真実の扉 No.3


群の施設に戻ると、ロザリエ、ヴィノスを医務室に連れていきベッドに寝かせる。レンディエールは2人が目覚めるのを魔術で遅らせながら、そしてグランは緊急時の戦闘員としてそこに残った。


杖を持ちながら椅子に座り2人を見守るレンディエールは酷い顔をしている。治癒術の使いすぎで今頃疲れがどっと彼の体に押し寄せているのだ。それを見てグランは声をかけようか迷う。リアシアールとソリッドは情報を得るため図書室へ向かった。しかし、グランは盲目のため点字で書いてある本しか読むことが出来ないので、今回はこうしてここに置かれたのだろう。自分が盲目である事に悔しさ感じた。


「アーテルさん、今の2人はどのようなオーラをしていますか?」

「........ぁ、うん。2人ともまだおかしな色をしているわ」


どす黒い色がぐにゃぐにゃと混ざるように見える。元々の2人のオーラはこんな汚い色ではない。やはりあの二人組に何かをされたのだろうと怒りを覚える。あの二人組にいいように踊らされて、苛立っているのはレンディエールも同じようだ。


「私達はただただ幻の中で生きていた....誰かに踊ろらされるなど、腹が立ちますね」

「貴方が1番長いわね。8年だったかしら?」

「ええ、それに気づくことすら出来なかったですよ」


レンディエールは自傷的な笑みを浮かべると、グランは私もよと声をかける。誰も気づけないほどの優れた幻術。あの二人組の正体は謎に包まれたままだ。


「ただの人があれだけの能力を持つなんておかしいわ....」

「恐らく、あの宝玉が関係しているかと」


二人組はこれに見覚えがないかと宝玉を見せた。何処でも見たこないはずなのに何故か懐かしいような感覚を、皆感じていた。それが何かの原動力となっているのか、幻術自体がその宝玉の力なのか、謎は深まるばかりだ。


「ぅ、ぅぐ....」

「っ!」


唸ったヴィノスに眠りの状態異常をかける。このような使い方はあまり良いとは言えないが、状況が状況なので仕方がないとレンディエールは無理やり納得した。グランは弓を持ったまま傍にあった椅子を寄せるとそこに座った。


「貴方、今の魔力量は?」

「........」

「まあ、あれだけ治癒術を使えばそうなるわよね」


レンディエールは不安げに少々俯くと、何かを決めたように顔を上げる。グランは私がどうにかすると言おうとしていた口を閉じると、レンディエールの言葉を待った。


「もし魔力が尽きれば、殴って気絶させます」

「........え」

「手荒な真似はしたくありませんでしたか....相手も手負い、どうにかなりますよ」


レンディエールは任せてくださいと微笑んだが、予想斜め上の言葉にグランはぽかんと口を開け何も言えずにいた。ただの治癒術士かと思っていたが、よく見ればレンディエールは体格が良い。先程の言葉は本気だろうとグランは確信した。


「問題は、2人同時に目が覚めてここで暴れた場合ですね」

「....群に迷惑はかけられない」


これだけお世話になっているのだ、恩を仇で返すなどはしたくない。だがグランは弓を握ると、そのために自分がいるのだと覚悟を決めた。最悪相打ちになったとしても、2人をここに連れてきた責任は負わなくてはいけない。


「アーテルさん」

「なに?」

「貴方には死んで欲しくはありません....そのような顔をなさらないでください」


自分はどんな顔をしていたのだろうとグランは顎に手を当て考えるが、そもそも自分の顔は口元しか見えないぞと思いながらレンディエールを見た。しかし、レンディエールは当てずっぽうで言ったわけではないらしく、悲しそうな表情をしている。


「私は、死なないわ」

「はい」

「この意志、体感してみる?」

「ははっ、大丈夫です。ちゃんと伝わりましたから」


レンディエールは小さく笑う。それに頷くとグランは眠っている2人を見つめた。ヴィノスは元からおかしい奴だったが、あそこまでイカれてはいなかった。いや、どうだっかとグランが悩んでいるとまた唸ったヴィノスのレンディエールは先程と同じように対処する。


「ぅ....はぁ....ぐっ....!」

「....エクリプス?」


レンディエールの様子がおかしい。胸元を抑え目を閉じ、浅い呼吸のまま冷や汗を流している。何かの発作持ちだったのだろうかとグランが背を摩るとレンディエールは大丈夫ですと無理やり笑顔を作った。


「大丈夫って状態じゃないでしょ?」

「本当に....だい、じょうぶ....よくある、事なので....」


グランは彼もベッドに寝かした方がいいだろうかと焦っていると、レンディエールは何度も大丈夫だと言いながらそれを止める。何でも月に一度ある事らしい。しかし、それにしても顔色が悪い。自分に出来ることはとグランが探していると、レンディエールが後ろに倒れそうになるのを急いで支えた。


「うっ....」


レンディエールの体重が片手にかかり、支えきれずにそのまま床に倒れ込んだのを見てグランはさぁっと血の気が引く。邪魔な椅子を避けるとレンディエールの傍によりどこか打って傷がついて居ないか確認する。幸いどこも怪我はしていないようだが──


「私1人でどうすれば....」


気を失ってしまったレンディエールを引きずり無理やりベッドに乗せるとグランは何とも言えない現状に若干ため息を着きつつ、ロザリエとヴィノスの眠っているベッドに近ずき様子を確認する。


「エクリプスがいなかったらどうやって──」


グランの言葉は途中で途切れた。痛みを感じて自分の首を掴んでいる人物を見ると....


「くぁ、あひ....あははははっ!!」

「ぁ....ら、じぇ....」


ヴィノスが目を覚ましていた。その手を離させようと強く掴むが魔族の腕力に敵うはずもなくどんどんと力が抜けていく。だが、グランは諦めないと決めたのだ。


「ぐ....この....ぉ!」

「──っが!!」


ヴィノスの手を掴んだまま体を丸め両足でその体に蹴りを入れると、ヴィノスの手が離れぜぇぜぇと息をした。危うく天の川が見える所だったとグランはヴィノスを睨みつける。

ヴィノスはベッドから降りるとゆらゆらとグランに向かって歩きだし、何かを投げるように横に手を振った。


「あは、はははっ!!」


氷の塊がいくつもグランに向かって飛ぶ。これはソリッドが食らったあの氷柱の爆発物だと理解するより早く、その手を動かして矢でいくつか撃ち落とす。しかし、全てとはいかなかった。


「(プリズアームでもギリギリ耐えた技の上位のものを....耐えきれるはずが──)」



「──大人しく眠っていなさい!!」



氷の塊が天井に向かって蹴りあげられると、それが天井にぶつかり氷柱の塊が突き刺さる。その衝撃で天井が崩れヴィノスの頭上に落ちた。


「──」


グランは体で庇うように包まれながらそれを見て、瓦礫から見えるヴィノスの手を見て死んでないよねと心配に思いながら息を吐いた。


「申し訳ございません、迷惑をかけてしまった様ですね....」

「エクリプス....大丈夫なの?」


グランを離すとレンディエールは瓦礫を避けていき埋もれていたヴィノスを救出すると、ベッドに寝かせて先程と同じように椅子に座った。


「発作は数十分で収まります。今回は短かったようで助かりました」

「そう....ありがとう」

「いえ、私こそ情けない所をお見せしてしまいました」


ちらりと2人でヴィノスを見た。瓦礫で切れたのか額や頬から血が流れボロボロの有様。グランをそれを濡れたタオルで軽く拭うと応急処置をした。レンディエールは治癒術を施さない。また暴れられた場合こちらが有利に立てるようにと考えた結果だが、やはり心が痛かった。


「........医務室、破壊しちゃったけど大丈夫かしら」

「....恐らく、大丈夫だと」


ぽっかり穴が空いた天井を見て、2人で大きなため息をついた。





──





「かぁ〜、見つかんない!」

「おい、図書室では静かにせんか」


ごめんごめんと謝るリアシアールを見てソリッドは直ぐに本棚に視線を戻した。群の図書室は広い。この中から一つの情報を探すというのはあまりにも無謀な事だろう。理解している。だが、それが諦める理由にはならない。


「グランとレンディエールは大丈夫かなぁ....」

「無駄口を叩くな、口より手を動かせ」


そう言ってはいるがリアシアールはしっかり文章を読みながらソリッドと会話していた。そういう能力は我にはないぞと思いながらソリッドは手がかりになりそうな本を片っ端から読んでいく。見つからない、どれも違う、その事に段々と苛立ってきていた。


「....ソリッドは何でエルシュの真実を知ってもまともで居られたの?」

「急にか」

「うん、急に」


手に持っていた本をそのままに、ソリッドはリアシアールの方を向いた。だが、リアシアールの方は本を読んだままだ。人に質問しておきながらなんだその態度はと思ったが質問の答えを言葉を選びながら口に出す。


「我は....エルシュが死んだ時、命の尊さを知った」

「....うん」

「その時、我はならばその尊き命を守らねばと思ったのだ。例えエルシュが幻だったとしても、それは変わらん。だから....だろうな」


ソリッドはそれだけ言うとまた本に視線を戻す。リアシアールは彼らしいなと思いながら同じように本に目を通していく。

またハズレだ、残念に思いながら手に持っていた本を棚に戻したリアシアールはその上にあった本に興味が沸いた。なんて事ないただの焦げ茶の背表紙をした何処にでもありそうな本。リアシアールはそれを手に取る。


「ねぇ」

「........」

「ねぇってば!」

「騒がしいな、なんだ」


ソリッドが顔を顰めながらまた無駄話かと愚痴るとリアシアールはソリッドの顔の前に本の表紙をずいっと出した。そこに描かれた模様には見覚えがある。見覚えがある所ではない、これこそ探していたあの刻印のシンボルだ。


「いぇーい!」

「でかしたぞ、褒めて遣わす!」

「偉そうだけどもうなんでもいいや!早く見よう!」


先程自分で図書室では静かにしろと言ったのを忘れソリッドは若干興奮気味にリアシアールと机に向かった。どきどきとしながらパラパラと捲ると、ある一家の家系図のようなものがありそこで手を止める。


「グローハーツ一家?」

「それがこの紋章も持つ一家なのだろう」


家系図の1番上に描かれているシンボルは表紙と、そしてロザリエ、ヴィノスの胸に刻まれていたものと同じだ。家系図は今は一旦おけとソリッドは言うとその一家が使う特殊な幻術や、代々伝わる宝玉に関するページを見つける。


「ほうほう、『リカルド・グローハーツの栄光ある働きによりグローハーツ家は誇り高き一族となった。巧みな幻術に、通常の魔族では手に入れられない強靭な肉体。魔術が幻術しか使えなくなると言う代償はあるが、その幻術は人の人生すら狂わせられるほどの力がある』」

「....その狂わされたのが我々と言うわけか」

「『更には初代グローハーツによって見つけ出された秘宝[サクリファイス・ジェンマ]によって、肉──とし──強──』....んー、傷で読めない」


重要そうなところは擦れて文字が読めなくなっていた。[サクリファイス・ジェンマ]、その名にリアシアールは嫌な予感がして、ある人物を思い出すがソリッドはペラペラとページをめくり刻印にいつて探す。


「『生まれつき才能がある者は禁忌である精神操作の魔術を―』これではないか!?」

「よし、かける方法は後でゆっくり読めばいいから、解き方!」

「『これを解きたくば術者の死亡、もしくは強者の肉体を生贄として捧げること』....生贄....か」


ソリッドの声から分かる感情にリアシアールは彼の肩を掴み無理やり目を合わせた。リアシアールから感じるのは怒りだ。直ぐに理解した、それは自分も同じだったからだ。ロザリエとヴィノスの為ならば、自分が生贄になろう、と。


「楽な道に逃げちゃ駄目、こうなったら私達だけでもアイツらを殺しに行こう」

「我々だけでは不可能だ」

「そんな....そんなの分からないよ!」


その怒りと同調するように、何処かからドカンと大きめな音が聞こえて地面が揺れた。すぐにグランとレンディエールの事を思い浮かべ何かあったのかと不安に思いながら、ソリッドは本を持ち図書室では出ていこうとする。しかしリアシアールはソリッドの腕をつかみ止めた。


「まだ生贄になるとか考えてるんでしょ?」

「知らんな」

「誤魔化さないで」


ソリッドは手を振り払う。しかし、リアシアールはまた掴んだ。


「自分達のために貴方が死んだって分かったら2人はどう思う?2人に貴方の死を背負わせるの?」

「しかし、やらねばいかんのだ」

「そんな辛い選択しかないなんておかしいよ」

「五月蝿いぞ」

「貴方だけ死ぬなんておかし──」

「ではどうすれば良いのだ!!」


強く手を振り払ったソリッドはリアシアールを睨みつけた。リアシアールは弾かれた手が痛かったが、それよりも胸が痛い。大切な人を生かす為には、大切な人を犠牲にするしかない。適当な人では駄目なのかと思うが、そんな非道な事は彼が許さないだろうとリアシアールは手を下ろした。


「我にも....分からんのだ....」

「だから、私達であの二人組を──」

「それも出来ん。実力の差がありすぎるのだ」


2人で黙り込む。その時、ソリッドはもう一度本を開くと先程のページを見て何かを考えて始める。そして確実とは言えんがとリアシアールを見上げた。


「試す価値はある。思いつたぞ、誰も死なずに2人から刻印を消すすべを」

「──っあるの!?」

「....恐らくな」


ソリッドはリアシアールに告げた。自らの考えを。


「....いいの?」

「ああ、それしかないだろう」


リアシアールは渋々納得して、図書室から出ていくソリッドについて行った。





──





「待たせたな」


ソリッドとリアシアールが帰ってきたのを見て、レンディエールとグランは安心した。そしてソリッドの手にある本を見て、レンディエールはほっと息を吐く。


「見つかったのですね。刻印消す方法が」

「ああ、すぐに始めよう」


そう言うとソリッドはグランを医務室の外に出した。グランは何故だと聞きたかったが、ソリッドとリアシアールの雰囲気にそれを聞くことをやめ大人しく言うことをきいた。


「レンディエール、この魔法陣書ける?」

「....ええ、書けます」


リアシアールはソリッドから本を受け取りあるページに書いてある魔法陣を見せるとこくりと頷き床にスペースを作る。懐から取り出したナイフで手首を軽く切ると、レンディエールはそれで本に書かれたものと同じ魔法陣を綺麗に床に移した。

リアシアールはその上にロザリエとヴィノスを寝かせると、ソリッドに視線を向ける。

ソリッドは深呼吸をしてその2人の前に立った。レンディエールは何も伝えられておらず、離れてそれを見守る。


「我が名は《────》。その力、今解き放たん」


ソリッドの体を業火が包むとその姿がいつもの少年の姿ではなく、青年の姿に変わった。リアシアールはその背後に立ち指を鳴らすとアルビスとクラージェを呼び出し、二匹が一つになると大剣の形となりそれをリアシアールは握った。


「もう1回聞くけど....いいの?」

「くどい、やれ」


リアシアールは黙る。これの方法で本当にロザリエとヴィノスの刻印が消えるとは限らない。しかし、方法がこれしか無かった。


「....はぁああぁっ!」



リアシアールは、ソリッドの首を跳ねた。



首が空を舞い床に落ちると転がる。残された肉体は断面から勢いよく血を吹き出しその血溜まりの中にどちゃっと倒れた。軽く痙攣するその様を見て、リアシアールは慣れたことだが知り合いのものとなれば流石に顔を歪める。

するとレンディエールはつかつかとリアシアールに歩み寄り彼女に掴みかかる。当然の反応と言えるだろう。


「誰かが死ななくてはならないなど聞いていない!何故このような事を承諾した!!」

「いや、死ん──」

「や、やかま....しい、ぞ 」


レンディエールは、もう聞けるはずのないソリッドの声を聞いて周りを見渡す。そして、視線は彼の飛ばされた頭に止まった。


「....はっ....はぁ....ぉ、もった、より....きつ....ぃ....」

「だから言ったじゃん!これで死んだら承知しないから!」


リアシアールはソリッドの頭に近寄りそれを抱えた。そしてレンディエールを見る。何を言われるか察してレンディエールは直ぐに杖を持ち構えた。


「はい、レンディエール回復!」

「了解しました!」


自分の魔力が切れるギリギリまで治癒術をソリッドにかけて、どうにか止血を試みる。ソリッドの体はじわりじわりと徐々に再生しているように見えた。


「そ、れ....で、儀式....は?」

「え〜っと、台詞なんだっけ....?」

「この....ぽ、ん....こ──」

「レンディエール!」


リアシアールに本を投げられたレンディエールはそれを受け取り、言われたページまで捲るとそこに書いてある文章を読んだ。


「『これを生贄とし、術を解き放たん。全てはグローハーツの為に』」

「どうだ!?」


ロザリエ、ヴィノスの間に丁度倒れたソリッドの肉体が光り輝き、魔法陣から出た泥のような闇に飲み込まれていく。その肉体が完全に見えなくなった時、ロザリエとヴィノスの胸元にあった刻印が浮き出し、焼けるように消えていった。


「........成功?」


リアシアールが不安そうに2人を覗くのを見て、レンディエールは持っていた杖でヴィノスの顔をつついた。しかし、反応はない。リアシアールは2人を見つめたままだが、その雰囲気は先程とは違う。落胆した様子だ。


その時、くうっと何かの音がする。


「....ぅ、ん....ほぁ〜、お腹がすいたなぁ....」


ムクリとロザリエが起き上がり、周りを見渡す。手に何かが触れたに気づきそれを見ると、血。それを見てロザリエは勢いよく立ち上がろうとすると、血で滑って机に頭をぶつけた。


「な、何なんだ!何が起きた!?」

「ロ、ロザリエ〜〜!!」

「ん?師匠?....と、生首!?こ、来ないでくれ!!」


わーわーぎゃーぎゃー騒ぐリアシアールとロザリエを見て、レンディエールは安心した。先程の本を見ると生贄が必要と書いてあり、レンディエールは首を傾げる。


「なるほど、『強者の肉体を生贄に』というのは、別に命を捧げろとは言っていないという解釈ですか。....滅茶苦茶ですね」


軽く笑ったレンディエールは本を閉じてヴィノスの傍によると軽く頬を──、と思ったが彼は戦闘でかなり無茶をした上に1度目覚めた時にも負傷した。このまま寝かせても良いだろうとヴィノスを抱え再びベッドに寝かせる。


「....どうなったの?」


扉を薄く開けてグランがひょこっと顔を覗かせる。医務室は血まみれでパッと見恐ろしいが、盲目であるグランには見えない。ただ、ソリッドが居なくなっている事に不安そうにしている。


「無事、終わりましたよ」

「プリズアームは?」


レンディエールはリアシアールに抱えられた生首を見ながら、何と言っていいのかと迷う。しかし──


「えー....首が飛びました」


レンディエールは嘘がつけなかった。それを聞いたグランはピシャリと固まったが、リアシアールはグランに近づく。グランはオーラでリアシアールの腕の方に頭一つ分のオーラがあるのを見て生きている事を喜べばいいのか、こんな状態のまま生きている事に絶叫すればいいのかよく分からずにいた。


「と、取り敢えず2人が元に戻ったならよかった」



グランはそれしか言えなかった。

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