第22話いったいどこに!?

やってきたこの病室での二日目の夜。

長いようで短い二日間だった。

でも明日でこの退屈な日々を抜け出すこともできる。

そう考えるだけで俺の感情は、明日へ馳せる思いを増大させていく。

気持ちが高ぶってしまって、とても寝れそうにない。

俺は遠足前の小学生かっての……。

そんな自分に呆れているとだんだんと落ち着いてきたので、俺はいつもよりも固いベッドの上で意識を手放した。



◇◆◇


久々に吸う外の空気。

夏の名残か肺で感じる空気は生暖かくて、寂しさで凍えた俺の心を溶かしていくようだった。

皐月はまだ学校だろうしたまにはのんびりと散歩をするのも悪くはないと思って、ゆっくりと寄り道をしながら帰るのだった。




家に着くと誰もいない寂し気な部屋に出迎えられた。まあ、仕方ないよな……。

学校に行くなとも言えないし、皐月もきっと寂しい思いをしていただろうし、俺が我慢をすることにしよう。

すると歩き疲れてしまったせいか、寝不足のせいか大きなあくびが出てきてしまう。


「少しだけ寝ることにするか……」


その呟きは静寂の中に消えていく。

俺の病室に残っていたは俺の部屋には残っていなかった。




重い目を開けると闇が広がっていた。

寝ぼけ眼ではまともに物の配置を識別することもできなくて、部屋の電気をつけるのにさえひと手間かかってしまった。


「······っ!眩しい······」


自分の目をよく擦って時計を見てみると時刻は九時前。

思っていたよりも随分長く寝ていたらしい。

ただそんな事はどうでもよくなるほど不思議に思う点が水のように溢れ出てきて、俺の気持ちを段々と不安にさせていく。

暗く、電気の着いていないリビング。

人気の無さすぎるこの家。

いつもだったら起こしてくれるであろう彼女の存在。

考えれば考えるほど俺の思考はネガティブな方に持っていかれて、ついには悪い未来しか見えなくなっていた。


「皐月……?」


俺はそう呟きながら、リビングにつながる扉を開く。

そこも真っ暗に染まっていて、皐月が居るという雰囲気は微塵もなかった。


俺は携帯を開いて、彼女に電話をかける。

着信音らしき音は全くない。

それは彼女この部屋にはいないという事をしっかりと暗示していた。

せめて、つながってくれっ……!

そんな願いを儚く消えさせるように、電子音で作られた彼女の不在を知らせる声が俺の耳に届く。

いったい彼女の身になにがあった!?

俺はどうすればいいんだ!?

その答えはここにはない。



どうして俺は助けられないんだっ。




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