第10話 前衛パーティー・・・と課題

「まずは自己紹介を兼ねて実力を見たいのと団結力を高めるため簡単な自己紹介とオリエンテーションをします」




 フォミィが提案する


 俺もほぼ知らないこいつらの能力を把握する、そしてこいつらの判断で5つのパーティーに分けるつもりだ。


 俺が1つのパーティーリーダーをするとして、他即戦力は6人だが、リーダー向きは2人あと1人探さないといけない。




 自己紹介は気だるそうに行うもの恥ずかしそうするもの、目立ちたいやつ、それぞれいるがなかなか面白いメンバーだ。Aクラスだけあって能力も曲者が多い。ほとんどソロプレイヤーみたいなものだ。15歳以下が6人これも面白い。




「何だよ、気合い入れたくせに立食パーティーだぜ」




 生徒が色々話しているのが聞こえる。


 今はオリエンテーションという名の立食パーティーを開いている。




「ただ食って終わって良いわけじゃありませんよ? ちゃんと自己紹介から得た情報で性格や能力が0自分と相性いいパーティーメンバー探すんですよ」


 フォミィが話す。




 そう、俺はもうパーティーを組まそうとしている。時間がないのもそうだがパーティーの意思疎通や相性が大切なのを学んでほしいからだ。




「実力で多少の変更や後日入れ替えは行いますが、自分たちでまず考え行動してください。では質問、パーティーを組むにあたって一番重要なのは?」




 一人が答えた




「リーダーですか?」


「正解。ですのでリーダーは私から選びます」


「1班ルーシュ」 (剣士   能力:居合斬り 性別:男 武器:刀  年齢:16)


「2班リリス」  (剣士   能力:氷爆   性別:女 武器:剣  年齢:12)


「3班ジャック」 (アサシン 能力:ステルス 性別:男 武器:短剣 年齢:20)


「4班ロック」  (格闘   能力:硬化   性別:男 武器:素手 年齢:19)


「の4人でいく。あとは好きなように話し合ってくれ」


「先生異議あり!」




 声を出したのは2班リーダー、リリス




「はい、なんですか?」


「私12歳です。年上の皆さんをまとめられる気がしません。それにか弱い女の子です、なので1班希望します」


 俺の方を見て言う




「俺も12歳でリーダーは荷が重い気がするな。けどその実力と性格ならやってみても面白いと思うけどな」


 俺が答える。




「でも……」


 少しうつむいてしまったリリス


「それに相性が悪い」


「相性が悪い……」


 うるうると涙浮かべていたような気がした。




 スピードを活かす俺と広範囲威力型のリリスとは相性が悪いという意味だったのだが、何故かショックを受けていた。


 こういった話し合いが続き思ったよりすんなりパーティーが決まった。




 ・1班ルーシュPT 機動力サポート特化。相手の牽制や先遣隊の行動封じる。時には援護も請け負えるオールラウンダーパーティー。


 ・2班リリスPT でかい硬い、といった敵主戦の殲滅、高火力高耐久力のパワーパーティー。


 ・3班ジャックPT 隠密、偵察、混乱、といった連絡係。それに加え個々の能力が高く1人でも行動ができるスピードパーティー。


 ・4班ロックPT 連携を得意とするメンバーに加え判断力や魔力が高く多彩なスキルを持つメンバー。対多人数にも対応できるディフェンスパーティー。




 良いパーティーができたと思う。


 総勢24人、各PT6人ずつこの中の一人が控えという編成だ。


 これからは連携や役割、魔法対策と色々忙しくなりそうだ。




 この1ヶ月間はAM座学、PM魔法学と分けてもらってPMは前衛後衛と別れて授業を受けている。


 前衛の授業は最初から実践形式にした。体力向上と頭を使わせるためだ。各パーティーに別れ、決められた訓練をこなしていく。それと同時に毎日1パーティーだけが鬼役となる。


 鬼役は他PT全滅を目的としておりできなかった場合次の日のノルマが2倍というルールだ。


 俺のPTは俺を除くと15歳、15歳、14歳,13歳,12歳の14歳だけがAクラスほかがBというパッと見最弱だった。








 8日が経って2巡目が終わった頃




「無理~死ぬ~~」


 リリスPTはぐったりしている。




「あぁ~~~~~~」


 とイライラしているのはロックPT




「……………」


 もともと影の薄いジャックPTが消えそうなくらい端っこに固まっている。




「今日も全滅でしたね」




 そういうのはメロ。俺のパーティーの14歳のAクラス少年だ。


 俺のパーティーは最初から一番目に狙われていたが、全滅0。2回の鬼では2回とも全滅をしている。


 俺が動けば余裕なのだがそれでは意味がないのでちゃんとパーティーを活かして攻めている。


 それを可能にしているのはこいつメロだ。14歳にして全生徒10番目に入る実力者だ。


 俺の一番求める状況判断能力に長け、俺の動きについてきている。それにメンバーの能力の把握、攻めと引きがうまくできていて言うことがない天才だ。




 欠点を上げるとこいつは冷静すぎる。言い方を変えると冷酷だ。これが今後問題にならなければいいが。


 メロの能力は空間移動、ある程度の範囲を移動できる便利なものだ。それに武器は珍しい形状変化系の武器で状況により色々と大きさも形も変えられる、こいつにぴったりと言ったところだ。


 それとは逆に俺の欠点が浮上してきた。近づかれると引くしか無いのだ。なぜかと言うと刀は重い、《剣士》っぽく見せるためのつもりだったから刀身がないハリボテの刀だった。居合とカッコつけた割に刀身のない刀で受け止めるわけには行かない。


 おかげで対策は思いついたから良かったが気づかなかったとは我ながら恥ずかしい……




 他パーティーはというとロックとジャックがいい勝負をしている。


 それに比べ良い成果がないリリスPT。高火力は警戒されせっかくの持ち味が発揮できていなかった。




「2巡目も終わったので少しパーティー変えましょうか」


 そう言い出したのはフォミィだった。




「ロックとジャックはうまく立ち回れているのでそのままで。2班からリリスさんと1班のメロ君入れ替えてみましょうか」


「僕ですか? 2班はリーダーいなくなっていいんですか?」




 メロが不思議そうに聞く




「2班はメロくんリーダー引き継いでください」


「メロそんな急にメンバーの人のことなんも知りませんよ」


「なら知ってください」




 少し投げやりになってしまった。


 しかしあのパーティーは曲者が多いそれをわかっていてあえて年下リーダーにしている。命令や馴れ合いが好きでないメンバー、少しは落ち着いてもらわないと困る。




「私はリーダー失格ってことですか?」


 少しは喜ぶと思ったが思っていたより責任感が強いようだ。




「いえ一度のびのびとしてみましょう、空回りしすぎです」


「……わかりました」


 渋々だったが受け入れてくれた






「よろしく」




 俺が声をかけた。


 それに続きメンバーも声をかけた。


 少し元気になり「よろしくっ」といい返事をしてくれた。




 メロは優秀すぎた年齢的に教えるものが多いと踏んだが、もうほったらかしで自分で考え悩んでもらったほうが良いような気がした。それに比べ動きの悪いリリスをのびのびさせてやる方法を選んだ。




「リリスなんだか動き悪いみたいだな? メンバーとうまくやっていけてないのか?」


 率直に聞いてみた。




「いえみんな強いし、言うことも聞いてくれたり、意見も出してくれて、不満はないのだけど……」


「だけど?」


「一人ひとりが強すぎでお互いが邪魔しあってるの。粉塵で前が見えない、仲間がいるから攻撃できない、カバーしようにも巻き込むって」


(思っていたより深刻だ)


「なるほど派手にしていると思っていただ互いに距離をとってしまって。連携もうまく行っていなかったと言うわけか」


「そう! やっぱルーシュくんは天才ね」


 そう言って横に座りに来る。




「だからどうしたら良いかもっと私に教えて」


 なんかすごい見つめてくる……苦手だ……




 と、他にも話を聞いたが戦術や考え方、動きも悪くない。おもったとおりこいつも天才だ。なら何が悪いのか? たぶんメンバーのことを気にしすぎている。自分が後手に回っていて本領を発揮できていない




「なぁリリス思いっきりやってみないか? 次本気で勝ちに行くぞ」


「え? なになに? 何するの?」


 楽しそうだ。




「今は俺がリーダーだ。少しタイプが違うから基本的に自由にしていい。けど作戦を伝えたらゆうこと聞けよ」


「うん! もちろん」




 やる気が出てくれたようだ。

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