第4話 贈品
俺には悩みがある。
仕事も家庭もうまく行っているのだが、
俺の弟が対人恐怖症だか何だか知らねえが、とんでもねえヘタレだということだ。
行動も挙動不審だし、見てるこっちが嫌になる。
今日も、父の日、母の日のプレゼントを一緒に買いに行くことになってるのだが、あの挙動不審をまた見ることになると思うと、こっちが憂鬱になってくる。
俺の奥さんも来るのだが、彼女も
「ちょっと・・・彼、変だよね・・・」
と言ってくる始末。
今バイトしているみたいだが、無職になったら縁切ってやろうかと思うほどだ。
今日12時に待ち合わせか。あーどうなるんだろうなー。
ちょっと遅れて待たせてもいいかー。
<そして待ち合わせ時間 新宿>
「デパートの正門で待ち合わせっ・・・と」
「あ、いたいた。相変わらず冴えねぇ・・・な?」
弟は正門に立ってこちらを見つめていた。
何か違う。今までと違う。
近づいて挨拶する。
「おう」
「おう、久しぶり」
「お前・・・何つーか、なんか変わった?」
「変わってないよ。服も変えてないし。じゃ、いこっか」
<地下1階 食品売り場>
「やっぱワインとかがいいかな」
「店員さんに聞いてみようか」
すると弟は率先して店員に声をかけ
「すいません、ちょっとフルーティなワインを探してるんですけど」
「かしこまりました。少々お待ちください」
俺はしばらくの間、立ち尽くしていた。
「こちらが若干フルーティなワインとなっております。ご予算にも合うかと」
「イタリアワインですか?」
「その通りです」
「良さそうですね。これをギフトでお願いします」
俺何もやってねえな。。。
買い物を終えた後、弟は最近仕事がキツくてさーなどとほざいていたが、
明らかにその瞳は充実したものだった。
一体弟に何が起こったというのであろうか。
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