第426話 胸の育て方講座
「ところでミカエルは何ていってたの? さっきミカエル父さんが言った通りって…」
他の女性達が頭や身体を洗っている間、私と洗浄魔法を使ったセラフィエルは先にお湯に浸かって話をしていた。
まさか私の胸を触って平手打ちされた事を娘に話した訳じゃないよね?
「アイルの胸は詰め物ではなく本物だから、スライムみたいに気持ち良いからといきなり触ってはいけない…」
「いけないって…、じゃあ何で触ったの!?」
それってミカエルが触った事バレる言い方だよね!?
獣人とは違った方向で性的な事の感覚が違うのだろうか、それとも鈍くて気付いてないだけ?
「誘惑に負けた」
「負けないで!?」
「今まで人族が里まで来た事は殆ど無くて、来ても子供を連れて里帰りする者の妻だけだったから、常に子供か夫のエルフが一緒に居て近付くのは難しかったの。こうやって人族と話をするのは初めてよ」
「へぇ、人族の男性は来たりしないの?」
「人族の夫を持った場合、夫や子供が寿命で死んでからエルフの子だけを連れて里に帰って来るのが普通ね。ここに来る為に仕事を辞めなくてはならなくて生活が出来なくなるというのが1番の理由らしいわ」
「なるほどぉッ!?」
いつの間にかエルフ女性達に囲まれていた、洗い終わったからお湯に浸かったのだろうけど、気配が全く感じられなかった。
やはり狩りを得意とするエルフだからだろうか。
「アイル、皆聞きたいみたいだから教えてくれる?」
セラフィエルに促されて浴槽の段差に座り、胸が皆から見える様にした。
「えっと…、あんまり見られると恥ずかしいんだけど…。身体にはリンパっていう体液が流れているのね、その流れを良くする事で大人になってからも胸を大きくする事が可能になるの。こんな風に指先を脇に突っ込む様に脇を掴んで揉む様にグリグリってすると、リンパの流れが悪いと凄く痛いけど伸び代があると思えば我慢出来る…かな?」
私は慣れてるからあんまり痛く無いけど、真似をした女性達からは悲鳴の様な痛いという声が上がる。
「あんまり無理しないで少しずつ慣らせば良いよ、ここからは痛くないから安心してね。次は上下から手で包み込む様にこうやって優しくさすって…」
そこから皆が覚えるまで約15分、私がのぼせる寸前までバストアップマッサージの説明は続いた。
お風呂から出ると正直浴衣でも暑い、エドから貰ったキャミワンピ風の夜着だけになりたいくらいだ、そんな事を思いながら脱衣所を出た途端、肩に手を置かれる。
「よぅ、お疲れさん。ククッ、大丈夫だったか?」
振り返るとニヤニヤと笑うホセがそこに居た、ホセだけじゃなく仲間達は皆浴衣姿でとても目の保養になる。
皆も浴衣という事はお風呂に入っていたのか、それにしてもホセの浴衣が妙にはだけているのが気になった。
腕組みしてジッとホセを見る、あ、おじいちゃんも下半身がはだけてる。
もしやと思いトコトコ歩いてホセの後ろに回ると思った通りだった。
「やっぱり! 尻尾を出す穴が無いからはだけてたのか! ふふっ、あ~スッキリした」
「お風呂と浴衣が作られてから獣人がこの里に来た事なんて無かったからねぇ、ホセとおじいさんは部屋に戻ってから普段使ってる夜着に着替えないといけないね」
私の言葉にガブリエルが肩を竦めた、ここはビルデオから遠いもんね、そうそう獣人が来る事は無いか。
納得していたら頭に大きな手が乗せられた。
「お・ま・え・は! 人の話を聞いて
「あっ、痛い痛い! 聞いてる! 大丈夫だったよ!」
尻尾の部分がモコっとなってて赤ちゃんのオムツしたお尻みたいで笑ったのがいけなかったのか、久々にアイアンクローを喰らってしまった。
セラフィエルに連れ去れる様にお風呂に連行されたから心配されていたのかもしれない。
恥ずかしいから胸で遊ばれたり講習をした事は黙っておこう、絶対
ホセは浴衣がはだけていても気にしていないが、おじいちゃんは裾が開いているのを気にしている。
リカルド、エリアス、エンリケの3人は裾こそちゃんとなっているが、帯はリボン縛りだったり二重縛りだった。
男の浴衣はやはり貝の口が良い、ただの私の好みなのだがサブローが居ない今、私がルールブックだ。
「どうして帯はそんな縛り方なの? サブローはエルフに帯の縛り方は教えてくれなかったのかな?」
「え? 帯は適当に縛れば良いって聞いたんだけど」
「紐みたいな帯ならそれでも良いけど、この帯は5センチくらいあるじゃない? だったらちゃんと結んだ方が良いよ」
「なんだぁ? 着方だけじゃなく縛り方まで決まってんのか? 単純な作りの服のくせして面倒なんだな」
尻尾のモコモコも相まって眉間に皺を寄せるホセ、最初に寛いでいた部屋で寝るらしいので移動して教えることにした。
既に着崩れが酷いホセをモデルに教える為、どうせ恥ずかしがったりしないからと部屋に到着してサクサクと帯を解くと、中から現れた
「お前らの国って下着も変だよな、けど収まりが良いから悪くねぇ」
何の収まりだ、そう言いたいけど言ったら普通に返されそうなのであえて言わない。
「この下着はクラシックパンツとも言われる古いスタイルの物なの、この浴衣も宿ではよく使われるけど一般的にはあまり使われなくなってるし。さて、まずは裾が真っ直ぐになる様に右側を左の腰に巻き付けて次に左側を右の腰に巻き付けるでしょ、これを左右逆にしちゃうと死人の着方になるから気をつけてね」
「あぁ、そういえばサブローがそんな事言ってた気がするなぁ」
懐かしそうに目を細めるガブリエル、その間にも私はホセの腰に抱きつく様にしながら帯を巻いていき、結び方を説明した。
「で、最後にここに通して終わり。覚えてしまえば簡単でしょ?」
「確かにこの方がスッキリして良いな」
私の説明を聞きながらガブリエル含む4人は帯を結び直した、リカルドは仕上がりに満足そうだ。
ちなみにおじいちゃんはもう浴衣を着る気がない様で自前の夜着に着替えている。
「あ、やっぱりここに居た。アイルはこっち、私達と寝ましょ」
「はぁい」
全員が帯を結び終わるのを見計らった様にセラフィエルが私を呼びに来た、どうやら私だけ別の部屋らしい。
セラフィエルと部屋を出ようとしたらホセが腕を掴んで引き止めてきた、見上げるとお風呂上がりに見た時と同じニヤニヤとした笑みを浮かべている。
嫌な予感がして
「エルフの女達に教えたやつでお前も頑張って胸を育ててたのか?」
「はぁッ!? 何でお風呂での会話を知ってるの!?」
「アイル、お風呂場の壁は男湯と女湯で会話出来る様に途中までしかないのよ、お風呂場は声が響くから小声で無い限り会話は当然聞こえるわ」
セラフィエルの言葉に崩れ落ちた私は、セラフィエルに再び抱き上げられて部屋から出た。
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