第50話 悩んで後悔して反省して後悔して
「って感じー」
「そうなんですね」
「やっぱり悩んでるみたい」
「悩んでる内容はわからないですか?」
「なんか言ってくれなかったー」
お昼ご飯を食べながら、星那さんから宙音さんとの会話の内容を聞いていた。
「妹もそこまで乗り気じゃないみたいなんですよね」
「そっかー……」
「せめて理由が分かればその気になるのかもしれませんけど」
「あの……」
初華さんが口を開いた。
「宙音ちゃん、理由言ってませんか?」
「え?」
「言ってないじゃん」
「疲れたっていうのが理由じゃないの?」
「でも2週間もだよ?」
「2週間しか、でしょ。精神的に疲れたんじゃないの?」
「精神的にですか?」
「星那はともかく、海斗くんならわかると思ったんですけど……」
宙音さんとの共通点と言えば、Vtuberとして配信してること。
そのことを念頭に、昨日から考えてはいたけど、宙音さんが休む理由は思い浮かばなかった。
「ごめんなさい、ちょっとわかってないです」
「私はともかくってどういうことー?」
「星那はややこしいから放っておくとして、普通に登録者が減ったからじゃないですか?」
「そう、なんですか?」
「はい。100人単位でしかわかりませんけど、減ってましたよ」
「登録者が減ったのに、休止するんですか?」
「あー、そういうところです。海斗くんは、きっと、減ってしまったならもっと頑張って戻ってきてもらうか、新規の人に来てもらおうとするんだと思います」
そういうものなんじゃ?
休止している間に、さらに離れて行ってしまうかもしれない。
「辛いことがあってすぐに立ち上がろうとする人の方が珍しいんですよ? 特に、配信している人からしたら、登録者っていう数字はその人の実績、みたいなものじゃないでしょうか。やっぱり気にするものですよね」
その言葉を聞いて、今更、配信を始めたころのことを思い出した。
本当に始めたばかりの頃、一人の登録者が増えたり減ったりしたことに一喜一憂していた。
今はありがたいことに減ることも無くなっているけど、それはきっと数字上だけだ。
普通に、離れていった人もいるはずで、その人数以上に新しく登録してくれた人数が多いだけなのだと思う。
「宙音にお願いしてみます」
「カイト?」
調子に乗っていたのだと思う。
そういう、初心に帰るということができなくなっているというのは、人として良くないと思う。
その反省に海菜を巻き込んでしまうのは申し訳ないけれど。
「たぶんあっていると思うんですけど、あくまでそう思っただけなので、深くとらえてもらわなくても……」
「えっとー、登録者が減ったから悩んでるの、って聞けばいいのー?」
「星那はもうちょっと人の気持ちを考えなさい」
「だって、それが分からないとどうしようもないんでしょー? なら宙音に聞くしかないじゃん」
「はぁ……ちょっと貸しなさい」
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