第18話 冒険者活動の1年を振り返って

冒険者デビューしてから早1年がたった。1年という時間を優に超える濃い時間であった。例えば。



あと1依頼でブロンズに上がるという時、ゴブリン狩りをしようと森に入り、ゴブリンが2匹見えたので近づいた時、ゴブリン17匹に囲まれた。

僕は罠にハマってしまったと反省をし、自分の分身といっても過言ではない刀を抜いた。僕はセオリー通り、1vs1を17回繰り返すつもりであったのだが、刀を抜いた瞬間、ゴブリンが一斉に飛びついてきた。初めて、魔物に知性があることを知った瞬間だった。


-----神冥流 柔法 第二篇 全向撃


この術法は、要は回し斬りだ。一回転して相手を斬る。では、なぜこれが柔法に属しているのかは、カウンター技だからだ。相手からの干渉がなければただの回し斬りであり、使うタイミングを極め法術として昇華させたものが、この全向撃なのである。

この戦闘のあとも、大変だった。

この戦闘で流れたゴブリンの血に近づいてきたコボルトが居たのだ。だが、少数だったので戦闘自体はそう問題はなかった。強いていえば、ギルドで、ジーナに小言を言われた程度であった。



他には、シルバー昇格試験の盗賊討伐で、アジトに向かおうと思ったら、都市を出て、少し離れたところで毒矢で狙われたりした……。下っ端だけだったようで特に大事なく制圧できた。そしてアジトに乗り込みいざ戦闘と意気込んでいたのだが全員酔いつぶれて寝ており、縄で手を結び、終わった。

僕は、流石に試験不合格だろうなと思って居たのだが、一般的にいえば、毒矢を狙われたりしたのだから激闘だったのだが感覚が狂い過ぎていたようだった。

そして、冒険者は運も実力だよと言われてしまった。



更には今日は、ゴールド昇格試験だ。その試験内容はグリズリー討伐に決まった。容貌は、熊の魔物だ。だが、普通の熊では無い。長すぎる爪、そして発達した歯で、襲ってくるのだ。討伐目安はゴールド以上とされている。魔力を体に通し、五感で周囲を探すと、見つけることはすぐできたが大きさに驚いた。自分の3、4倍あるのだ。と観察していると爪で襲いかかって来たのでとりあえず…


-----神冥流 柔法 第一篇 流月

-----神冥流 剛法 第二篇 鋭斬


熊が自分の攻撃を受け流されたことでバランスを崩し、立て直している隙に、単発で1番威力の高い鋭斬を、繰り出した。これは、姿勢によって本来の力を、そして全身の力を利用して放つ法術で、熊の首が吹き飛んだ。そして、いつものように魔石を取り出すと、グリズリーは綺麗な淡黄色であった。

そして、この大都市でも100人に満たないゴールド冒険者となったのだった。

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転生した侍-修行を重ねる- SiNo(詩望 凛) @SiNo_rIn

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