第9話 変容

内山は自信に満ちていた。

満ちすぎていた。

満ちすぎて少しおかしくなっていた。


今の俺なら何でもできる。

以前から自分は女っぽい顔だと思っていた。

俺はあの電撃以来、女性脳になったのではないか。

男性脳より女性脳の方が周りの空気を読めるという。

自分はあの電撃で、強烈な女性脳になったのだ(確信)


ではやってやる。

今まで女の格好をして外を歩いてみたかったんだ。

内山はユニ◯ロでタイトスカートを購入した。

電撃で痩せた彼に、スカートはMで入った。


そのまま電車の中へ。

周りの人々は見て見ぬ振りか、見ているのか、とにかく無反応。

対面で座った、純粋な学生風の男子の前で、足を組んで見せる(ムダ毛は処理済)


上記の奇行を繰り返しながら職場へ。


最初に遭遇したのは佐々木さんだった。

内山は彼女の前で「似合う?」と言わんばかりに、足を絡ませてポーズ。

佐々木さんは内山を見るや否や、内山の手をとり、談話室へ猛ダッシュ!


乱れた息を整えながら

「内山さん・・・自分がしてることがわかってるんですか???」

内山は『何のことかしら』と言わんばかりに横目を向いている。


結局、佐々木さんが上司へ報告して、その日は内山は自宅へ強制送還されました。


しかし、彼は自宅へ帰っても思っていた。

「ああ・・・人生って素晴らしい・・・!!!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る