中編

あの酷い振られ方をした日から3日経ちました。振られたと言って良いのかわからないけど、あの日は金曜日で土日休みの月曜日、私は学校を休んだ。高校に入学してからどんどん幼さが抜け、格好良くなっていく幼馴染に、私は焦っていたんだ。テレビや小説に良くある、【友達以上恋人未満】の関係がいつまでも続かない事はわかっていた。でも、中学から地味子ちゃんで通っていた私には自信が無かったの。


今さら遅いけど私は中学の時はオシャレには余り興味が無かった。人並みに洋服などは色々お店で見ながら買っていたけれど、化粧類はニキビケアぐらいしかしていなかった。髪も多少は長かったけど、髪を左右に分けて結び垂らしたおさげ姿が多かった。しかも、目も悪かったから眼鏡もしていました。


ははっ、絵にかいた様な委員長っぽい姿だったのよね。今までどんなに自分に無頓着か思い知らされたのよ・・・


オシャレに全然気にしていなかった。高校の合格発表があった次の日、友達同士でお祝いため家に遊びに行った時だった。昨日まで私と似たような姿だった友達が、髪を下ろしてストレートパーマを掛けて、薄く髪を茶髪に染めていた。たった一晩で凄く可愛くなってたんだ。他の子達も、大小なりとも可愛くメイクして決めていたのよ。家庭によるけど高校生になったら髪を染めたりメイクしても良いよって言う所もあるからね。その時は私だけが取り残されている感じがしたの・・・


そして、私は高校デビューをしました。


・・・ほとんど中学生の時のままでー


だって、オシャレするにはお金が掛かるのよ?両親にお小遣い以上の出費はお願い出来ないじゃない!?なので、登校は幼馴染と一緒に行って、高校入学以降すぐにバイトを始めました。お姉ちゃんのお友達がいる所で安心なファミレスのウエイトレスのバイトをやり始めました。意外とあっていたのか、バイトは楽しかった。学校より仲の良い友達も出来たし!


あ~なんやかんやで私は高校生活を満喫していたみたいです。


あれ?私、なんでバイトしたんだっけ???


あ゛っ!?


忘れる所でした。


高校生になって、ますますモテる幼馴染に気をくれしてしまったんだ。だから綺麗になる為に、お金を稼いでいたんでした。テヘッ


2ヶ月間頑張って働いたお陰で、ある程度纏まったお金が出来たので、遂に綺麗になる行動を開始したのでした!お姉ちゃんとお母さんに相談してエステに行きました。初めての経験でドキドキしました。なんか気持ち良くて寝ちゃったのは秘密です。だって良い匂いのするオイルを塗ってマッサージするのよ?気持ち良いじゃないですか!?

ちゃっかりお母さんとお姉ちゃんも一緒にエステして、お姉ちゃんはお母さんお金を出して貰ったのは解せぬ!


最近は、幼馴染の彼が部活で朝早く学校に行くようになり、ますます会えない日々が続く様になっていたの。私は軍資金も出来たので、少しづつオシャレを開始したのでした。

前からお姉ちゃんにメイクの仕方を習っておいたのよ。お礼は化粧品1つプレゼントでね!賄賂も忘れません!


こうして、私の改造計画(笑)は順調に進んでいき、準備は万端に整った所でー


・・・はい、大撃沈したのでした。グスンッ


この数ヶ月間、彼に告白するために頑張って働いて、メイクの勉強をして忙しかったけど充実していたんだ。幼馴染の彼に告白するって言う目的、目標があったから。でも、気付くべきだった。お互いに別々の交友関係が出来て一緒にいる時間も少なくなっていた事を。もう別々の道を歩み出していた事を。


私は告白を断られた反動と言うより、目標を失った事による消失感で、生きる目的を見失しない何もかもがどうでも良くなってしまった。


学校へ行くのも面倒になり、その後も1週間もの間、学校を休んでしまった。


部屋でぼーっとしてると玄関先が騒がしくなった。お姉ちゃんが下で叫んでいるみたいだ。まぁ、どうでもいいか・・・


って、どうでも良くないよ!お姉ちゃんがあんなに怒って叫んでいるなんて、彼が来たんじゃないの!?私はボサボサの頭で(パーマしてるのでそれほどでもない)下に降りていった。ちなみに、後で気付くがジャージ姿であった。過去に戻れるなら当時の私をぶん殴ってやりたいデス。


一方その頃


「彼女がしばらく学校を休んでいると、昨日初めて知ったんです!お見舞いさせて下さい」


ブッチ!?

(お姉ちゃんがキレた音です)


「はぁ!!!何を言ってるのよ!妹が寝込んでいるのはあんたのせいでしょう!」


「えっ!?何の事ですか???」


「とぼけないで!恋愛は人それぞれだから仕方ないと思うわ!でも、妹をふるならまだしも、死ねと言ったりバカは嫌いだなんて言って傷付けて良いわけないでしょう!どの面下げて来たのよ!!!」


「ちょっと待って下さい!いったいなんの話ですか!本当にわからないですよ!」


「まだとぼける気!1週間前、妹が決心して告白したでしょう!その告白を途中で遮って、死ねと言ったのよ!その後は聞くに耐えない暴言を吐いておいてふざけるなってのよ!?私は姉として貴方だったら妹を任せても良いと思っていたのよ!それを女性を下に見てるようなゲスな奴だったとわかって逆に安心したわ。付き合う前に気付いてね」


「1週間前・・・?」


「高校生になってあんたモテてるみたいじゃないの?妹の告白も有象無象の1人として記憶にも残ってないのね!帰りなさい!2度と来るな!」


トットットッ!


その時、階段から私が降りてきた。


「お姉ちゃん!騒がしいよ?近所迷惑になっちゃうから落ち着いて!」


階段から降りてきた私と玄関に居た彼と目があった。


!???


「えっ?あれ?」


幼馴染の彼は驚いた顔をして目を開きながら指をさす。


「だ・・・れ???」


「はぁぁぁ!妹に決まってるでしょう!」


お姉ちゃんは私の腕を掴んで、彼の前に連れていき、私の肩を両手で掴みながら言った。


「どっかの誰かさんに告白する為に、数ヶ月間バイトを必死にしてお金を貯めて、エステに行き、全身を綺麗にしてメイクの仕方を覚えて美容院でイメチェンしたのよ?」


彼は驚き過ぎて指をさしながら口をパクパクして声にならない声を上げている。


「妹は大人しいから、大胆になれるようギャルっぽく私がプロデュースしたのよ!」


お姉ちゃんはさっきの怒りはどこにいったのか、ドヤ顔で彼に自慢する。


「君が幼馴染の彼女・・・なのか?」


「・・・1週間ぶり。迷惑掛けてごめんなさい」


「貴女が謝る事じゃないわよ!謝るのはそこにいるクズなんだから!」


彼は真っ青になり目を伏せ、ぶるぶる震えていた。


「好きでもない女の子から告白されて、嫌な気分させてごめんなさい。貴方の好きな人と上手くいくといいね。・・・もう家には来ないで」


私は涙が溢れてきたので部屋に戻ろうとした。

しかし、彼に腕を掴まれ止められた。


「・・・違う!違うんだ!!!」


突然の彼の叫びにビクッと震える。


「俺が好きなのは君なんだ!ずっと好きだった!」


シーーーーン!


静寂が支配する。


「えっ?」


間の抜けた声が出た。それはそうだろう?こっぴどく振られたのに、実は好きだったとか何なの!?


「「ふざけないで(よ)!」」


お姉ちゃんと声がハモった。まぁ姉妹だしね。


「ただ、振るならまだしもあんな酷い事を言って傷付けたのに今さら何なのよ!?バカにするのもいい加減にして!」


すると彼はまさかの泣き出したのだ。えっ?泣きたいのは私の方なんだけど!?


「うっく!ひっく!俺は・・・本当にバカだ・・何で俺は気付かなかったんだ。アイツの影にダブって見えて・・うわぁぁぁぁあああああ!!!」


床に両膝を着いて本格的に泣き出した。


流石に何か事情があると察して、落ち着くの待つのだった。



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