第3話 休日

翌日、彼は休日であった。

最近行くきもしなかった秋葉原へ繰り出した。

彼の趣味は秋葉原の街並みの広告をスマホで撮り、コレクションすることだった。


彼はアニメやゲームに興味はなかった。

ただ、アニメキャラクターに興味があった。

アニメキャラの瞳や色彩を見ると、心が落ち着くのだ。


そして彼は、一通り写真を撮り終えると、行きつけのメイド喫茶に行った。

メイド喫茶でも、彼は爪弾き者のような扱いを受けていた。

必要以上に、メイドは誰も、彼に話しかけてこない。

それでも足繁く通っていたので、メイド喫茶アプリのランクは「じょうれん」になっていた。

誰とも話さないのに常連になるということほど悲しいことはない。


多少、緊張はしたが、彼はメイド喫茶へのエレベーターを上った。


「いらっしゃいませ〜♪」


最高の愛想で挨拶をしてくれたメイドは、はじめはよかったが、客の姿をみて、彼女たちの雰囲気が少し変わった。


内山は怯んだ。

やっぱり来るんじゃなかった。


そう思った瞬間、彼の脳内から声が聞こえてきた。


『あ、コイツまた来た。喋んねーからどうしていいかわかんないのよね〜』

『いつも一人でくるよね〜。友達いないんだ〜』


聞こえる。聞こえるぞ。

これってもしかして、この子達の声!?


戸惑いながら、いつものカウンター席に案内される。


どういうことだ・・・。

昨日は変なオーラみたいなものが見えたと思ったら、今度は人が思ってることが聞こえ出したぞ・・・。


おもむろにメイドちゃんが一人、オーダーを取りにきた。

『髪染めたけどやめといた方がよかったかなあ・・・』


今!聞こえた!?


すかさず声をかける。

「髪染めたね!似合ってるよ!」


メイドちゃんはびっくりしたように

「ほんとですかぁ!!すごく嬉しい!」


やっぱりだ。。。

考えてることが聞こえてきてる。


すると奥の方から

『アイスコーヒー出てないなあ、ロスになっちゃうよ』


「あ、注文はアイスコーヒーで」


「あ、どうもありがとうございます!あんまり今日出てなかったんですよ!」


内山は思った。


た・・・楽しい・・・www



こうして内山はその後もメイドちゃんとの会話は弾み、ホックホクで帰りましたとさ。



「人生って・・・・」



「楽しい!!!」

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