第15話 クラスメイトは一人じゃない
初華さんとお弁当を食べている。
教室で食べようとしていたら、目の前の席に座ったかと思うと、普通に一緒に食べようとしてきた。断ろうとしたけど、友達だから、と押し切られそうになったので、妥協して他の人に見られないところならと言ったら、またこの教室に連れてこられた。
「お弁当交換しませんか?」
「いきなりどうしました?」
「海斗くんがすごくおいしそうに食べてるので気になりまして」
「そうですか?」
確かに美味しいけど、表情に出していただろうか。
「というより、おいしそうに食べてるのに交換しようとするんですね」
「私も食べてみたいです」
「え」
「だめですか?」
「ええ……」
「無理にとは言わないです。はい、あーん」
あっ、おいしい……ん!?
「い、今……」
「おいしいですか?」
「は、はい」
「それはよかったです」
「……」
こっちだけもらっておいてお返ししないのは……もしかしてこれが狙い?
俺に罪悪感を抱かせようとしていた? もらった卵焼きは俺のお弁当にも入ってるけど……
「あの、お返しです……」
蓋の上に置こうとしたら、初華さんは蓋をどかして、口を開けた。
……
「うん! こっちもおいしい!」
「よかったです……」
なんでこんなカップルみたいなことを……
「失礼しまーす」
驚いて扉の方を見れば、金髪が立っていた。
「っ」
顔を背けてはみたものの、この空き教室には俺と初華さんしかいないわけで。
「やっぱ初華じゃん! こんなとこでなにしてんのー?」
「何って、お昼ご飯食べてる?」
「そーいうことじゃなくってさー、誰~?」
「
「全員覚えてるわけないでしょー」
顔を背けていると金髪が顔を覗き込んできた。
「やっほ!」
「……」
「ちょっとノリわる~い!」
ごめんなさい。そういうノリになれてないんです。
「私のこと知ってる~?」
「ごめんなさい」
「おっけおっけ、私は
「山梨海斗です」
「カイトね。よろ!」
星那さんが手を挙げる。……あー。
「いえい」
「なにそれ!」
ぱちんと手を叩かれる。結構痛い。
「で、ふたりでなにしてたの~?」
「だから、お昼ご飯だって」
「じゃあ、私もここでー」
椅子を動かして豪快に座った星那さんは足を組みながら鞄からパンを取り出した。
「で、どーいうつながりなのー?」
「どういうって言われても……」
「友達だけど?」
「そうなの? はじめて知ったー」
「この前ちょっとね」
「ふ~ん、カイト、やるじゃん!」
ばちんばちんと背中を叩かれる。もしやしなくとも、こやつ陽キャだな? 初華さんもどちらかと言えば……
光源が二つあったら影は消えてしまいます、お気を付けを。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます