またまた一柳荘の人々

第20話 おまけと言いつつ日常やぞ…にしきも話せるようになったな


ながれとにしきがやってきて数日。オレらは至って普通…になりたい…シクシク。


ここは一柳荘、それなりに訳アリの7人+2人が暮らす、木造アパートや。

菊市は最近はまぁ、いろいろとあったが、谷村のおかげで、コンディションがいい。

アパートの木材のコンディションもいいような…?

まだリフォームは始まっていない。同棲のようなところと、そうでない所と自由やな。



部屋の前で西崎、田嶋、菊市と集まり、話をしてた。

「菊市、調子ええみたいやなぁ…。」

菊市がにしきを抱っこしモフりながら答える

「当たり前だよ!朝から晩まであいつ、うっとおしいったら!!」

「はーん、朝から晩までね…。」

田嶋が腕を組みにやにやする


「きくいち、うっとおしいの?」

にしきが拙い口調で菊市に尋ねる。

「!!」

菊市が赤くなり、顔を逸らす。

「いいや、にしき、仲良くて恥ずかしいって意味やで」

「そか!!よかった!!」

「…ちったぁ、寝不足にきをつけてな…。」

「んな!?」


谷村が爽やかに部屋から出てくる。

「菊市さーん、仕事行ってきます。チュッ」

軽く谷村が菊市にキスをする

「「!?」」


「人前でするなよー!!」

慌てて口を覆う菊市

「そやで谷村、人前でやると、恥ずかしさのあまり嫌われるぞ…(笑)」

「え!?気を付けます…あ、先生今日の飯何?」

「炊き込みご飯…」

「そか、楽しみ!行ってきまーす」

「行ってらっしゃい」

「帰ってくんなーー。…なんかもう…自然すぎやな…」

「ほっとけ…。」


田嶋が西崎に言う

「西崎は最近どうなんだよ」

「……んー。」

「ん?どうしたの?ほんと。」


「あいつ…明智最近、帰りが遅いんや…」

「旦那の帰りが遅くて心配…か…」

田嶋がニヤニヤと西崎を見る

「そ!そんなんやない!もうどっかいけやぁっ!!」

「はいはい、…やめなよ田嶋も。で、何が心配なの?」

「…夜、一緒におっても…襲ってくる…気配がない…」

「襲ってほしいのか」

田嶋がふっと笑う

「ち!ちがわいっっ!!」

「バレバレだよ…西崎…」

西崎は赤面して否定する。

少し考えて田嶋が言った。

「…そういや最近、明智と谷村セットでよく見かけるな…。」

「谷村と?…そうだね…ああ!!西崎、心配いらないと思うよ、まぁ明智だし。」

「そやな…」

「谷村尋問しとく?」

「たにむらじんもん?」

「尋問て…いや…あ、いい」

「まぁ、何かあったら言えよ、じゃあな」

「んぉ…ああ。」

西崎の肩を叩き、スエット姿の田嶋は自室に戻っていった。

「ああ見えて心配なんだよ、田嶋も私もそう。何かあったらちゃんと話してよ?」

「すまん…わかったわ」

みゃ~と鳴き声がしたので、西崎も菊市と別れ自室に戻った。



そのころ二階で明智と小松・平野が部屋から出てきたところで、かちあった。

「おはよー、小松!」

「お、おはようございます。」

「こ…小松…そろそろ警戒しないで?」

「小松?行こうぜ?…あ、明智さんおはようっす。」

「…」

「小松、大丈夫だって無害だって言ったろ?」

「あはー、無害って平野さーん」

「ご、ごめんなさい!」

「いや、小松も謝る意味がわかんねー」


連れだって、アパートを出ようとしたところで小松が聞いた。

「あのう、明智さん」

「はいはいー」

「最近、よく谷村くんと一緒に出掛けてますけど…」

「ん?…あん。そうね」

「なにやってるんすか?2人でずっと気になってたんですよ」

平野が話に入ってくる

「あーーー。ん。」

「もしかして浮気かなぁって……っつ!あっはっはっは!!」

「ひ、平野くん、笑いすぎだよぉ…!」

笑い出した平野を小松が止める

「確かに笑いすぎ…。あー、あーうん。あれね」

「「…ごくり」」

「えーっと、ちょいと平野や」

「はい?」

「へい、ボーイ、カムヒア」

「はぁ…キスなんかしないでしょうね?」

「だーれが、するかっつ!!」

明智と、平野はすこし小松と距離を取る

「え?あ!?何です!?」

「あのな…かくかくしかじかだ。」

「わかりません!!」

(何だか聞き覚えのあるやり取りだネェ…)

「わかったよ!耳かせ!!」


明智と小松がこそこそと話し出す

「あのな…で…ここで……わけなんだな…がさ……だろ?」

「はぁ…そうっすね…ああ、そういうことで!…うーん…明智さん、それは…オレも…っすか?」

「おお!OKよ~!!………そんじゃ…。…で、いいな!!」

「ねぇ、なんなんですか??」

「了解しましたー。」

「んじゃ、オレ行くから、またね~」

明智が先に階段を降りていく。


「平野くん、なんだったの?」

「な・い・しょ」

「え!ないしょ!?」

「おれたちも行こうぜ、小松、ほらっ!」

「え!あ…う、うん…。」

釈然としないまま小松はアパートを後にした。



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