなくなって……」


「おいっ言わんでいいって言ってるだろ」


 ロロが横槍を入れてきた。




「何だお前またビビったのか? それで今じゃ仲間はずれってか?」


「はい私達2人は今じゃ孤立です」


 ヴィニーが答える




「まぁ仕方ないな。この状況が終わればそれも無くなってくるだろうけど、もう少し辛抱だな」


「おいっ何も言わないのか?」


 ロロが下むいて話す




「何を言われたいんだ? 最初に言っただろう使いこなせるようになるにはお前次第だと。使わないならそれで良いが他の方法で強くなれ。当然これもお前次第だ。俺は子守じゃない強くならないと決めたやつに話すことはない」


「ルーシュ様……」


 心配そうにヴィニーが見る




「うるさい」


 でていってしまうロロ




「ヴィニーほっとけよ」


(全く手のかかるやつだ)


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