6月22日
ここ最近すこぶる調子が良い。
悪夢にうなされることもなくなったし、不思議な現象が起きることもなくなった。
今思えば開いた窓や扉、足音は全てこの子が原因ではないのか。
本当にお転婆な子だと思う。だがまたそれが可愛らしくてたまらない。
目に入れても痛くないというのはこのようなことを言うのだろう。
最近頻繁に仕事の打ち合わせで訪れる杉本君がそんな私のことをおかしな目つきで見てくるようになった。
子煩悩さにあきれているのだろうかと疑問に思っていたのだが、どうやらそうではなかったらしい。
娘を寝かしつけていると『先生、病院へ行きましょう』そう言われたのだ。
何故かと問うと私の様子が見るからにおかしいからだという。
確かに少し痩せたかもしれないが、それは単に暑くて食欲が落ちているだけだと思う。
そう返すと違うのだと杉本君は言った。
何が違うのかと問えば彼はとんでもないことを口走ったのだ。
『あなたの娘さんは死んだんです!!!』と。
一体何を言っているんだ。冗談でも言って良いことと悪いことがある!!!
娘がいつ死んだというんだ、ほらここにいるじゃないか。
流石の私も頭に血が上ってしまった。杉本君を家から追い出そうとしたのだが、起きだしてきたこの子にそれを止められてしまった。
どうやらこの子は彼のことがお気に入りのようだ。
彼と一緒に遊びたいのだという。
私も大人げなかったと思う。彼に口調を強くした謝罪をして、娘と遊んでやってくれと娘を指し示すと杉本君の顔が娘を見て引きつった。
まるで恐ろしいものでも見たかのように。
娘は今は満足して寝ている。
杉本君も疲れたようで死んだように眠っている。布団を出してあげなければ。
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