第17話 明智がうにちゃんの首輪を買ってきた、赤で可愛い。グッジョブや!


「お役御免なんですか!?あなたを慕っているのに!」

珍しく小松が声をあげとる。

「こら小松、落ち着け!」

「いいや、そうはしたくなくての…しかし、こ奴らも、最後の奉公とばかりに悪い気を浄化しおってな。我も奉納の神事で動けなかった故、力が枯渇して消滅しそうになったというわけだ」

犬がしょぼんとする。


「くぅ~ん、くぅ」

「…良い良い、我こそこれまで世話になったな」

神様が犬にスリスリする。お互いに関係は良好だったようや。


「菊市とやら、おぬしの社にこの子らを引き取ってはくれまいか」

「え…」

菊市は西崎を見ると西崎はうんうんと頷いた。

「ええで、今更増えたってかまわんわ」

「それでの菊市とやら、お主も力を蓄え、守護する範囲が増えてきているはず。」


「そうなの!?先生…?」

「ええ…」

谷村のほうを見ずに神様に返事をする。谷村に黙っていたのかバツが悪そうだ。

「この子ら狛犬がおれば、お主の神域を見守り、土地の力も得やすくなるであろう。」


「それなら先生!楽になるよ、よかった!」

「う…うん。」

谷村は菊市に笑顔で語りかけた。彼らの仲も大丈夫そうだ


「さて…狛犬だが…鎮座していた柱は壊れたのだが、狛犬自体は無事ですんでの。近く神託を出し、こちらに奉納すようにする」

「狛犬、壊れてなかったんだね!よかった~」

川町が安堵する。

「ありがとうございます」

「…こちらの黒いほうは、ながれと言う。しろい方がにしきじゃ。」

「あ!…待っててください」


菊市はにしきを抱っこすると、部屋から出てきた。

にしきは弱弱しいながら目を開けて神様を見つけるとぴすぴすと鳴いている。

「おお、にしき!無茶をしおって、心配したぞ!」

「…くぅ」

「うんうん…わかっておる、大儀であったが無茶はいかんぞ。また我にも会いにきておくれ」

神様はにしきにも、すりすりとする。にしきは神様の鼻をぺろりと舐めた。

「よいよい、おぬしらに守護されて我は幸せだったぞ。」


「ながれとにしきを神社に連れていきますね!」

小松はながれを抱っこし、神様に寄せるとしっぽを振りながら鼻を舐めた。

「おお!そうか!それは楽しみじゃ、待っておるぞ!菊市よ、こやつら力が安定すれば人型も取れるようになるじゃろう。にしきの為にながれも力を使い果たしておる、よろしくの。」

「はい、私もそちらに伺うことがあるかと…」

「ああ、お主の仕事を少しずつ覚えねばの、いつでもよいぞ」

「よろしくお願いします」


「では、これで我は帰るとしよう、酒を馳走になった。じゃあの」

神様は風と共にふわりと消えてしまった。


「…ファンタジーやったな…」

「そうだね…西崎さん」


「あの視線の主はながれだったのか…」

「じゃあ、川町ににしきを預けたのはこいつだったんだな。」

田嶋が、がしがしとながれを撫でる。


ながれは田嶋から離れると、ぶるぶるりと身体を振った。

そして菊市にすり寄るとしっぽを振った。

菊市はしゃがんで、ながれを撫でる。

「ああ、これからよろしくね」

「わん!」

にしきも菊市の指をがんばって舐めている。

「にしきはまだ治療だから無理しないで」

「くぅ…」

撫でるとにしきはまた目を閉じてしまった。疲れたのだろう。


とりあえず、菊市の部屋の前に毛布を敷き、ながれはそこに落ち着いた。

「明日は2人ともシャンプーやな…だいぶ汚れとるし」

西崎がつぶやくと川町と小松コンビがはいはい!と手を挙げた

「僕シャンプーしたいです!」

「ぼくも~!!」

「はい、うお、ええよ!やったらええねん!!」

「「やったー!!」」

二人とも嬉しそうだ。おまかせします、はい。

賑やかになりそうだ。





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