第448話 新顔エルフとご対面
「この町で泊まる屋敷の主人はかなり変わってるからね、あまり言ってる事を
思春期脳が終了したカマエルとタミエルは話すと結構面白かった、エルフの里で手に入れた食材の利用法や森を歩く時の注意点も私達とは違った見方をしていて勉強になる。
仲良くなったので一緒に馬車で過ごしても問題無いし、隠蔽魔法で絡まれる事も回避出来たので中々快適な道中だった。
しかしここからはちょっと不安なのだ、トレラーガの外壁が見えて来たので二人に注意を促す。
エドが余計な事を言っても聞き流す様に言っておけば問題ないだろう。
「道中話してくれた商会の
「ガブリエルも泊まった事あるけど、そんな
カマエルは道中絡んで来た商人達のせいでかなり疑り深くなっている。
そうだよね、普通エルフとか知り合ったら何とか恩恵を受けようとしたりするはずなのにエドはまるで興味が無い様だった。
「アイルが一緒の時はエドガルドはアイルしか目に入って無いから心配するだけ無駄だよ。利用どころかアイルと一緒に旅してるからって排除しようとする事はあるかもしれないけどね、あはは」
「だよな、アイルとあんまり仲良くしてたら寝てる間に暗殺されるんじゃねぇの? ははは」
エリアスの軽口にホセが乗って笑うと、カマエルとタミエルは目を瞬かせた。
「それは…ブラウリオと同様にアイルを娘の様に可愛がっているという事か?」
エルフの里からの道中でイチャついている様にも見える私とおじいちゃんの仲良しっぷりを見ていたもんね。
首を
「違うよ、エドガルドはアイルを妻にしたいという意味で好きなんだ。本人は恋の奴隷だって言ってたよ」
「何と…! エドガルドという男は子供にも手を出す
タミエルだけでなくカマエルも険しい表情で不快感を表している。
「二人共落ち着いてよ、アイルは既に成人してるからね?」
「そ、そういえばそうだったな。アイルを見ているとついその事を忘れてしまうな」
エリアスが二人を
「まぁ、エドガルドが子供に手を出さないとは言わないけどね」
「「!?」」
ニッコリと嬉しそうに微笑んで余計なひと言を付け足すエリアス、仲間達の自分を見る目に気付いてよね。
あ、ダメだ、呆れた目を向けられる事を理解した上での発言だったらしく、視線に気付いてもエリアスの笑顔は崩れなかった。
今回もガブリエルの身分を前面に押し出しての行動なので貴族用の入り口からトレラーガに入る。
門番が御者をしているリカルドを見た途端に騒がしくしていたので今頃エドに連絡が行っているんだろうなぁ。
門番に顔ぶれを確認された後、門を通り抜けた馬車はいつもの様にエドの屋敷へと向かった。
「ウルスカよりも賑わっているな」
「そりゃそうだよ、トレラーガは交易都市だからね。海の向こうのタリファスから王都まで行こうとしたら必ずこのトレラーガを通るし、王都から来るとちょうどウルスカ方面とタリファス方面の分岐点なんだよ。船が苦手な
「ふむ、なるほど…」
タミエルが窓から街の様子を見ながら呟き、エリアスが説明した。
どうもカマエルよりタミエルの方が好奇心旺盛らしい、だからこそガブリエルが居なくなってからエルフの里で魔導具の修理とかしてたんだろうな。
『ククッ、アイル、今回も待ち構えてるぞ』
もうすぐエドの屋敷、という所でリカルドが報告してきた。
あ、うん、予想はしてたけどね。
「ふふっ、今回は何があるかなぁ」
「ちょっとエリアス! 何か起こる前提にしないで! ひと晩泊まって出発するだけなんだから何も起こらないよ」
「えぇ~!? そんなのつまらないじゃないか」
「エリアス? 私達は遊びに来てるの? 違うでしょ? 護衛というお仕事中なんだからつまらないとか関係ないの」
「はいはい。放っておいても何かありそうだけどね(ポソ)」
全然納得してなさそうな返事をしてニヤつきながら俯いたエリアスにジト目を向けていたら馬車が止まった。
『よく来たね、お疲れ様リカルド、馬車はここからエロイに任せると良い。アイル、早く顔を見せてくれないか?』
窓越しにエドの笑顔が見えて私達は馬車を降りた。
初対面のエルフ二人を何て紹介したらいいだろうか、そう考えていたら先にタミエルが口を開いた。
「ふむ、この銀髪の男がアイルの恋の奴隷のエドガルドか」
「いや、それは「ははは、アイルから聞いたのかな? そう、私がそのエドガルドだ、ガブリエルと違って話のわかるエルフの様だね」
まさかの好感度爆上がり!?
否定しようとしたら上機嫌のエドが肯定してしまった、ガブリエルはエドと初対面の時友人の座を譲るまいと張り合ってたもんね。
「いや、エンリケから聞いた」
正直に答えるタミエル。
あ、ちょっとだけタミエルへの好感度が下がったみたい。
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