5月12日

昨日の日記をあんな言葉で締めくくったが今日の夢見は最悪だった。

水に浮かぶ娘の夢を見たのだ。

水が動くのに合わせて広がった髪がゆらゆらと揺れていた。

私は悲鳴をあげて娘に手を伸ばすが、どういったわけか娘に触れることも近付くこともできないまま悲鳴を上げ続けることしかできなかった。

不意にうつろに開いたままの瞳が私を見、唇が微かに動いた。

『たすけて』

私にはそう言ったように見えた。声は届かなかった。だが確かに娘はそう私に訴えてきた。


悲鳴を上げて飛び起きるともう朝だった。

外は大雨で、開いた窓から大粒の雨が室内に打ち込んで水たまりを作っていた。

あんな夢を見たのもこの雨のせいだろうか。

濡れた場所が畳でなくてよかった。

それにしても私は窓を開けたままだっただろうか。

閉じたような気もするのだが……。いや、今こんなことを考えても仕方がない。

まだ日記を書くには早い時間だが私は気持ちを落ち着ける為にこうしてペンを握っている。

あぁ……手が震えて上手く字が書けない。


今日はこれから娘の人形作りを始めようと思っている。


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