封印されし聖剣戦記！～幻のアーティファクトを求めて～

魔将軍の実力！

蛇炎龍王の快進撃が止まらなかった。

すでに前線の司令官のジャミラも黒焦げとなって死んでいた。

『クハハハハッ！！！弱い！弱すぎるぞ！』

高笑いしながら魔王軍を蹂躙していた蛇炎龍王の横顔を殴り付ける者が現れた。

「そこまでだ。火トカゲ風情が！」

『グッ！？』

蛇炎龍王はその巨体を吹きとばされて倒れた。

「余り頭に乗るなよ？魔力が高いだけで強い訳ではないのだ」

遂に魔将軍であるキングレオが現れた。

『ふん、不意打ちをしていい気になるなよ若造が！』

キングレオはライオンの獣人であり、人型の姿をしていた。首にはフサフサな毛で覆われ、全身が白かった。そして、腕が４本あった。

「この後、大賢者アイラとの戦いが控えているのでな。イレギュラーの火トカゲには早々に消えてもらおう」

『ほざけ！』

蛇炎龍王はブレスを吐いた！魔王軍を散々屠った灼熱のブレスだった。

しかし、キングレオは素早い動きで横に跳んで避けた。そして、拳を握り技の体勢に入った。

「貴様の弱点は召還された事よ。獣王滅殺術『魂消滅拳』(ソウルバスター)！」

キングレオは四本の拳を地面に叩き付けると赤い衝撃波が飛んでいった。

『ふん！それがどうし─』

急に蛇炎龍王は動けなくなった。

『これは！？』

原因の場所を見ると、召還された魔方陣がズタズタになっていた。普通、魔力で書かれた魔方陣は、地面が割れても光の線が消えないので、壊すのは不可能であった。その魔方陣をキングレオは壊したのだ。その結果─

「魔界に戻れ！そして小さな住みかで小さな王を名乗っていろ！」

蛇炎龍王の姿が透明になり少しずつ消えていった。そして消える前にアイラ達に伝えるのだった。

『………不覚。矮小な者を見下して虚を付かれるとはな………勇者の末裔達よ。盟約は果たされておらぬ。すぐには無理だが、必ず我をもう一度召還せよ。この借りは必ず─』

最後まで言い切る前に蛇炎龍王は消えていった。キングレオそのまま賢者アイラに向き合った。

「これで貴様の策は全てか？流石に蛇炎龍王の召還には驚かされたわ！」

アイラはゆっくりと前に歩いて行った。

その後ろには禁術であった召還を行ったことで、3長老はそのまま息を引き取っていた。

「………ええ、私もまさか魔方陣を破壊されて破られるなんて思ってもみなかったわ」

アイラは静かな声で語った。しかし、その声には怒気が含まれていた。涙を呑んで、散った老人達に報いる為に最後まで温存されたシャイン王国最強の賢者であるアイラの怒りは想像絶する者だった。

シオンと同じく、魔力の多い者に現れる紫色の髪の毛が魔力で揺らめいていた。

「よくも我が師団を半壊させてくれたな！ただで死ねると思うなよ！そこにいる糞ジジイどもと同じく死んでいけ！！！」

キングレオも自分の師団が半壊まで被害が出るとは思っていなかった。アイラの使う極大魔法を警戒し、特別な魔導具を用意していたが、蛇炎龍王に破壊されてしまった。広範囲魔法を使われる前に接近戦で決着を着けようと前に出てきたのだ。

こうして、魔将軍キングレオと大賢者アイラの一騎討ちが始まろうとしていた。

その頃のシオンは─

「ヤバい！すでにドンパチやってるよ！早く戻るよ！」

隠れ里の方から火の手が見えて急いで戻っていた。