7月11日
今日は朝早くから近所の人たちが押しかけてきた。
「最近女性や子供の声が聞こえるのだが、誰か親戚でも遊びに来ているのか」と不思議な様子だ。
何を言われているのかわからずに私は親戚など来ていない。その声は妻と娘のものだと返した。
すると彼女らは怪訝な顔や哀れみの表情を浮かべた。
私には妻と娘がいるのだから女性や子供の声がするのは当然のことだ。
私が妻子持ちであるということは周知の事実であるというのに一体なぜそんなことを聞いてくるのか。
玄関で話し込むのも何だから奥へどうぞと私はその人らを家へ上げた。
一人、二人、三人、四人……五人……
朝からこんなに集まって暇な人たちだ。
まあでも私と違って妻は社交的だ。きっともてなしてくれるだろう。
茶菓子に私の好きな水ようかんもあるはずだ。
私は家の奥へと向かうその人らの後姿を見ながら後ろ手に玄関の扉を閉めた。
客の相手は妻がしてくれるだろうと私は居間へは行かずにそのまま作業部屋へ入った。
次の仕事の構想を練らねばならない。
私は仕事を始めるとどうにも没頭してしまうようで、作業部屋の扉の向こうが騒がしかったような気がしたのだが手を止めずそのまま作業を続けた。
そうだ、これを作り終えたら娘にも一人友達を作ってあげねばなるまい。
最近作業ばかりで寂しい思いをさせてしまっているから。
フランス人形のような小さめの子がいいだろうか。
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