06

 巫女が来た。

 いつ見ても、平凡な女だ。覇気が感じられない。死んでるみたいな顔。つまらん。

 巫女。

 ゆっくりと、歩いてきて。

 こちらの目の前で、しゃがんで。こちらの首の後ろを撫でてくる。

 仕方がないので、じっとしていた。猫じゃねえんだから、そんなとこ撫でても何も思わんのだけど。肉くれ肉。身体触っても何の得もないんだ俺には。

 巫女。満足するぐらい首の後ろを撫でてから。

 背後に回って。


 え。


 乗っかってきた。


 え。


 なにこれ。


 俺、巫女を背中に乗せて海まで行くの。


 うそだろ。

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