三人に長老達は禁術である特殊契約の召還魔法を発動した。

「………まさか、ワシらの代でこの召還魔法を発動する事になるとはのぅ」

「フフフッ、そうですね。長く生きていると何が起こるか分かりませんね」

三人の長老を中心に、地面に50メートルもの超巨大な魔方陣🔯が展開された。

その巨大な魔方陣から強大な魔力が溢れだした。

「な、なんだ！この魔力は！？人間の持てる魔力じゃないぞ！？」

司令官のジャミラは驚愕した。魔力の強大力だけでみれば魔将軍のキングレオよりも上であった。

「「愚かな者に滅びを与えん。いでよ！盟約に従い今こそ我が敵を討て！魔界の誇り高き龍、蛇炎龍王よ！」」

強大な魔方陣から全身が炎で出来た大蛇のような龍が現れた。

『クックックッ！遂に我を召還したか。しかし、魔王と戦えると思ったのだが─」

炎の龍は辺りを見渡しため息を付いた。

『こんな雑魚どもを倒す為に100年もの間の盟約を使うとは愚かな………』

「それは違いますよ蛇炎龍王。魔王を倒すのは勇者の役目です。それにあなただって住みかを荒らされたら怒るでしょう？それにここは勇者の故郷なのです。蹂躙され滅ぼされる訳にはいかないのです」

おばばは、じっと蛇炎龍王を見詰めた。

『確かに一理ある。ならば盟約に従い目の前の敵を滅ぼすとしよう！』

蛇炎龍王は魔王軍の方を向いた。そこに魔王軍の司令官が慌てて待ったを掛けた。

「待て！？蛇炎龍王殿！！！我らは同じ魔界に住む仲間ではないか！？今こそ地上の人間を滅ぼし、好きな領地を手に入れようではないか！」

ジャミラは全身の冷や汗が止まらなかった。確かに、魔界は魔族のトップである魔王が統治している。しかし、魔界にいる全ての生物を傘下に治めている訳ではないのだ。知性の持たぬ幻獣や、知性はあるが意志疎通のできるもの。そして、『強大過ぎる』ため手を出さない者などいるのだ。

この蛇炎龍王は魔界の火山地帯一部を縄張りにしている幻獣の一種であり、強大過ぎる者ではあるが、縄張りから出ないので、手を出さないことが決められていた部類だった。

魔王ですら手を出すのを禁じた蛇炎龍王をまさか人間が召還するなど、あり得ないことだった。

『フッ、我には興味がない事よ！我が興味があるのは強者との戦いと、我が認めた者との約束を守ることだ！』

グオォォォォォォォォオオオオオオ！！！！！！！！！

蛇炎龍王の咆哮は魔王軍全体の動きを止めさせ、パニックを起こさせた。

そこからは蹂躙の始まりだった。身体が炎で出来ている蛇炎龍王は、素早い動きで地面を動き回るだけで魔王軍が吹き飛び、炎で火傷を負った。

口から炎を吐けば100人単位で魔王軍を屠った。気付けば魔王軍の軍勢は半分以下にまで減っていた。

「………これでなんとかなりそうじゃな？」

「ええ、アイラの手を煩わせなくてすみそうね」

「100年続いた盟約。ここまでとはのぅ？」

蛇炎龍王との契約は、100年前に私達の先祖が契約した幻獣だった。強大過ぎる幻獣の為に、契約を引き継ぐと、ずっと契約者の魔力を捧げなければならなく、魔法が使えなくなる。１人では足りず、3人の魔力を分散して100年間捧げてきたのだ。

どうやら蛇炎龍王もその長期に渡る盟約に敬意を払ってくれている節があり、長老達も安堵したのだった。

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