長老の力!

次々に隠れ里にやってくる魔王軍に老人達は最大火力で応戦した。


「ホッホッホッ!人生の最後にこんな晴れ舞台を用意してくれるとは、魔王軍も粋な計らいをしてくれるのぅ!そう思わんかゴンじぃよ?」


前線で魔法を放ちながら隣を見るとゴンじぃはすでに生命力を使い果たし倒れていた。


「………そうか、ワシも間もなく行く。少し待っておれよ!」


魔王軍は1師団を丸々投入しており、その数およそ1万もの大軍であった。その魔王軍が素早い獣人や狼系の魔物を突入させても、近付けずに屠られていったのだ。


すでに戦闘を開始して30分は経過していたが、千体もの魔物が倒されていた。


「クソッ!なんという魔法だ!?近付けん!」


炎に水に風、そして地や雷といった様々な極大魔法が代わる代わる飛んできて、魔法を軽減する盾など吹き飛ばして被害が拡大した。


だが、魔王軍もただ被害をだしていた訳ではなかった。後方部隊の小隊を、隠れ里の反対側から潜入させ情報を収集していた。


「報告致します!村はものけの空でした!」

「なるほど、あの老人達は決死隊だった訳か」


すぐに師団長のキングレオに伝えられたが─


「そのままゴミどもを殺せ。ここまでの被害を出して退けると思うのか?」


キングレオの威圧感に伝令は全身からの震えが止まらなかった。逃げ出すように前線の司令官に伝えた。


「なに?」

『確かに撤退するにしても被害が出過ぎている。だがそれだけか?いや!あの決死隊には要注意人物の大賢者アイラがいる!?そうか!キングレオ様はここで王国側の最大の戦力を倒すおつもりか!確かに、他に援軍のない今、勇者の仲間になり得るアイラを消す絶好の好機だ!』


前線の司令官は魔将軍キングレオの意図を察して攻撃の手を緩めなかった。

そして、次々に老人達が力尽き、遂に魔王軍が接近してきた。


「ハッハッハッ!!!クソジジイ達は力尽きたぞ!今が好機だ!殺せ!!!!」


残るはアイラと3長老の4人のみとなった。


「みんな、今までありがとうのぅ。ワシらもすぐに向かうので、またのんびりとお茶でも飲もうぞ」

「そうじゃな。アイラよ。いつも辛い役目を押し付けてすまぬ。我らの最後の役目をしかと目に焼き付けておくのじゃ」

「今までありがとうのぅ。……シオンによろしく言っておいてくれ。あの子は優しい子じゃから悲しむじゃろう。すまぬ」


長老達はアイラに伝言を頼むと、近付いてくる魔物達を一瞬で消し去った。


「まだこれほどの力を持つ者がいたのか!?」


魔王軍の前線の指揮官である馬型の魔物ジャミラが唸った。


「コボルト隊、弓矢で応戦しろ!奴らが力尽きたら総攻撃だ!大賢者アイラを殺せ!!!!」


近付けば魔法の餌食となるため、遠距離攻撃に切り替えて攻撃を開始した。


しかし─


長老の1人がアイラに風魔法を使ってもらい、周囲の魔王軍に叫んだ!


『魔王軍よ!最初で最後の慈悲を与える。3つ数えるまでに撤退せよ!』


「ふん!何をほざく!」


『撤退しなければ、地獄の業火により皆殺しにする!』


「バカが!こちらが有利なのだぞ!お前達!攻撃を続けろ!」


魔王軍の攻撃はアイラが風の暴風魔法で防いでいた。


『ひとーつ!』


「敵はもう息切れ寸前だ!もうすぐ力尽きる!」


『ふたーつ!』


「どんどん攻撃しろ!!!!」


『みっつーーーー!!!それまでじゃ!』


3長老は『3人で』召還魔法を使った!



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