第8話 時代

俺の時代が来た。

内山はそう思った。


仕事にも人間関係にもおいて、誰もが自分に一目を置いている。


友人と呼べる友人はいないがそんなことは気にしなかった。


仕事ができる。同僚と気軽に話せる。

これができて何の文句があると言えるだろうか。


意気揚々と職場に現れる。


しかし、今日はいつもと様子が少し違った。


同僚たちの動きが少ない。

よく見ると、いつも大量に陳列された、整理されるべき書物が、今日は明らかに少ない。


上司に確認してみる。


「今日の未処理はこれだけですか」


何とも言えない表情で上司は

「う・・・うん、そうだね。やることあんまりないから。

資料の整理でもしててくれたまえ」


どうやら、自分の仕事のペースが早すぎて、やることがなくなってしまったらしいかな?

それとも、たまたま今日は発注が少なかっただけかな?

ここは、自惚れはしないように、後者であると考えよう。


今日は何事もなく、暇な一日でした。



「あ〜、これでお金貰えるんだから仕事は素晴らしい、

人生って素晴らしい!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る