第3話

「フットボールフィールドを展開。今からこの場はフットボールが支配する。現れよ、伝説を従えし英雄達よ。」


 スタジアムにDJの声が響く。二人の男がピッチに現れた。キックオフの笛が鳴った。


 黄色のユニホームを着た男が叫ぶ。

「俺のターン!ジェフユナイテッドの選手をフィールドに展開。マネージャーにエジリワンを選択しカードを三枚伏せターンエンド。」

 青色のユニホームを纏った男が宣言する。

「 俺のターン。日本代表選手をフィールドに展開。マネージャーに岡田武史を選択しカードを二枚伏せターンエンド。」


 オオー!と観客の声が轟く。チャンピオンにのみ許された日本代表デッキに声をあげたのだ。レジェンド選手のみで構成されたデッキに勝てる者はいない。


「先行は俺が貰う!クラブに忠誠を誓いし番犬達よ。フィールドを駆けずり回り勝利を奪え!巻誠一郎をレジェンド召喚!更に伏せカードをオープン。サポートカード、モノオキを発動。カードを二枚ドローし二枚デッキに戻す。バトルだ!」


 ジェフユナイテッドはボールをつなぐ。サイドへ駆け上がった巻がボールをキープする。しかし、攻めてにかけたジェフユナイテッドはボールをとられた。


「俺のターン。ドロー。サポートカード、バモスニッポンを発動。この効果により、選手の士気をあげる。バトルだ。」


 日本代表はボールを回し始めた。


「巻誠一郎の効果発動!フォワードとして巻誠一郎がフィールドに存在する場合に、その攻撃力分を守備力に加算する!」


 巻はボールホルダーに対して果敢にプレッシングを開始した。外されても追いかけ、遂には守備ラインにまで駆け戻った。

 これにより、ジェフユナイテッドは日本代表の攻撃を防ぐ事に成功した。


「俺のターン!ドロー!世界最高の大巨人よ。全てを粉砕しゴールをあげよ。レジェンド召喚。現れよ、大巨人オーロイ!」

 ジェフユナイテッドの伝説の巨人オーロイがピッチに現れる。2メートルはゆうに越える存在はスタンドからも一目瞭然であった。

「ここで俺は戦術カード、パワープレーを発動する。このカードの効果により、相手ディフェンダーより空中戦が強い場合、攻撃力を1000ポイントアップする。そして、伏せカードオープン。ロングスロー。ロングスローの特殊能力を持つ選手に装備することで、スローイングはセンタリングと同じ効力を発揮する。さらにもう一枚オープン。エジリズムを発動する。このカードが場に存在する限り戦術カードは破壊されない。そして、エジリワンの効果発動。エジリズムを永続カードとして場に存在し続ける。」


 オオー!と観客の歓声がわいた。伝説のオシムユナイテッドに次ぐ伝説のコンボが炸裂した。


「J2を震撼させた最強の空中戦コンボ。進撃の巨人ビッグオーロイは日本代表と言えども破れはしない!虚像の栄光を打ち破れ!オーロイ!」


「ここで俺は、戦術カード方針転換を発動。そして、マネージャーの岡田武史の効果リアリストを発動する。方針転換を使用した時、戦術、選手を全て変えその攻撃力と守備力を1000ポイント上昇させる。」


 岡田武史の方針転換、幾度も勝たらしたリアリスト岡田武史が降臨した。

 これにより、盤面は一変する。


「ビッグオーロイにキック&ラッシュを挑むのか。面白い!」

「鉄壁の壁よ、全てを跳ね返しゴールを護れ。レジェンド召喚!中澤佑二!

 熱き血潮を滾らせて高鳴る鼓動を轟かせよ!レジェンド召喚!闘莉王!」


 ビッグオーロイに対抗するために日本代表は最強の空中戦コンビを召喚した。


「荒ぶる魂よ。何度挫けようとも立ち上がるその姿をフィールドに刻み付けよ!レジェンド召喚!本田圭佑!」


 これにより、盤面は一変する。技巧を駆使したポゼッションサッカーからキック&ラッシュの対決が始まった。


 激闘が繰り広げられる。オーロイによる制空権の制覇を狙ったジェフユナイテッドであったが、自陣の守備力不足のため押され始める。

 しかし、エジリズムの効果のため戦術は変更できない。この繰り返すエジリズム。もはや、引き返すこともできない。


「勝負は決したな。ジェフユナイテッド!」

「まだ、終了のホイッスルはなっていない。」

「ならば、この勝負終わらせてやる。本田圭佑の効果発動!持っている男。この効果により、攻撃に成功した場合に得点できる。」


 ピッピーと得点を告げる笛が鳴った。

 この勝負は日本代表が勝利した。下馬評通りの結果であった。

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