6月18日
人形がとうとう完成した。
丹精込めて作った人形、本当に娘に生き写しだ。
ぽってりとした頬はとても柔らかそうで、小さな紅葉のような手も今にも私に向かって伸びてきそうだ。
その姿を眺めていたら急に熱く苦しいものがこみあげてきて、私はその人形を抱き締めて大声で泣いた。
こんなに泣いたのはいつぶりだろうか?
妻や娘が死んだ時もこんなには泣けなかったように思う。
妻を亡くした時はこれからは娘を私が一人で守らなければと必死で泣いてる場合ではなかったし、娘を亡くした時は私の心も一緒に死んでしまったかのように涙が出てこなかった。
周囲からはさぞや薄情な父親だと思われただろう。
それにしても少し泣きすぎたかもしれない。気分はすっきりとしたが頭が酷く痛む。
娘には『おとうたんあかちゃんみたいね?』と笑われてしまった気がする。
可愛い可愛い私の娘……
もう私の傍から離れないでおくれ。
おまえが……でも………私は………るから………(文字の乱れ・インク汚れでも可)
……なんだ?
頭痛のせいか文字が上手く書けない。
頭痛薬でも飲んで今日は早めに寝ることにしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます