第5話

 どのくらいたったでしょうか。とにかくまきが半分ぐらいに割れた頃です。あけみの嬉しそうな声に、夢中になってまきを割っていた一作は、いきなり落ちてきた庄屋様の雷にとびあがりました。

「こら一作。なんであけみをこんなところにおいて仕事をしてるんだ。遊び半分じゃなまけてるのと一緒だぞ。だいいちあけみがけがでもしたらどうするんだ。」

 一作は、やっぱりおこられたなと、半分後悔しながら、

「すいません、庄屋様。別に悪気はなかったんですけど・・・」

一作がしまいまで言い終わらないうちに、あけみが横から口を出しました。

「おとうさん、あたしがここにいたいって言ったの。一作をおこらないで。誰も遊んでくれなかったから、面白くなかったんだもん。」

 庄屋様は、あけみをひどくかわいがっていましたから、こう言われると、一作をむやみにおこることができません。しかたがないので、おこったようなしかめっ面をして、

「あけみがそう言うから、今度だけは許してやる。これからは気をつけろよ。」

と、言いました。それからあけみに向かって、

「さあ、おまえはわしと一緒においで。こんなところにいちゃいかん。」

と言って、あけみの手をとろうとしました。すると、あけみはパッとかけ出して、一作の後ろへかくれてしまったのです。

「いや。あたしは一作といるの。家に帰ってもだあれも遊んでくれないもの。ねえ一作、いいでしょう。」

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