恋する乙女は美しくなる
naturalsoft
前編
「あ、あの!好きです!私とー」
「死ね!」
「・・・っえ?」
学校の放課後、幼馴染である彼に下校途中で告白をした私・・・でしたが、断られるならまだしも死ねと言われました。何故に!?
「な、何で・・・」
「良く知らない相手に好きですと言われて、本当に付き合うなんて、常識的に考えてありえないから」
がーーーん!!!!
え゛っ、そうなの?それが世間一般の常識なんですか!?誰か教えて下さーーーーい!!!
「そんなベタな事で付き合う奴なんて、彼女が欲しい彼氏が欲しいっていう寂しい奴等がくっついただけだろう?大体、彼氏彼女がいることがステータスだと思っている頭がお花畑の連中が多すぎるだよな」
えっ?えっ?なんか愚痴られてる私?これ聞かないとダメなの?私、振られたっぽいよね?しかも、ごめんなさいじゃなくて、死ねって言われてダメージが大きいのですが!?
「だいたい、相手の事を知らないのにオーケーして貰って、本当に相手にして貰えると思っているのか?俺がゲスな奴だったら、適当な事を言っておだてて、ヤることやったらポッイっと捨てるんだぞ!お前、わかっているのか?そんなハイリスクを負うところだったんだぞ?俺が普通の善人で良かったな」
いえ、普通の善人って何ですか!そんな人は告白した相手に死ねって言いませんよ!せっかく告白の為に必死に綺麗になろうと、バイトしてお金を貯めてエステに通い、高級化粧品を買って、毎日お姉ちゃんにメイクまで習ったのに!髪だって伸ばしてパーマだって掛けたのに!!!
・・・全部、無駄だった見たい。せっかく同じ高校に入学までしたのにな。長く一緒に居たのに、こんなに酷い人なんて知らなかった。いつも私の事を気に掛けてくれて、優しかったからだんだん惹かれていったのよね。家だって隣で、いつも困った事があったら助けてくれたのに。グスンッ
ヤバッ!本格的に涙出てきた。
「ッ!普通の善人は告白してきた女の子に、死ねって言わないと思います!」
私は言い切ってやったわ!そんなに気の強い方では無いけれど、一生懸命に勇気を出して告白したのに!こんなサイテーな振られ方なんて認めない!一言いってやらないと気がすまないわ!
「やんわり断って、あーだこーだ言われるより、はっきり言ってやった方がお前もダメージが少ないと思って言ってやった優しさがわからないのか?だからバカは嫌いなんだ。最初にきっぱり言って、期待を持たせない方が良いだろうが!」
「何ですか!その言い方は!女の子の告白を何だと思っているんですか!失礼にも程があるでしょう!」
「うるさい!お前に何がわかる!高校に入ってからは、好きだった女の子には避けられるし!お前みたいな有象無象の、頭の悪そうな
何よ!有象無象って!本当にサイテーね!っていうか、好きな女の子!?誰よそれ!?私にはそっちの方が初耳でダメージ大きいんですが!?ゲーム風ならオーバーキルで9999ダメージを受けてるのにHP1残って死ねない状態なんですけどーーーー!!!!
私の幼馴染がモテるのは知っていたけど、ギャル系?ばかり寄って来ていたのは知らなかったわ。私はギリギリセーフでしょう!髪は黒に近いダークブラウンだし、パーマして髪を少し盛ってるだけだよ?アイメイクはちょっとして、キレイな二重を作っているだけだし、アイシャドウだってナチュラル仕様よ!?つけまつげだって、盛り過ぎないようにカットして使っているんだからね!
・・・・ん?それってギャルそのものだって?
そんなバカな!?
私としてはギャルと言われるよりは、地味で眼鏡ッ子だった普通の女の子が高校デビューを果たしたと思って欲しいのよ!
皆もわかってくれるでしょ!?これからの高校デビューで、中学の頃の地味な自分を変えたくて、お母さんやお姉ちゃんにメイクを教わって、外見を変えるのよ!第一印象で高校生活が変わるからね!これからの輝かしい高校生活を希望するなら、教室に入ったら同じ中学の同級生を探すか、居なければ勇気を出して席の隣の同級生に声を掛けよう!怖がってはいけない!時間が経てば経つほどグループが出来てしまい、声を掛け辛くなってしまうからね!
何事も初めの1歩が大事だよ!頑張ってね!応援するから!
おっと、話がそれましたね。ギャルじゃないけど、一生懸命に綺麗になろうとしている女の子をバカするなんて許せない!100年の恋も覚めちゃうわよ!
「それって、偏見なんじゃないですか!いくら人の第一印象が見た目だからといって、中身まで否定するなんてサイテーだと思います!」
「うるさい!人は姿を見れば大体の人柄はわかる!お前見たいな奴は、屁理屈をならべて相手を言い負かせれば良いと思うような奴だろう?どうせ成績も下の方に決まってる。いつも付きまとって、周りでギャーギャー煩くする目障りな奴だ!」
なんて事を言うのだろうか!自分で相手の事を良く知らないと言っていたのに!
「自分で相手の事を良く知らない言っていたのに!酷すぎます!」
「だったらもう俺に近寄るな!目障りだ!ただでさえ、彼女に会えない日々が続いていてイラついているんだ!」
そう言って彼は去って行った。
私はなんでこうなったのか、自分の中で繰り返し自問して、自己嫌悪に陥っていた。ただ、好きな人に告白しただけなのに・・・知りたくも無い彼の酷い人柄を目の当たりにして、さらに落ち込んだ。こんなことなら普通に振られた方が良かったよ。
こうして、私の初恋は幕を閉じたのだった。家に帰ったら、お姉ちゃんが結果を聞かずに、私の表情で察してくれたのは嬉かった。でも、ことの顛末を話したら、彼を殺してやると怒って包丁を持って隣の家に行こうとしたのを必死に止める方が大変だったりしたのよ!!!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます