第5話 弱い前衛と・・・見下す後衛

 少し森を移動すると


「やはりダメだったか血の臭が濃い……それに」


 何人かの死体が転がっている。




「3,4,あと一人はあそこか」


 少し大きな木の根元に一人うずくまっている




「息があるな喋れるか?」


(容姿と服装からAクラス先遣隊のリーダーだな)


「助けてくれ死にたくない」


 必死に訴えてくる




「すまないが助からない……」


「うぅ……」


「状況を教えてくれ」


 痛みが引くように魔法をかける




「ありがとう…俺達は村についた、森の状況を偵察に1人向かわせた。すぐ戻ってくる手はずだったが戻ってこなくてそのまま全員で森に入ったんだ……奥には進むなと言われていたが少し歩いて気づいた20分も歩いてないのにそこは最奥だった。その幻影魔法に気づくのが遅れて囲まれてこのザマさ……」


「つらい思いをしたな遅くなってすまない」


「2体だけ……異常に強かった……何もできずに次々やられた気をつけろ」


 手に力がなくなった。




「クソッ最初からこんな」


 ドォォオン、森で音がなる


「展開が早いな、あいつらか」


 音のした方に急いで向かう














「ヒィ…こっち来るな」


 ダンが逃げまとう


 5体の魔物に囲まれている。


「おいダンもっと粘れ詠唱ができない!」


 魔法使いチップが怒鳴る


「私の守護盾プロテクタも持たない早く」


 苦しそうに聖職者キキが言う


 後衛が善戦するも前衛2人が全く敵について行けていない




「こいつら強すぎて……ぐはぁ」


 格闘家ハルが吹き飛ばれて木に叩きつけられる


 それでも魔法使いが魔法を発動し2体を倒す。




「まだいるぞ!立てお前ら!」


 魔法使いデールが叫ぶ


「次の詠唱まで粘れっていってんだ!」


 魔法使いチップが言う


「もう無理だ死んでしまう」


 ダンは固まって動けない


 ハルは目を覚まさない。


 何もできない後衛に魔物が寄ってくる。




「くそっ間に合わん」


 魔法使いが必死に詠唱するも時間が足りない




「またせた」


 パチン


 指を鳴らす音と同時に残り3体が燃えて消えていく




「おまえEクラス……」


「起きろ止まってる時間はないぞ」


 次々と魔物が押し寄せてくる


「さっきいっただろ前衛が戦わないと後衛は何もできない。お前のせいでパーティーは壊滅する」


「キキこいつを頼むもう戦えない」


 ハルを運んでくる


「ダン死ぬ気で守れ。それができて前衛だ、リーダーだ」


「けど……」


「信頼しろ仲間を……」


「チップとデール一番強い魔法で威力はどれくらいだ?」


 魔法使いに問いかける




「多分2人あわせて半径10mは吹き飛ばせる……」


「それを唱えろ」


「でもそんな時間……5分もかかる」


 チップは諦めるような顔で




「お前らもだ、俺たち前衛を信じろ」


(俺はいつから前衛になったんだよ……けど思い出すな、最高だったあの決戦の日を)




「お前ら奥2体が見えるか? 白と黒の縞々の魔物。あの2体がやばい。詠唱に合わせて2体をあの木に引きつけるそこを狙え」


「なんでそんな事知って……」


 メンバーは知りも得ない情報を持つ俺に聞くが




「いいから始めろ。キキは強化魔法使えるな? 守りはいいその2人に使え」


「はい!」


(こいつは本当に飲み込みがいいな)




「ダン一番重要な仕事だ。全力で守るぞ」


「わかってる死ぬほど怖えぇけど、Eクラスには負けない」


「殆どは引き受ける。何体か流すからとどめを刺せ。あと奥の2体は逃げろ」


「おう!」




 2人して魔物の大群に向かっていく


(数でいうと30体か…全部正面からが救いだな)


 個々は強くない!


 飛び出してくる魔物を一体ずつ倒し、倒しきれず深手を負わせた魔物は後ろに流す。


 流したやつはダンがとどめを刺す。


(なんとかうまくいってるな)


 しかしあの2体見たこともないが気配が魔王に近い。気をつけないと




 ザザァ


「くっ」


 ダンが倒れる


「ダン!」


「大丈夫だ!」


 ダンが近くの魔物を倒す


 少し目を離した隙に2体が消える




「ダン任せる」


 ダンにここを任せ後衛側に飛ぶ




 白黒2体が急に後衛前に現れる


「わぁぁぁ!」


 魔法使いが怯む


「大丈夫! 信じて!」


 キキが声をかける




「させねぇよ」


 パチンッ


 後衛と2体敵の間に指が鳴る音と同時に雷が走る、それを避けるかのように2体は後ろに飛び離れていく




「雷魔法……Eクラス、お前」


「いいから集中しろ!」




 パチン


 離れた2体を追いかけながらダンを援護する


(クソ気分が悪い、たった4年前の体でこれか? 使えない)




「詠唱できました!」


 チップとデールが同時に言う




「10秒でさっきの場所に打て!」


(残り7体とコイツら)




「ダンよくやった」


 ダンを後衛側に吹き飛ばす




「あとは俺が殺るついてこい雑魚ども」


 すべてを引き連れ指定の場所に向かう


「フルフレイムメテオ!」


 時間通りチップとデールの渾身が降り注ぐ


 岩系と火系の混合魔法で隕石ってか


 魔法強化もあってか予定より広い範囲が消し飛んでいった。




「倒したのか?」


 ダンが言う


「そうだろ……あの威力だぞ」


 デールがびっくりしている


「すっげぇなお前らあんなのできねぇわ」


 ダンが魔法使いに向かっていう


「いや、こちらこそありがとう。ダンがいなかったらあれは撃てて無い」


 チップが手を伸ばしてダンを立たせる


「これがパーティーね」


 嬉しそうに聖職者キキが言う




「そう言えばEクラスは?」


「いるよ」


 すぐ後ろに立っていた。


「てかお前なにもんだ?」


 全員がこっちを見る




「荷物持ち」


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